最終更新日:2026年7月20日
fe fe-strategy legal-affairs contract
まず結論
契約不適合責任とは、納品物が契約で約束した内容に適合していない場合に、受注者などが負う責任です。
ソフトウェア開発委託では、仕様どおりに動かない、必要な機能がない、約束した性能を満たさないといった場合が典型です。
試験では、次の一文を判断軸にします。
納品物を直す根拠は契約不適合責任、発生した損害を補うのは損害賠償責任。
直感的な説明
発注者が、外部の開発会社へ次のように依頼したとします。
受注管理機能を備えたシステムを作る
応答時間は3秒以内にする
指定した帳票を出力できるようにする
ところが、納品されたシステムで帳票が出力できなかった場合、実際の納品物は契約内容に合っていません。
契約で約束した内容
≠
実際に納品されたもの
このような不一致に対して、修補や代替、代金減額などを求める根拠になるのが契約不適合責任です。
定義・仕組み
契約不適合責任では、納品物が契約内容に適合しているかを確認します。
ソフトウェア開発で問題になりやすい例
- 仕様書どおりに動作しない
- 必要な機能が実装されていない
- 約束した処理性能を満たしていない
- 正常に利用できない重大な不具合がある
- 納品された数量や構成が契約と異なる
発注者が求める代表的な対応
| 対応 | 意味 |
|---|---|
| 修補 | 不具合を修正して契約に適合させる |
| 代替 | 適合する別の成果物へ交換する |
| 代金減額 | 不適合の程度に応じて代金を減らす |
| 契約解除 | 条件を満たす場合に契約を解消する |
| 損害賠償 | 不適合によって生じた損害を補う |
試験では、まず「納品物を直してもらう話」なのか、「損害を補ってもらう話」なのかを分けます。
納品物の不具合を修正する
→ 契約不適合責任
不具合で生じた損失を補う
→ 損害賠償責任
科目Aでどう出る?
科目Aでは、責任や義務の説明を見て名称を選ぶ問題が出ます。
典型的な切り分け
| 問題文の中心 | 対応する責任・義務 |
|---|---|
| 納品物が仕様どおりでない | 契約不適合責任 |
| 受託業務を適切な注意で行う | 善管注意義務 |
| 発生した損害を補う | 損害賠償責任 |
| 秘密情報を漏らさない | 秘密保持義務 |
次の表現があれば、契約不適合責任を疑います。
- 納品後
- 不具合
- 仕様どおりでない
- 無償修正
- 一定期間内
- 修補
図式で覚える
成果物を見る
→ 契約不適合責任
仕事の進め方を見る
→ 善管注意義務
生じた損害を見る
→ 損害賠償責任
情報の扱いを見る
→ 秘密保持義務
どんな場面で使う?
ソフトウェア開発委託
納品されたシステムが仕様書どおりに動くかを確認するときに問題になります。
要件定義
↓
設計・開発
↓
受入テスト
↓
納品
↓
契約内容との適合を確認
保守契約との関係
納品後の不具合修正について、契約不適合責任と保守契約が混同されることがあります。
- 契約不適合責任:納品時点で契約内容に適合していない問題
- 保守契約:運用開始後の問い合わせ、障害対応、改修など
契約書で明確にしておく内容
実務では、次の内容を明確にするとトラブルを防ぎやすくなります。
- 何を不具合とするか
- 無償修正の対象範囲
- 無償対応の期間
- 発注者側の環境変更をどう扱うか
- 修正後の確認方法
- 損害賠償の範囲と上限
よくある誤解・混同
契約不適合責任と善管注意義務
善管注意義務は、善良な管理者として通常求められる注意をもって業務を処理する義務です。
| 比較 | 契約不適合責任 | 善管注意義務 |
|---|---|---|
| 注目点 | 完成した成果物 | 業務の進め方 |
| 典型例 | 仕様どおりに動かない | 管理や確認が不十分 |
| 判断語 | 納品、不具合、修補 | 注意、管理、適切な遂行 |
成果物を見るなら契約不適合、仕事の進め方を見るなら善管注意義務。
契約不適合責任と損害賠償責任
この2つは同時に問題になることがありますが、目的が違います。
| 比較 | 契約不適合責任 | 損害賠償責任 |
|---|---|---|
| 注目点 | 納品物が契約に合っているか | 損害が発生したか |
| 主な対応 | 修補、代替、代金減額 | 損害を補償する |
| 覚え方 | まず納品物を直す | 発生した損害を埋める |
契約不適合責任と秘密保持義務
秘密保持義務は、業務上知った秘密情報を第三者へ漏らさない義務です。
納品物の品質や仕様
→ 契約不適合責任
営業秘密や個人情報の管理
→ 秘密保持義務
契約書に書かなければ責任は生じない?
そのように単純には言えません。
契約書には、責任の内容、期間、対応方法、免責範囲などを具体的に定めます。契約内容を明確にすることで、どこまでが無償修正の対象かを判断しやすくなります。
まとめ(試験直前用)
- 納品物が契約内容に合っていないなら契約不適合責任
- 業務を適切な注意で進めるなら善管注意義務
- 発生した損害を補うなら損害賠償責任
- 秘密情報を漏らさないなら秘密保持義務
試験直前には、次の順で思い出します。
成果物
→ 契約不適合責任
業務遂行
→ 善管注意義務
損害
→ 損害賠償責任
秘密
→ 秘密保持義務
直すなら契約不適合、損害を埋めるなら損害賠償。