最終更新日:2026年8月10日
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まず結論
プロジェクトのスケジュールを短縮する代表的な考え方は、クラッシングとファストトラッキングです。
基本情報技術者試験では、次の違いで切り分けます。
人員・設備などの資源を増やす
→ クラッシング
本来は順番に行う作業を並行して進める
→ ファストトラッキング
迷ったら、「何を変えて期間を短くしているか」を確認します。
- 資源を増やして作業そのものを早くする → クラッシング
- 作業の順序や重なり方を変える → ファストトラッキング
直感的な説明
工事を例に考えます。
ある作業を4日で終える予定だったとします。
クラッシング
作業員を増やしたり、残業を増やしたり、追加の設備を投入したりして、同じ作業をより短い期間で終わらせます。
作業員2人
4日かかる
↓
作業員を増やす
↓
3日で終える
つまり、人や設備を追加して短くする方法です。
ファストトラッキング
本来はAが終わってからBを始める予定だったところを、Aが完全に終わる前にBを始めます。
当初
A → B
短縮後
A ────
B ────
つまり、作業を前倒しして重ねる方法です。
定義・仕組み
クラッシング
クラッシングは、プロジェクトのスコープを大きく変えずに、クリティカルパス上のアクティビティへ追加の資源を投入して所要期間を短縮する考え方です。
追加する資源には、例えば次のようなものがあります。
- 人員を増やす
- 残業や時間外勤務を増やす
- より高性能な設備を追加する
- 外部の専門家を投入する
そのため、クラッシングでは一般にコストが増えやすい点に注意します。
資源を追加
↓
作業期間を短縮
↓
コストは増えやすい
ファストトラッキング
ファストトラッキングは、当初は順番に実施する予定だった作業を、可能な範囲で並行して進めることで全体の期間を短縮する考え方です。
例えば、設計がすべて終わってから開発を始めるのではなく、仕様が固まった部分から開発を先に始めます。
当初
設計 → 開発
ファストトラッキング
設計 ──────
開発 ──────
ただし、前の作業がまだ確定していない段階で次の作業を始めるため、手戻りややり直しのリスクが高まりやすい点に注意します。
2つを比較する
| 見るポイント | クラッシング | ファストトラッキング |
|---|---|---|
| 何を変える? | 資源量 | 作業の順序・重なり |
| 典型例 | 増員、残業、設備追加 | 前倒し、並行実施 |
| 起こりやすい影響 | コスト増 | 手戻り・リスク増 |
| スコープ | 基本的に変えない | 基本的に変えない |
このテーマは、基本情報技術者試験の「プロジェクトマネジメント」と関係する内容です。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験 から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、プロジェクトの期間を短縮するための方法を説明した選択肢から、該当する手法を選ぶ問題として出ます。
最初に、何を変更しているかを確認します。
人員を増やす?
設備を増やす?
残業を増やす?
→ クラッシング
作業を同時に始める?
前工程が終わる前に次工程を始める?
→ ファストトラッキング
「期間短縮」という言葉だけでは決めない
クラッシングもファストトラッキングも目的は期間短縮です。
したがって、
スケジュールを短縮する方法
という説明だけでは判断できません。
次の一言まで読みます。
どうやって短縮する?
他の用語も切り分ける
| 用語 | 主な考え方 | 判断の手掛かり |
|---|---|---|
| クラッシング | 資源を追加して期間短縮 | 増員、追加コスト、時間外勤務 |
| ファストトラッキング | 作業を並行して期間短縮 | 並行、前倒し、作業を重ねる |
| クリティカルチェーン法 | 資源制約やバッファを考えてスケジュール管理 | 資源制約、バッファ |
| モンテカルロ法 | 乱数を使った反復シミュレーション | 確率、乱数、シミュレーション |
クリティカルチェーン法やモンテカルロ法は、クラッシングやファストトラッキングと同じ意味ではありません。
特に、
資源を増やす
→ クラッシング
資源制約を考慮する
→ クリティカルチェーン法
のように、「資源」という言葉だけで決めないことが大切です。
どんな場面で使う?
クラッシングが向く場面
納期を守るために、追加コストを許容してでも作業期間を短くしたい場合に使います。
例えば、重要な作業に経験者を追加したり、一時的に人員や設備を増やしたりします。
ただし、人数を増やせば必ず同じ割合で早くなるとは限りません。作業の分担や調整に時間がかかる場合もあります。
ファストトラッキングが向く場面
作業同士に完全な依存関係がなく、前工程の一部が固まった段階で後工程を始められる場合に使います。
例えば、設計の一部が確定した時点で、その部分だけ先に実装を始める方法です。
一方で、設計変更が発生すると後工程のやり直しが必要になるため、リスクとのバランスが重要です。
よくある誤解・混同
クラッシングは作業を並行する方法?
違います。
資源を増やす
→ クラッシング
作業を並行する
→ ファストトラッキング
ファストトラッキングは人員を増やす方法?
違います。
ファストトラッキングの中心は、作業の順序を変更し、重ねて進めることです。
人員を追加することが判断の中心なら、クラッシングを疑います。
「資源」が出たらクラッシング?
そうとは限りません。
クリティカルチェーン法も資源制約を扱います。
資源を追加する
→ クラッシング
限られた資源を考慮してスケジュールを組む
→ クリティカルチェーン法
増やすのか、制約として考えるのかまで読みます。
モンテカルロ法は期間短縮法?
モンテカルロ法は、乱数を使って多数回シミュレーションし、所要期間やコストなどの不確実性を分析する考え方です。
期間を直接短くする
→ クラッシング / ファストトラッキング
期間を確率的に予測する
→ モンテカルロ法
まとめ(試験直前用)
- 資源を増やして短縮するのがクラッシング
- 作業を並行して短縮するのがファストトラッキング
- クラッシングはコスト増、ファストトラッキングは手戻りリスク増を連想する
- 「資源を追加」と「資源制約を考慮」は別物
- 迷ったら、何を変えて期間を短縮しているかを見る
人・設備・残業を増やす
→ クラッシング
作業を重ねる・前倒しする
→ ファストトラッキング