最終更新日:2026年7月23日
fe fe-management system-audit security
まず結論
バックアップ媒体を外部業者へ預けるときは、契約・記録・委託先の確認・運搬時の物理的保護を分けて考えます。
基本情報技術者試験では、次の判断が重要です。
| 観点 | 適切な対応 |
|---|---|
| 委託先を管理する | 保管状況を定期的に確認する |
| 契約で責任を明確にする | 機密保持や安全管理を契約に盛り込む |
| 媒体の所在を追跡する | 受渡し日時・内容・受領者を記録する |
| 運搬中の事故を防ぐ | 施錠できる搬送容器や耐衝撃性のあるケースを使う |
特に、段ボール箱に入れただけでは、媒体を安全に運搬したことにはならない点に注意します。
直感的な説明
バックアップ媒体を外部保管する場面は、「重要書類を金庫業者へ預ける場面」に似ています。
重要書類を安全に預けるには、次の4つが必要です。
誰に預けるかを確認する
↓
契約で守るべきことを決める
↓
いつ何を渡したか記録する
↓
運搬中に壊れたり盗まれたりしないよう保護する
どれか一つだけでは不十分です。
例えば、機密保持契約を結んでいても、媒体をむき出しのまま運べば、落下や水濡れによってデータを失うおそれがあります。
反対に、頑丈なケースを使っていても、誰がいつ受け取ったか記録していなければ、紛失時に所在を追えません。
定義・仕組み
外部保管とは
外部保管とは、災害や設備障害に備えて、バックアップ媒体を自社とは別の場所に保管することです。
自社の元データ
+
別の場所にあるバックアップ
このように保管場所を分けることで、火災や地震などにより自社内のデータとバックアップを同時に失うリスクを下げられます。
ただし、外部へ出した時点で、次の新しいリスクが生まれます。
- 運搬中の落下・衝撃・振動
- 水濡れや高温
- 盗難・紛失
- 不正な開封
- 委託先での不適切な保管
- 誰に渡したか分からなくなること
委託先管理
外部業者へ保管を委託しても、委託元の管理責任がなくなるわけではありません。
委託先については、次のような確認が必要です。
- 適切な保管設備を持っているか
- 入退室管理が行われているか
- 災害対策が取られているか
- 契約どおりに管理されているか
- 再委託の条件が明確か
個人情報保護委員会のガイドラインでも、委託先の選定、委託契約の締結、委託先における取扱状況の把握が重要とされています。
契約で定める内容
委託契約では、少なくとも次のような項目を明確にします。
- 機密保持
- 安全管理措置
- 再委託の条件
- 事故発生時の報告
- 契約終了時の返却・廃棄
- 委託元による確認や監査
契約は、単に「預かってください」と依頼するためではなく、何をどの水準で守るかを明確にするためにあります。
受渡し記録
媒体を外部へ引き渡すときは、次の内容を記録します。
| 記録項目 | 目的 |
|---|---|
| 引渡し日時 | いつ移動したか確認する |
| 媒体の識別番号 | 何を渡したか確認する |
| 引渡し担当者 | 誰が渡したか確認する |
| 受領者 | 誰が受け取ったか確認する |
| 受領印・署名 | 受渡しが完了した証拠を残す |
これは、媒体の所在を追跡できるようにするための管理です。
運搬時の物理的保護
媒体を運ぶときは、段ボール箱のような簡易な容器ではなく、次のような保護が必要です。
- 施錠できる搬送容器
- 耐衝撃性のあるケース
- 防水・防塵性のある容器
- 開封が分かる封緘
- 媒体の暗号化やパスワード保護
個人情報保護委員会のガイドラインでは、電子媒体を持ち運ぶ際の例として、暗号化、封緘、目隠しシール、施錠できる搬送容器などが示されています。
一次情報
このテーマを確認する一次情報として、次の資料が参考になります。
個人情報保護委員会の通則編では、電子媒体を持ち運ぶ際の漏えい防止策として、暗号化、パスワード保護、封緘、施錠できる搬送容器などが例示されています。また、委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことも示されています。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、複数の管理策のうち、どれが不十分かを選ぶ形で出題されます。
判断手順
1. 契約による管理があるか
2. 委託先を定期的に確認しているか
3. 受渡し記録を残しているか
4. 運搬時に物理的な保護があるか
よく出る組合せ
| 問題文の表現 | 判断 |
|---|---|
| 保管状況を定期確認する契約 | 適切 |
| 機密保持条項を契約に含める | 適切 |
| 受渡し日時と内容を記録する | 適切 |
| 受領印をもらう | 適切 |
| 段ボール箱だけで運搬する | 不適切 |
| 施錠できる専用容器を使う | 適切 |
何が問われているかを先に見る
この種の問題では、選択肢を次の4分類に分けると判断しやすくなります。
契約
委託先監督
受渡し記録
物理的保護
契約や記録が適切でも、物理的保護が不十分なら指摘事項になります。
どんな場面で使う?
この管理は、次のような場面で使います。
- 磁気テープを外部倉庫へ預ける
- HDDやSSDを専門業者へ搬送する
- 災害対策として別拠点へバックアップを移す
- 廃棄業者へ記録媒体を引き渡す
- 委託先へ個人データを含む媒体を渡す
例えば、製造設備の履歴データを保存したHDDを外部倉庫へ預ける場合、次のように管理します。
媒体を暗号化する
↓
識別番号を付ける
↓
施錠できる耐衝撃ケースに入れる
↓
引渡し記録を残す
↓
委託先の保管状況を定期確認する
よくある誤解・混同
誤解1:機密保持契約があれば、運搬方法は簡単でよい
契約は、秘密を守る義務を明確にするものです。
物理的な衝撃、水濡れ、盗難などを防ぐものではありません。
契約による管理
≠
運搬時の物理的保護
誤解2:受渡し記録があれば、媒体は安全である
受渡し記録は、媒体の所在を追跡するためのものです。
媒体そのものを衝撃や盗難から守るには、別に物理的保護が必要です。
誤解3:段ボール箱に入れれば十分である
段ボール箱は、通常の梱包には使えますが、重要な記録媒体の安全性を十分に確保できるとは限りません。
試験では、次のような表現を疑います。
段ボール箱に入れただけ
袋に入れただけ
担当者が手で持って運ぶだけ
誤解4:外部業者へ預ければ、委託元の責任はなくなる
外部へ委託しても、委託元には適切な委託先を選び、契約し、取扱状況を確認する責任があります。
誤解5:暗号化すれば、物理的保護は不要である
暗号化は、盗難時にデータの内容を読まれにくくする対策です。
しかし、媒体そのものの破損や紛失は防げません。
内容を守る
→ 暗号化
媒体を守る
→ 専用容器・施錠・耐衝撃対策
まとめ(試験直前用)
- 外部保管では、契約・監督・記録・物理的保護を分ける
- 委託先の保管状況を定期的に確認する
- 機密保持や安全管理を契約に盛り込む
- 受渡し日時・媒体・担当者・受領者を記録する
- 段ボール箱だけでは運搬時の保護として不十分
- 施錠できる搬送容器や耐衝撃ケースを使う
- 暗号化は内容の保護、専用容器は媒体の保護
契約・記録があっても、運搬時の物理的保護は別に必要。