最終更新日:2026年9月8日
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まず結論
BCPとは、災害やシステム障害が起きても、重要な業務を止めない、または早く復旧するための計画です。
基本情報技術者試験では、次のように切り分けると分かりやすいです。
事業を続けるための計画そのもの → BCP
事業への影響を分析する → BIA
教育・訓練・見直しを続ける → BCM
BCPは、作って終わりの資料ではなく、障害や災害が起きたときに 何を優先し、誰が、どう動くか を決めておく計画です。
直感的な説明
BCPは、会社や組織の「非常時の行動計画」です。
例えば、地震や水害、停電、サーバ障害などが起きると、普段どおりに業務を進められなくなります。
そのときに、何も決めていないと、
どの業務を先に復旧するのか
誰に連絡するのか
代替手段をどう使うのか
どの時間までに再開するのか
が分からず、対応が遅れます。
BCPでは、こうした非常時に備えて、重要業務や復旧手順を事前に決めておきます。
つまり、BCPは 止まらないための計画 というより、正確には 止まっても重要業務を続ける・早く戻すための計画 です。
定義・仕組み
BCPは、Business Continuity Plan の略です。日本語では 事業継続計画 といいます。
内閣府の事業継続ガイドラインに関する案内でも、災害などで事業が中断した場合に、重要な業務を継続し、早期に復旧するための考え方が示されています。
BCPでは、主に次のような内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重要業務 | 災害時にも優先して続ける業務 |
| 代替手段 | 通常の方法が使えないときの手順 |
| 復旧手順 | システムや業務を戻す手順 |
| 連絡体制 | 誰に、どの順番で連絡するか |
| 復旧目標 | いつまでに復旧するか |
| 訓練・見直し | 計画が使えるか確認し、更新すること |
BCPを作る前には、ビジネスインパクト分析を行うことがあります。
BIAで、止まったときの影響を分析する
→ 重要業務や最大停止時間を決める
→ その結果をもとにBCPを作る
この流れで考えると、BIAとBCPを混同しにくくなります。
また、BCPを継続的に運用・改善する活動がBCMです。
BCP:計画
BCM:計画を運用・訓練・見直しする管理活動
BCPで想定する事業中断原因は、自然災害だけではありません。
- 地震や水害などの自然災害
- 停電
- 情報システムの機器故障
- ソフトウェア障害
- マルウェア感染やサイバー攻撃
- 重要な取引先や物流など、サプライチェーンの停止
つまり、判断の中心は 「何が原因か」ではなく、「重要業務が止まるおそれがあるか」 です。
中小企業でBCPを具体的に策定するときは、中小企業庁の中小企業BCP策定運用指針も参考になります。重要業務の選定や事前対策などを、実務に沿って確認できます。
公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。BCPは、サービスマネジメントや事業継続に関する考え方として出題されることがあります。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、計画・分析・運用のどれを説明しているかに注目します。
事業を継続・復旧する計画 → BCP
事業停止の影響を分析する → BIA
教育・訓練・見直しを継続する → BCM
ITシステムの復旧を中心にする → DR
時間に関する選択肢では、RTOは復旧の目標時間、MTDは停止を許容できる限界時間と切り分けます。
BCPの監査では「非常時に本当に動けるか」を見る
BCPについて適切な運用かどうかを問われたら、非常時に実際に使える状態になっているかを確認します。
緊急連絡先を作り、最新版に更新する
→ ○
重要情報を1か所だけに集中保管する
→ ×
全業務を同じ優先度で扱う
→ ×
BCPを関係者に知らせない
→ ×
このタイプの問題では、次の3点を見ると判断しやすくなります。
連絡できるか
→ 連絡先・連絡手順を整備し、最新化する
必要な情報を失わないか
→ バックアップや分散保管を考える
限られた資源をどこに使うか
→ 重要業務から優先する
BCPは、文書を作ること自体が目的ではありません。非常時に関係者が迷わず行動できることが重要です。
復旧の優先順位は「直しやすさ」では決めない
BCPでは、技術的に復旧しやすいシステムから順番に直すのではありません。
技術的に復旧しやすい
→ 優先順位の決め手ではない
停止すると事業への影響が大きい
→ 優先順位を高くする
まず、どの業務を止めると顧客・売上・法令対応・社会的責任などへの影響が大きいかを考えます。
その上で、その重要業務を支えるシステムや設備の復旧を優先します。
BCPの対象は自然災害だけではない
次のような表現が出たら、BCPの対象として考えます。
地震・水害
停電
機器故障
ソフトウェア障害
マルウェア感染
取引先や物流の停止
「自然災害だけを対象とする」という選択肢は、BCPを狭く捉えすぎています。
自社だけで完結するとは限らない
事業継続は、取引先や物流、外部サービスに依存していることがあります。
自社は正常
↓
重要部品の供給が止まる
↓
製造できない
このような場合、自社組織の範囲だけを見ても事業継続はできません。
サプライチェーンや重要な外部委託先も含めて、事業中断のリスクを考えます。
どんな場面で使う?
BCPは、業務が止まるおそれがある場面で使います。
例えば、次のような場面です。
- 地震や水害で事業所が使えない
- 停電でシステムが停止する
- サーバ障害で受注処理ができない
- サイバー攻撃で一部システムを止める必要がある
- 重要な取引先や物流が止まる
このとき、BCPでは 全部を一気に元どおりにする とは考えません。
まずは、事業への影響が大きい業務を優先します。
重要業務を先に復旧する
代替手段で最低限の業務を続ける
復旧目標時間までにサービスを再開する
という考え方です。
FE試験では、BCPを「災害時のバックアップだけ」と狭く考えないことが大切です。
バックアップはBCPの一部になり得ますが、BCP全体は、業務、体制、連絡、代替手順、復旧方針まで含む計画です。
中小企業では、BCPと関連する実践的な制度として「事業継続力強化計画」もあります。制度の概要や策定方法は、中小企業基盤整備機構の事業継続力強化計画サイトで確認できます。BCPと全く同じ制度ではありませんが、災害などへの事前対策を考える際の参考になります。
よくある誤解・混同
BCPで混同しやすいのは、BIA、BCM、DRとの違いです。
| 用語 | 見分け方 |
|---|---|
| BCP | 事業を継続・復旧するための計画 |
| BIA | 業務停止時の影響を分析する作業 |
| BCM | BCPを含めて、教育・訓練・見直しを続ける管理活動 |
| DR | 災害時にITシステムを復旧する対策 |
特に試験では、次のように判断します。
計画を作る・代替手順を決める → BCP
影響度や最大停止時間を決める → BIA
訓練・教育・見直しを続ける → BCM
ITシステム復旧に焦点がある → DR
「自然災害だけ」が対象ではない
BCPは地震や台風だけに備える計画ではありません。
自然災害だけ
→ ×
自然災害+IT障害+サイバー攻撃+サプライチェーン停止
→ ○
原因ではなく、事業中断につながるかどうかで考えます。
「復旧しやすいものから直す」ではない
BCPの復旧優先順位は、技術的な容易さではなく 事業への影響度・重要度 を基準にします。
簡単に直せる
→ 重要とは限らない
止まると事業への影響が大きい
→ 優先して復旧する
「上級管理者だけに周知する」ではない
BCPは、非常時に実際に動く関係者が理解していなければ機能しません。
そのため、教育・訓練・テスト・見直しを通じて、関係する組織の構成員へ周知します。
この継続的な活動は、BCMとは?BCPを作って終わりにしない継続的な管理活動で整理しています。
「自社だけ見ればよい」ではない
事業が重要な取引先、物流、クラウドサービスなどに依存している場合、それらの停止も自社の事業中断につながります。
したがって、BCPでは必要に応じてサプライチェーンや外部サービスも考慮します。
また、RTOとMTDもBCP周辺でよく出ます。
RTO:いつまでに復旧するかという目標
MTD:最大でどれだけ停止を許容できるかという限界
BCPでは、BIAで整理した影響度や停止可能時間をもとに、復旧の優先順位や復旧目標を決めていきます。
まとめ(試験直前用)
- BCPは、災害や障害時に 重要業務を継続・復旧するための計画
- 復旧の優先順位は、技術的な容易さではなく 事業への影響度・重要度 で決める
- 緊急連絡先や連絡手順は、非常時に使えるよう 整備・最新化 しておく
- 重要情報は、1か所だけに集中させず、バックアップや分散保管を考える
- 対象は自然災害だけでなく、IT障害、マルウェア感染、サプライチェーン停止なども含む
- BIAは、業務停止時の影響や最大停止時間を分析する作業
- BCMは、BCPを教育・訓練・見直しで継続的に改善する活動
- バックアップだけでなく、代替手順、連絡体制、復旧手順も含めて考える
- 「計画そのもの」ならBCP、「分析」ならBIA、「継続的な管理」ならBCM