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最終更新日:2026年8月10日

まず結論

職務著作とは、法人などの発意に基づき、その法人の業務に従事する人が職務上作成した著作物について、一定の要件を満たすと法人などが著作者になる仕組みです。

基本情報技術者試験でプログラムの著作物について問われたら、まず次のように切り分けます。

個人が自分の意思で作成
→ 原則:作成した本人が著作者

法人の発意に基づき
従業員が職務上プログラムを作成
→ 職務著作を疑う
→ 契約・勤務規則などに別段の定めがなければ法人が著作者

覚える一文はこれです。

「従業員が作った=必ず従業員の権利」ではない。職務上のプログラムなら法人側を確認する。

直感的な説明

例えば、会社が社内システムの開発を企画し、その業務を担当する従業員がプログラムを作ったとします。

会社
「この業務システムを開発する」
        ↓
業務として担当
        ↓
従業員がプログラムを作成

実際にキーボードを操作してコードを書いたのは従業員です。

しかし、FE試験では単純に、

コードを書いた人
→ 必ず著作者

とは判断しません。

確認するのは、誰の発意で、どのような立場・仕事として作ったかです。

誰が入力したか?
ではなく

法人の発意か?
職務上の作成か?
契約や勤務規則に別段の定めがあるか?

という順番で考えます。

定義・仕組み

著作権法では、著作物を創作した人が著作者になるのが原則です。

一方で、職務上作成する著作物については例外があります。

プログラムの職務著作

著作権法第15条第2項では、法人などの発意に基づき、その法人などの業務に従事する人が職務上作成するプログラムの著作物について、作成時の契約・勤務規則などに別段の定めがない限り、法人などを著作者とすると定めています。

試験向けには、次の3点を確認します。

1. 法人などの発意に基づいている
2. その法人の業務に従事する人が職務上作成している
3. 契約・勤務規則などに別段の定めがない

この条件であれば、プログラムの著作者は法人などになります。

制度の条文は、e-Gov法令検索:著作権法 第15条 で確認できます。

「著作者」と「著作権者」を混同しない

著作者とは、著作物を創作した主体として著作権法上認められる人・法人です。

著作権者とは、著作権という財産的な権利を持つ主体です。

通常は著作者に著作権が発生しますが、著作権は譲渡されることもあるため、いつでも両者が同じとは限りません。

ただし、職務著作が成立して法人が著作者になる場合は、従業員に発生した著作権を後から法人へ譲渡する、という考え方ではありません

職務著作が成立
→ 法人が著作者
→ 「まず従業員に帰属して後で譲渡」とは考えない

プログラム以外との違い

著作権法第15条では、プログラム以外の職務著作については「法人などが自己の著作名義で公表する」という要件があります。

一方、プログラムの著作物については、この公表名義の要件がありません

一般の職務著作
→ 法人名義で公表することも要件の一つ

プログラムの職務著作
→ 法人名義での公表は要件ではない

FE試験では、プログラムについて問われているかを確認すると整理しやすくなります。

科目Aでどう出る?

科目Aでは、従業員が職務上作成したプログラムについて、権利関係を説明した選択肢から正しいものを選ぶ形が考えられます。

判断するときは、次の順番で読みます。

法人の発意か?
↓
従業員が職務上作成したか?
↓
プログラムの著作物か?
↓
契約・勤務規則などに別段の定めがあるか?

選択肢を切る判断軸

選択肢の表現 判断
職務上作成したプログラムは、別段の定めがなければ法人が著作者 正しい方向
いったん従業員に権利が帰属し、法人へ譲渡する 職務著作の成立を前提とするなら誤り
従業員が著作者だが、法人には自動的に使用権だけがある 誤り
法人が権利を得るには必ず従業員へ対価を払う必要がある 職務著作の要件ではない

試験中は、次の一文を思い出します。

職務著作は「従業員から法人への譲渡」の話ではなく、誰が著作者になるかの話。

どんな場面で使う?

社内システムを従業員が開発する

会社の企画・指示に基づき、従業員が通常の業務としてプログラムを作る場合は、職務著作の考え方が関係します。

会社の発意
+
従業員の職務上の開発
→ 職務著作を確認

個人が業務外で自主的に作る

会社員であるというだけで、作ったプログラムがすべて会社の職務著作になるわけではありません。

会社員が作った
≠ 自動的に会社の著作物

法人の発意や職務上の作成といえるかを確認します。

外部の会社や個人へ開発を委託する

「費用を払って作ってもらった」ことだけで、発注者が著作者になるとは限りません。

職務著作は、法人の業務に従事する人が職務上作成する場面を扱うため、外部委託では契約内容や権利の譲渡条項などを別に確認する必要があります。

著作物を利用するときの許諾や引用などについては、著作権法で認められる利用の記事 で整理しています。

よくある誤解・混同

❌ コードを書いた従業員が必ず著作者になる

原則論だけで判断してはいけません。

法人の発意に基づいて従業員が職務上作成したプログラムでは、職務著作が成立する可能性があります。

誰が書いた?
だけではなく

誰の発意?
職務上?
別段の定めは?

を確認します。

❌ 職務著作では、従業員から法人へ著作権を譲渡する

職務著作が成立する場合、法人が著作者になるため、単純な「従業員から法人への譲渡」とは考えません。

最初は従業員
↓
法人へ譲渡

ではなく

職務著作が成立
↓
法人が著作者

❌ 法人はプログラムを使用できるだけで、著作権は従業員に残る

職務著作が成立して法人が著作者となる場合には、この理解は誤りです。

❌ 法人が権利を持つには必ず相当の対価を支払う

著作権法第15条の職務著作について、従業員への対価の支払いは成立要件として定められていません。

特許法の職務発明など、別の制度と混同しないようにします。

❌ 従業員が作ったものはすべて法人のもの

誤りです。

法人の発意に基づき、職務上作成したことなど、職務著作の要件を確認する必要があります。

❌ プログラムも法人名義で公表しないと職務著作にならない

プログラムの著作物については、著作権法第15条第2項が適用され、法人名義で公表することは要件に含まれていません。

まとめ(試験直前用)

  • 著作物は原則として、創作した人が著作者になる
  • 法人の発意に基づき、従業員が職務上作成したプログラムは職務著作を疑う
  • 契約・勤務規則などに別段の定めがなければ、法人が著作者になる
  • 職務著作は「従業員から法人へ後で譲渡する」という話ではない
  • 従業員への対価の支払いは、著作権法第15条の成立要件ではない
  • プログラムの職務著作には、法人名義で公表する要件がない
  • 「誰が書いたか」だけでなく、「誰の発意で、どの仕事として作ったか」で判断する

プログラムの職務著作は、法人の発意・職務上の作成・別段の定めの有無で切る。

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