最終更新日:2026年8月10日
fe fe-technology network
まず結論
ARP(Address Resolution Protocol)は、相手のIPアドレスは分かっているがMACアドレスが分からないときに、対応するMACアドレスを調べる仕組みです。
基本情報技術者試験では、次の対応を最初に押さえると選択肢を切りやすくなります。
IPアドレスは分かっている
↓
MACアドレスを知りたい
↓
ARP
似た用語は、何を調べる・設定する・変換するのかで切り分けます。
IP → MAC
→ ARP
IPアドレスなどを自動設定
→ DHCP
通信エラーや到達確認
→ ICMP
プライベートIPとグローバルIPを変換
→ NAT
直感的な説明
ネットワークで相手へデータを届けるとき、IPアドレスだけでなく、同じネットワーク内ではMACアドレスも使います。
初心者のうちは、次のように考えると分かりやすいです。
IPアドレス
→ 相手を特定するためのネットワーク上の住所
MACアドレス
→ 同じネットワーク内で実際の届け先を指定するための機器側の識別情報
例えば、送信したい相手のIPアドレスが 192.168.1.20 だと分かっていても、その相手のMACアドレスが分からないとします。
そのときARPを使って、
「192.168.1.20 を使っている機器は誰ですか?」
とネットワーク内へ問い合わせます。
該当する機器が、
「私です。MACアドレスは AA:BB:CC:DD:EE:FF です」
と応答します。
つまり、ARPはIPアドレスとMACアドレスの対応を調べる橋渡しです。
定義・仕組み
ARPは、IPv4ネットワークでIPアドレスに対応するMACアドレスを取得するときに使われます。
基本的な流れは次のとおりです。
1. 相手のIPアドレスを確認する
2. 対応するMACアドレスが分からない
3. ARP要求を送る
4. 該当する機器がARP応答を返す
5. IPアドレスとMACアドレスの対応を記憶する
6. そのMACアドレスを使って通信する
ARP要求
送信元は、対象のIPアドレスを持つ機器を探すためにARP要求を送ります。
イメージとしては、
このIPアドレスを持っている人は誰?
という問い合わせです。
ARP応答
対象のIPアドレスを持つ機器は、自分のMACアドレスを返します。
そのIPアドレスは私です
↓
私のMACアドレスはこれです
ARPキャッシュ
毎回同じ相手へARP要求を送るのは効率がよくありません。
そのため、取得したIPアドレスとMACアドレスの対応を一定時間記憶します。この対応情報を保持する領域をARPキャッシュと呼びます。
IPアドレス MACアドレス
192.168.1.20 → AA:BB:CC:DD:EE:FF
192.168.1.30 → 11:22:33:44:55:66
このテーマは、基本情報技術者試験のネットワーク分野と関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験 から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、複数のネットワーク用語の中から、説明に合うものを選ぶ問題が出ます。
ARPでは、問題文に次の組合せがあるかを確認します。
IPアドレスが既知
+
MACアドレスが未知
↓
ARP
ARP・DHCP・ICMP・NATを切り分ける
| 用語 | 何をする? | 問題文の手掛かり |
|---|---|---|
| ARP | IPアドレスからMACアドレスを調べる | IPは既知、MACを取得 |
| DHCP | IPアドレスなどを自動設定する | 自動割当て、ネットワーク設定 |
| ICMP | 通信状態やエラーを通知する | 到達確認、エラー通知 |
| NAT | IPアドレスを変換する | プライベートIP、グローバルIP、変換 |
特にARPとDHCPは、どちらもアドレスに関係するため混同しやすいです。
ARP
→ 相手のIPはすでに分かっている
→ MACアドレスを調べたい
DHCP
→ 自分が使うIPアドレスなどを設定してほしい
DHCPの役割は、DHCPとは?IPアドレスを自動で割り当てる仕組みで詳しく整理しています。
NAT・NAPTとの違いは、NAPTとは?NATとの違いとIPマスカレードの仕組みで確認できます。
どんな場面で使う?
同じLAN内の別の機器へIPv4で通信するとき、送信先のMACアドレスが必要になる場面でARPが使われます。
例えば、PC AからPC Bへ通信するとします。
PC A
IP: 192.168.1.10
PC B
IP: 192.168.1.20
PC AはPC BのIPアドレスを知っていても、MACアドレスをまだ知らないことがあります。
その場合、ARPでMACアドレスを確認してから通信します。
PC A
↓ ARP要求
「192.168.1.20 は誰?」
↓
PC B
↓ ARP応答
「私です。MACアドレスはこれです」
なお、通信相手が別のネットワークにいる場合は、最終的な相手のMACアドレスではなく、まず同一ネットワーク上のデフォルトゲートウェイなどのMACアドレスをARPで調べて送信します。
よくある誤解・混同
ARPはIPアドレスを割り当てる?
違います。
IPアドレスを自動で割り当てる
→ DHCP
IPアドレスからMACアドレスを調べる
→ ARP
ARPはIPアドレスを変換する?
ARPは、IPアドレスそのものを別のIPアドレスへ変換する仕組みではありません。
IP → MAC の対応を調べる
→ ARP
プライベートIP ↔ グローバルIP
→ NAT
ARPは通信できるか確認する?
ARPの主な役割はMACアドレスの取得です。
通信の到達確認やエラー通知という説明なら、ICMPを疑います。
相手のMACアドレスを知りたい
→ ARP
通信できるか確認したい
→ ICMP
MACアドレスはインターネット全体でそのまま使う?
MACアドレスは、主に同一リンク内でフレームを届けるために使われます。
ルータを越えて通信するときは、区間ごとに使われるMACアドレスが変わります。
そのため、遠くのサーバのMACアドレスをARPで直接取得してインターネット全体を通信するわけではありません。
ARPはIPv6でも同じように使う?
IPv6では、IPv4のARPと同じ役割をそのままARPで行うのではなく、近隣探索の仕組みが使われます。
FE試験のARP基本問題では、まずIPv4での
IPアドレス → MACアドレス
という役割を確実に押さえることを優先します。
まとめ(試験直前用)
- ARPは、IPアドレスから対応するMACアドレスを調べる
- 「IPは分かる、MACが分からない」ならARPを疑う
- DHCPはIPアドレスなどの自動設定、ARPとは役割が違う
- ICMPは到達確認やエラー通知、NATはIPアドレス変換
- 迷ったら、何から何を求めているのかを見る
IP → MAC
→ ARP