最終更新日:2026年10月3日
fe fe-technology system security
まず結論
RASISは、コンピュータシステムを信頼性・可用性・保守性・保全性・機密性の5つの観点で評価する考え方です。
「故障しにくい」「必要なときに使える」「直しやすい」「データが正しい」「不正から守る」と意味に置き換えると、似た用語を切り分けやすくなります。特に、2つのSは別の英単語です。
直感的な説明
予約システムでは、「予約を登録する機能がある」だけでは安心して使えません。同じシステムでも、次の5つを別々に確認します。
| 観点 | 確認したいこと | 予約システムの例 |
|---|---|---|
| 信頼性 | 故障しにくいか | 長時間、正常に動き続ける |
| 可用性 | 必要なときに使えるか | 受付時間に予約を登録できる |
| 保守性 | 障害時に直しやすいか | 原因を調べやすく、復旧手順が整っている |
| 保全性 | データの正しさが保たれるか | 予約日時や人数が欠落・改ざんされない |
| 機密性 | 許可されていない人に情報を見せないか | 利用者の連絡先を担当者だけが閲覧できる |
例えば、故障が少なくても、故障するたびに復旧に何日もかかるなら、必要なときに使えない時間が増えます。故障しにくさと、使える状態を保つことは同じではありません。
定義・仕組み
RASISは「レイシス」と読み、次の英単語の頭文字を並べたものです。
| 文字 | 英語 | 日本語での呼び方 | 代表的な判断材料 |
|---|---|---|---|
| R | Reliability | 信頼性 | MTBF(平均故障間隔)が大きいほど、故障せず動く時間が長い |
| A | Availability | 可用性 | 稼働率が高いほど、使える時間の割合が大きい |
| 最初のS | Serviceability | 保守性 | MTTR(平均修理時間)が小さいほど、修理にかかる時間が短い |
| I | Integrity | 保全性・完全性 | データや処理の正確さが保たれ、欠落や改ざんがない |
| 最後のS | Security | 機密性・安全性 | 不正アクセスや漏えいなどからシステム・情報を守る |
日本語の表記には揺れがあります。Integrityは「保全性」「完全性」、Securityは「機密性」「安全性」と表されることがあります。英語と意味を合わせて覚えると判断しやすくなります。
ここでのSecurityは、セキュリティに関する広い観点です。RASISで「機密性」と訳されるからといって、Security全体が情報を秘密にすることだけを意味するわけではありません。
IPAが公開する非機能要求記述ガイドライン(2008年、PDF)の補足説明には、この5要素の対応が示されています。ここではRASISという用語の確認に用いており、最新のソフトウェア品質規格の分類として扱っているわけではありません。
MTBF・MTTRと可用性の関係
故障と修理を繰り返すシステムで、稼働率を求める代表的な式は次のとおりです。
稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR)
MTBFは故障せずに稼働した時間の平均、MTTRは修理にかかった時間の平均です。
| 条件 | MTBF | MTTR | 稼働率 |
|---|---|---|---|
| 修理に時間がかかる | 100時間 | 10時間 | 約90.9% |
| 修理を早く終えられる | 100時間 | 1時間 | 約99.0% |
この比較ではMTBFは同じです。それでも、MTTRを短くすれば停止する時間が減り、稼働率は高まります。保守性の改善が可用性の向上につながる例です。
時間の集計や計算方法はMTBF・MTTRと稼働率の関係で、利用者が必要な機能を使えるという観点はサービスの可用性で詳しく確認できます。
科目Aでどう出る?
RASISの構成要素や、説明と用語の対応を判断します。略称の順番に加えて、何を評価している文かを読み取るのがポイントです。
| 説明の手掛かり | 対応する要素 |
|---|---|
| 故障せずに動作する、平均故障間隔が長い | 信頼性(R) |
| 必要なときに利用できる、稼働率が高い | 可用性(A) |
| 修理しやすい、平均修理時間が短い | 保守性(最初のS) |
| データが正確、欠落・改ざんを防ぐ | 保全性(I) |
| 許可されていないアクセスや情報漏えいを防ぐ | 機密性・安全性(最後のS) |
経済性や拡張性などもシステムにとって大切ですが、RASISの5文字に対応する構成要素ではありません。「良いシステムの条件」というだけで選ばず、英語の頭文字との対応を確認します。
どんな場面で使う?
システムの設計や運用で、「どの品質を改善したいか」を整理する場面で役立ちます。
例えば、予約システムで復旧手順を整備する直接の目的は、障害時に直しやすくすることです。これは保守性に関係し、復旧時間が短くなれば可用性の向上にもつながります。
一方、担当者のアクセス権限を設定する目的は、不正な閲覧や変更を防ぐことです。これはSecurityに関係し、変更を防ぐことでIntegrityを守ることにもつながります。
実際の対策は複数の要素に関係します。 用語問題では、対策名だけで決めず、説明が「直しやすさ」「使える状態」「情報の保護」のどれを直接評価しているかを見ます。
よくある誤解・混同
| 混同 | 切り分け方 |
|---|---|
| 信頼性と可用性は同じ | 信頼性は故障しにくさ。可用性は必要なときに使えること |
| 保守性と保全性は同じ | 保守性は修理・復旧のしやすさ。保全性はデータや処理の正しさ |
| 2つのSは同じ意味 | 最初はServiceability、最後はSecurity |
| Securityは災害や障害への耐性だけを表す | 不正アクセスや漏えいから守る観点も必要。災害対策は可用性や復旧にも関係する |
| 稼働率が高ければ、情報も安全 | 利用できても漏えいや改ざんは起こり得る。別の観点で確認する |
情報セキュリティのCIA(機密性・完全性・可用性)とは重なる観点がありますが、略称を作る英単語と整理の目的が異なります。RASISの最後のSを、CIAのCと完全に同じ範囲だと考えないようにします。
まとめ(試験直前用)
- Rは信頼性:故障しにくい。MTBFは大きいほどよい。
- Aは可用性:必要なときに使える。代表指標は稼働率。
- 最初のSは保守性:直しやすい。MTTRは小さいほどよい。
- Iは保全性・完全性:データや処理の正しさを保つ。
- 最後のSは機密性・安全性:不正アクセスや漏えいなどから守る。