最終更新日:2026年8月5日
fe fe-technology network
まず結論
NAPTとは、IPアドレスとポート番号を変換し、複数の端末で一つのグローバルIPアドレスを共有する仕組みです。
基本情報技術者試験では、次の言葉が出たらNAPTを疑います。
複数の端末
+
一つのグローバルIPアドレス
+
インターネット接続
NATとの違いは、ポート番号も使って複数の通信を区別するかどうかです。
| 用語 | 主に変換するもの | 基本的な対応 |
|---|---|---|
| NAT | IPアドレス | 1対1 |
| NAPT | IPアドレス+ポート番号 | 多対1 |
一言で覚えるなら、次のとおりです。
一つのグローバルIPアドレスを複数端末で共有するならNAPT。
直感的な説明
家庭や小規模な事務所では、スマートフォン、パソコン、テレビなど、複数の端末が同じルータを通じてインターネットへ接続します。
各端末は、家庭内や社内で使うプライベートIPアドレスを持っています。
パソコン 192.168.1.10
スマートフォン 192.168.1.11
テレビ 192.168.1.12
しかし、インターネット側では、一つのグローバルIPアドレスを共有していることがあります。
192.168.1.10 ┐
192.168.1.11 ├→ 203.0.113.10 → インターネット
192.168.1.12 ┘
このままでは、インターネットから返ってきたデータを、どの端末へ届ければよいか区別できません。
そこでNAPTは、IPアドレスだけでなくポート番号も使います。
192.168.1.10:50001 ┐
192.168.1.11:50002 ├→ 203.0.113.10:異なるポート番号
192.168.1.12:50003 ┘
ルータは、変換前と変換後の対応を記録しておきます。
返ってきたデータのポート番号を見れば、どの端末へ戻すべきか判断できます。
定義・仕組み
プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレス
プライベートIPアドレスは、家庭内や社内などの閉じたネットワークで使うIPアドレスです。
一方、グローバルIPアドレスは、インターネット上で通信相手を識別するために使われます。
| 種類 | 主な利用範囲 |
|---|---|
| プライベートIPアドレス | 家庭内、社内LANなど |
| グローバルIPアドレス | インターネット上 |
プライベートIPアドレスは、そのままではインターネット上の送信元アドレスとして使えません。
ルータなどが、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスへ変換します。
NATとは
NATは、Network Address Translationの略です。
NATは、主にプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換します。
192.168.1.10
⇔
203.0.113.10
基本的には、一つのプライベートIPアドレスに対して、一つのグローバルIPアドレスを対応させる考え方です。
そのため、複数の端末で一つのグローバルIPアドレスを同時に共有するには、それだけでは端末を区別できません。
NAPTとは
NAPTは、Network Address Port Translationの略です。
NAPTでは、IPアドレスに加えてポート番号も変換します。
例えば、2台の端末がWebサイトへ接続する場面を考えます。
| 端末 | 変換前 | 変換後の例 |
|---|---|---|
| パソコン | 192.168.1.10:50001 | 203.0.113.10:61001 |
| スマートフォン | 192.168.1.11:50002 | 203.0.113.10:61002 |
グローバルIPアドレスは同じでも、変換後のポート番号が異なります。
ルータは、次のような対応表を持ちます。
203.0.113.10:61001 → 192.168.1.10:50001
203.0.113.10:61002 → 192.168.1.11:50002
この対応表によって、返ってきたデータを正しい端末へ届けます。
IPマスカレードとの関係
IPマスカレードは、一般にNAPTとほぼ同じ意味で使われる用語です。
試験では、次のように整理すると判断しやすくなります。
複数のプライベートIPアドレス
+
一つのグローバルIPアドレス
+
ポート番号で通信を区別
→ NAPT(IPマスカレード)
このテーマは、基本情報技術者試験の「ネットワーク」に関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、機能の説明から用語を選ぶ問題が中心です。
特に、次の表で切り分けます。
| 用語 | 役割 | 判断の合図 |
|---|---|---|
| DHCP | 端末へIPアドレスなどを自動設定する | 自動割当て、アドレスプール |
| DNS | ドメイン名とIPアドレスを対応付ける | 名前解決、ドメイン名 |
| NAPT | 複数端末で一つのグローバルIPアドレスを共有する | 複数端末、一つのグローバルIP、ポート番号 |
| RADIUS | 認証・認可・利用記録を一元管理する | AAA、リモートアクセス認証 |
| PPPoE | Ethernet上でPPP接続を行う | プロバイダ接続、利用者認証 |
| パケットフィルタリング | パケットを検査して通信を許可・拒否する | ヘッダー検査、通過制御 |
「複数」と「一つ」に注目する
問題文に次の表現があれば、NAPTが有力です。
複数の端末
複数のプライベートIPアドレス
一つのグローバルIPアドレス
同時にインターネットへ接続
一方、単に「IPアドレスを自動的に割り当てる」と書かれていればDHCPです。
ポート番号に注目する
NATとNAPTの違いを直接問われる場合は、ポート番号が判断ポイントです。
IPアドレスだけを変換
→ NAT
IPアドレスとポート番号を変換
→ NAPT
装置の位置より機能を見る
ルータや回線終端装置の近くに置かれる機能は、選択肢で混同しやすくなります。
装置の位置ではなく、問題文が求めている機能で判断します。
IPアドレスを配る
→ DHCP
一つのグローバルIPアドレスを共有する
→ NAPT
プロバイダとの接続を確立する
→ PPPoE
通信を通すか止めるか決める
→ パケットフィルタリング
どんな場面で使う?
NAPTは、家庭用ルータや企業のルータで広く使われます。
家庭で複数端末を接続する
家庭では、次のような複数の端末を一つの回線へ接続します。
- パソコン
- スマートフォン
- ゲーム機
- テレビ
- IoT機器
NAPTを使えば、一つのグローバルIPアドレスを共有しながら、それぞれの端末が通信できます。
社内LANからインターネットへ接続する
企業では、多数の社内端末にプライベートIPアドレスを設定し、外部への通信をルータでまとめることがあります。
社内の多数の端末
↓
ルータでNAPT
↓
少数のグローバルIPアドレス
これにより、端末ごとにグローバルIPアドレスを用意しなくても、インターネットへ接続できます。
外部から内部へ接続するとき
NAPTでは、通常、内部の端末から始めた通信に基づいて変換表が作られます。
そのため、外部から内部の特定端末へ接続させる場合は、ポート転送などの設定が必要になることがあります。
NAPTを使えば、外部からの通信がすべて自動的に内部へ届くわけではありません。
よくある誤解・混同
誤解1:NATとNAPTは全く同じ
両者は似ていますが、変換に使う情報が違います。
| 用語 | IPアドレス | ポート番号 |
|---|---|---|
| NAT | 変換する | 基本的には変換しない |
| NAPT | 変換する | 変換する |
試験では、複数端末を一つのグローバルIPアドレスへ対応させる説明ならNAPTです。
誤解2:DHCPがグローバルIPアドレスを共有させる
DHCPの役割は、端末へIPアドレスなどの設定情報を自動的に配ることです。
IPアドレスを配る
→ DHCP
一つのグローバルIPアドレスを共有する
→ NAPT
役割が異なります。
誤解3:DNSがIPアドレスを変換する
DNSもIPアドレスを扱いますが、役割は名前解決です。
example.com → 203.0.113.10
これはドメイン名とIPアドレスの対応付けであり、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの変換ではありません。
誤解4:RADIUSはルータのアドレス変換機能
RADIUSは、利用者の認証、利用権限の確認、利用記録の管理に使われます。
Authentication 認証
Authorization 認可
Accounting 利用記録
この三つはAAAと呼ばれます。
NAPTのようなアドレス変換の仕組みではありません。
誤解5:PPPoEとNAPTは同じ接続機能
PPPoEは、Ethernet上でPPPを利用し、主にプロバイダとの接続や認証を行うための仕組みです。
NAPTは、LAN内の複数端末が一つのグローバルIPアドレスを共有する仕組みです。
プロバイダとの接続を確立する
→ PPPoE
複数端末の通信を一つのグローバルIPアドレスへまとめる
→ NAPT
どちらもルータで使われることがありますが、役割は異なります。
誤解6:パケットフィルタリングがIPアドレスを共有させる
パケットフィルタリングは、送信元・宛先IPアドレス、ポート番号、プロトコルなどを調べ、通信を許可するか拒否するかを決める機能です。
通信を通すか止めるか決める
→ パケットフィルタリング
IPアドレスとポート番号を変換する
→ NAPT
パケットフィルタリングは通信の通過制御であり、アドレス変換ではありません。
誤解7:NAPTを使えば外部から内部へ自由に接続できる
NAPTは、複数端末の外向き通信を一つのグローバルIPアドレスへまとめる仕組みです。
外部から内部の特定端末へ接続する場合は、ポート転送などを別に設定することがあります。
「アドレスを共有できること」と「外部から自由に接続できること」は同じではありません。
まとめ(試験直前用)
- NATは主にIPアドレスを変換する
- NAPTはIPアドレスとポート番号を変換する
- 複数端末で一つのグローバルIPアドレスを共有するならNAPT
- IPマスカレードは、一般にNAPTとほぼ同じ意味で使われる
- DHCPは自動割当て、DNSは名前解決、RADIUSは認証・認可・利用記録
- PPPoEはプロバイダ接続、パケットフィルタリングは通信の許可・拒否