最終更新日:2026年7月18日
fe fe-management project-management effort-estimation
まず結論
出来高と投入工数から完成までの総工数を求めるときは、次の式を使います。
完成までの総工数 = 現在までの投入工数 ÷ 現在の出来高率
そのうえで、求めたいものに応じて計算します。
残り工数 = 完成までの総工数 - 投入済み工数
超過工数 = 完成までの総工数 - 当初見積工数
ただし、この計算が使えるのは、今後も現在と同じ生産性が続くと仮定する問題です。
総工数は「投入工数 ÷ 出来高率」。ただし、一定の生産性を仮定しているかを先に確認する。
直感的な説明
30%まで完成するのに60人月かかったとします。
同じペースが最後まで続くなら、100%完成するまでの総工数は、
60 ÷ 0.3 = 200人月
です。
当初見積りが150人月なら、超過工数は、
200 - 150 = 50人月
残り工数を聞かれた場合は、
200 - 60 = 140人月
です。
同じ200人月を求めたあとでも、問題が聞いているものによって最後の計算が変わります。
定義・仕組み
出来高率
出来高率とは、プロジェクト全体のうち、どれだけの作業が完了したかを示す割合です。
30% = 0.3
計算では、百分率を小数に直します。
なぜ割り算するのか
60人月で30%が完成したなら、1%当たりの工数は、
60 ÷ 30 = 2人月
です。100%なら、
2 × 100 = 200人月
となります。
これをまとめたのが、
60 ÷ 0.3 = 200人月
です。
この式が成立する条件
この計算では、次の前提を置いています。
- 出来高率が正しく測定されている
- 今後も同じ生産性が続く
- 残作業の難しさが大きく変わらない
- 人員や作業方法の変更で効率が変わらない
FE試験では、問題文に「今後も同じ生産性で作業する」などの条件があれば、その条件どおりに計算します。
実務では、後半に難しい作業が残っていたり、人員追加で調整コストが増えたりするため、単純比例にならない場合があります。
予定と実績の生産性
当初見積りが150人月で、60人月を投入したなら、予定どおりなら、
60 ÷ 150 = 0.4
つまり40%まで進んでいるはずです。
実際は30%なので、実際の生産性は予定の、
30 ÷ 40 = 0.75
です。生産性が予定の4分の3なら、必要工数は逆に増えます。
150 ÷ 0.75 = 200人月
ただし、試験では次の直接計算の方が速いです。
60 ÷ 0.3 = 200人月
科目Aでどう出る?
主に次の値が与えられます。
- 当初の見積工数
- 現在までの投入工数
- 現在の出来高率
- 今後も同じ生産性が続くという条件
解く順番は次のとおりです。
1. 出来高率を小数に直す
2. 投入工数 ÷ 出来高率で総工数を求める
3. 問われている値に応じて引き算する
| 問われているもの | 計算 |
|---|---|
| 完成までの総工数 | 投入工数 ÷ 出来高率 |
| 残り工数 | 総工数 − 投入済み工数 |
| 超過工数 | 総工数 − 当初見積工数 |
当初見積り:150人月
投入済み:60人月
出来高:30%
の場合、
総工数:60 ÷ 0.3 = 200人月
残り工数:200 - 60 = 140人月
超過工数:200 - 150 = 50人月
となります。
どんな場面で使う?
この考え方は、途中までの実績から、現在のペースが続いた場合の最終工数を予測する場面で使います。
- 設計作業の進捗確認
- テスト工程の残工数予測
- データ移行の完了見込み
- 製造工程の出来高管理
- 保守作業の工数見直し
EVMとの関係
EVM(Earned Value Management)では、進捗とコストを次の指標で管理します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| PV | 計画時点で完了しているはずの作業価値 |
| EV | 実際に完了した作業の価値 |
| AC | 実際に使ったコスト |
| SPI | 進捗効率。EV ÷ PV |
| CPI | コスト効率。EV ÷ AC |
| EAC | 完成時総コストの予測 |
今回の計算は、現在の投入工数と出来高率から、同じ生産性が続くと仮定して総工数を逆算するものです。
EVMと考え方は似ていますが、試験では問題文に示された式や条件を優先します。単に「出来高」という言葉が出ただけで、必ずEVMの公式を使うとは限りません。
よくある誤解・混同
残り70%だから、60人月の70%を求める
誤りです。
60人月は30%を完成させるために使った工数です。残り工数を求めるなら、まず総工数を求めます。
60 ÷ 0.3 = 200人月
200 - 60 = 140人月
進捗の差10ポイントを、見積工数へ掛ける
予定40%に対して実績30%でも、
150 × 10% = 15人月
とは計算しません。
進捗差をそのまま工数へ置き換えず、現在の生産性から総工数を逆算します。
総工数200人月をそのまま答える
問題が超過工数を聞いているなら、
200 - 150 = 50人月
まで計算します。
どの問題でも「投入工数 ÷ 出来高率」を使う
誤りです。
今後の生産性が変わる条件や、EVMの別の予測式が指定されている問題では、その条件に従います。
人員を2倍にすれば、期間は必ず半分になる
実務では、教育、調整、分担できない作業などがあるため、単純比例しないことがあります。試験では、問題文に明示された前提だけを使います。
まとめ(試験直前用)
- 総工数は「投入工数 ÷ 出来高率」
- 残り工数は「総工数 − 投入済み工数」
- 超過工数は「総工数 − 当初見積工数」
- 何を聞かれているかを最後まで確認する
- この計算は、今後も同じ生産性が続くという前提で使う
- 「出来高」という言葉だけで、必ずEVMの公式を使うとは限らない