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まず結論

派遣労働者に対する法令上の責任は、派遣労働者を雇用する「派遣元」と、実際の職場で指揮命令する「派遣先」で分担される責任です。

労働者派遣法では、派遣労働者が不安定な立場にならないように、派遣元と派遣先のそれぞれに守るべき義務が定められています。

SG試験では、細かい条文番号を暗記するよりも、次の判断ができることが大切です。

雇用・教育訓練・雇用安定に関すること → 派遣元の責任

指揮命令・受入れ現場・契約内容の周知に関すること → 派遣先の責任

派遣契約で決めた内容を守ること → 派遣元・派遣先の双方に関係

基本の切り分けは、次のとおりです。

観点 主な責任を負う側 判断の目安

雇用契約 派遣元 派遣労働者を雇っている側 教育訓練・キャリア形成 派遣元 働く人の育成・雇用安定に関すること 派遣終了後の雇用安定 派遣元 継続就業や次の就業機会に関すること 業務上の指揮命令 派遣先 実際の職場で仕事を指示すること 派遣契約内容の周知 派遣先 現場で契約どおりに働いてもらうための管理 就業環境・安全衛生への配慮 派遣先 受入れ職場での働き方に関すること

つまり、選択肢では、「雇用主としての責任」なら派遣元、「受入れ職場としての責任」なら派遣先と考えると整理しやすくなります。

直感的な説明

派遣労働を理解するポイントは、「雇っている会社」と「実際に指示する会社」が違うという点です。

たとえば、派遣社員がA社に雇用され、B社の職場で働くとします。

この場合、給与や雇用契約を管理するのはA社です。 一方で、日々の業務で「この資料を作成してください」「このシステムを使ってください」と指示するのはB社です。

この構造があるため、責任も分かれます。

派遣元は、雇用主として派遣労働者を守る

派遣先は、受入れ現場として適切に働かせる

情報セキュリティマネジメントの観点でも、この切り分けは重要です。

派遣労働者は、社内システム、顧客情報、個人情報、設計資料、売上データなどの情報資産に触れることがあります。

そのため、派遣先では、次のような管理が必要になります。

契約で決めた業務範囲を現場に共有する

必要以上のアクセス権限を与えない

指揮命令者を明確にする

機密情報の取扱いルールを守らせる

契約外の業務を依頼しない

一方で、派遣労働者のキャリア形成や雇用安定は、基本的には雇用主である派遣元の責任です。

このように、派遣労働者に対する法令上の責任は、「誰が雇っているか」と「誰が現場で指示しているか」で考えると理解しやすくなります。

定義・仕組み

労働者派遣では、登場人物が三者に分かれます。

立場 役割

派遣元 派遣労働者を雇用する会社 派遣先 派遣労働者を受け入れ、業務上の指揮命令を行う会社 派遣労働者 派遣元に雇用され、派遣先で働く労働者

労働者派遣法は、この三者関係の中で、派遣労働者の保護と派遣事業の適正な運営を確保するための法律です。

労働者派遣法で守りたいこと

労働者派遣法で大事なのは、派遣労働者が次のような不利な状態にならないようにすることです。

誰が雇用主なのか分からない

誰が業務を指示するのか分からない

契約にない仕事をさせられる

教育訓練や雇用安定が放置される

派遣先で必要以上の負担や責任を負わされる

受入れ現場で契約内容が守られない

SG試験では、労働者派遣法を「派遣労働者を保護し、責任の所在を明確にする法律」と考えると読みやすくなります。

派遣元の責任

派遣元は、派遣労働者を雇用している会社です。 そのため、雇用主としての責任を負います。

代表的な責任は次のとおりです。

派遣労働者との雇用契約を管理する

派遣労働者に就業条件を明示する

派遣先との派遣契約に基づいて適切に派遣する

教育訓練の機会を確保する

キャリア形成を支援する

派遣終了後の雇用安定措置を行う

派遣元責任者を選任する

派遣労働者の個人情報を適切に扱う

SG試験では、選択肢に「教育訓練」「キャリア形成」「雇用安定」「就業機会」「雇用契約」といった言葉が出てきたら、まず派遣元の責任を考えます。

派遣先の責任

派遣先は、派遣労働者を受け入れて、実際の業務を指示する会社です。 そのため、受入れ現場での管理責任を負います。

代表的な責任は次のとおりです。

派遣先責任者を選任する

派遣労働者を指揮命令する者を明確にする

派遣契約内容を現場の関係者に周知する

契約で定めた業務以外を行わせないようにする

派遣先での就業環境や安全衛生に配慮する

派遣元に必要な情報を提供する

派遣労働者を直接選考しないようにする

SG試験では、選択肢に「指揮命令」「派遣先責任者」「現場の関係者への周知」「契約内容を守らせる管理」「受入れ現場」といった言葉が出てきたら、派遣先の責任を考えます。

派遣契約で決めること

派遣元と派遣先は、労働者派遣契約を結びます。

派遣契約では、主に次のような内容を決めます。

派遣労働者が行う業務内容

就業場所

派遣期間

就業日・就業時間

指揮命令者

派遣元責任者・派遣先責任者

安全衛生に関する事項

苦情処理に関する事項

ここで重要なのは、契約で決めた内容を、実際の現場で守れるようにすることです。

契約書があるだけでは不十分です。 現場の指揮命令者や関係者が内容を知らなければ、契約外の業務を依頼したり、過大な権限を与えたりするおそれがあります。

そのため、派遣先には、契約内容を関係者に周知し、現場で契約どおりに業務が行われるように管理する責任があります。

派遣先が派遣労働者を直接選べない理由

労働者派遣では、派遣先が派遣労働者を指名したり、派遣開始前に面接して選考したりすることは、原則として認められていません。

これは、派遣労働者を雇用しているのは派遣元だからです。

派遣先が直接選考してしまうと、派遣先が実質的に雇用主のように振る舞うことになり、責任関係があいまいになります。

SG試験では、「派遣先は指揮命令はできるが、雇用主のように選考するわけではない」と整理しておくと、委託や雇用との違いも見えやすくなります。

どんな場面で使う?

派遣労働者に対する法令上の責任は、SG試験では、外部人材の受入れ管理や委託先管理に近いケース問題で役立ちます。

派遣社員に社内システムを使ってもらう場面

派遣社員に社内システムのアカウントを発行する場合、派遣先は業務に必要な範囲だけの権限を与える必要があります。

ここで大事なのは、派遣契約で定めた業務に必要な権限だけを付与することです。

たとえば、閲覧だけでよい業務なのに更新権限まで与えると、最小権限の原則に反します。

また、契約にない業務を後から追加して、別システムの権限まで与えるのも注意が必要です。

派遣社員が機密情報を扱う場面

派遣社員が顧客情報、個人情報、設計情報、売上データなどを扱う場合、派遣先では、取扱い範囲や禁止事項を現場で共有しておく必要があります。

たとえば、次のような管理が必要です。

どの情報にアクセスしてよいかを明確にする

持ち出しやコピーのルールを説明する

契約外の情報を扱わせない

退場時にアカウントや貸与物を回収する

ただし、守秘義務や派遣条件は、派遣元と派遣先の契約内容にも関係します。

そのため、契約で決めることと現場で守らせることを分けて考えることが大切です。

現場担当者が作業を依頼する場面

派遣先では、誰が派遣労働者に指揮命令するのかを明確にする必要があります。

指揮命令者以外の人が自由に作業を依頼すると、契約外業務や責任範囲のあいまいさにつながります。

SG試験では、選択肢で「関係者に周知する」「指揮命令者を明確にする」「契約内容を守らせる」と書かれていたら、派遣先の現場管理の話として考えます。

教育訓練や雇用安定が問われる場面

派遣労働者の教育訓練、キャリア形成、雇用安定措置は、基本的には派遣元の責任として整理します。

派遣先で作業手順を説明することはあります。 しかし、制度としての教育訓練や雇用安定は、雇用主である派遣元の責任として問われやすいです。

SG試験では、「職場で業務手順を教える話」なのか、「雇用主として育成・雇用安定を行う話」なのかを分けて読みます。

委託先管理と比較する場面

派遣と委託は、どちらも外部の人が業務に関わるため混同しやすいです。

しかし、指揮命令の関係が違います。

形態 指揮命令する人 判断の目安

派遣 派遣先 派遣先が日々の業務を指示する 委託 委託先 委託先が業務の進め方を管理する

派遣では、派遣先が直接指揮命令します。 そのため、派遣先には現場で契約内容を守らせる責任があります。

委託では、委託先が業務の進め方を管理するため、委託元が委託先の労働者に直接細かく指示すると、偽装請負の問題につながることがあります。

SG試験では、「誰が指揮命令しているか」を見ると、派遣と委託を切り分けやすくなります。

よくある誤解・混同

誤解1:派遣先で働くので、すべて派遣先の責任である

これは誤りです。

派遣労働者は派遣先で働きますが、雇用しているのは派遣元です。 そのため、雇用契約、教育訓練、雇用安定などは、派遣元の責任として整理します。

選択肢では、「教育訓練」「就業機会」「雇用安定」「キャリア形成」という言葉に注意します。

誤解2:派遣元が雇用しているので、現場での管理もすべて派遣元の責任である

これも誤りです。

派遣元が雇用していても、実際の業務指示は派遣先が行います。 そのため、指揮命令、業務範囲の管理、現場関係者への周知は、派遣先の責任として整理します。

選択肢では、「指揮命令」「派遣先責任者」「契約内容の周知」「現場管理」という言葉に注意します。

誤解3:教育訓練は、実際に仕事を教える派遣先の責任である

ここは混同しやすいポイントです。

派遣先が、現場の作業手順やシステムの使い方を説明することはあります。 しかし、派遣労働者のキャリア形成や教育訓練の機会確保は、基本的には派遣元の責任として問われます。

SG試験では、「現場作業の説明」なのか「制度上の教育訓練」なのかを分けて読みます。

誤解4:派遣契約は会社同士の契約なので、現場担当者は知らなくてもよい

これも誤りです。

契約内容を現場が知らないと、契約外の作業を依頼したり、必要以上の権限を与えたりするおそれがあります。

そのため、派遣先では、指揮命令者や関係者に契約内容を周知することが重要です。

SG試験では、契約内容を現場で守らせるための周知は派遣先の責任と押さえます。

誤解5:派遣先は、働く人を自由に選べる

これも注意が必要です。

派遣先は、派遣労働者を受け入れて指揮命令をします。 しかし、派遣開始前に面接して選考したり、特定の人を指名したりすることは、原則として認められていません。

派遣先ができるのは、必要な業務内容やスキルを派遣元に伝えることです。 誰を派遣するかは、雇用主である派遣元が判断します。

SG試験では、派遣先は「指揮命令」はするが、「採用・選考」の主体ではないと切り分けます。

誤解6:委託先管理と同じように考えればよい

似ている部分はありますが、完全に同じではありません。

委託では、委託先が業務の遂行方法を管理することが多いです。 一方、派遣では、派遣先が派遣労働者に対して業務上の指揮命令を行います。

そのため、派遣では、派遣先の現場管理責任がより直接的に問題になります。

SG試験では、外部の人が働く点では似ているが、派遣は派遣先が指揮命令すると整理します。

まとめ(試験直前用)

派遣労働者に対する法令上の責任は、派遣元と派遣先で分担されると押さえます。

派遣元:雇用、就業条件の明示、教育訓練、キャリア形成、雇用安定

派遣先:指揮命令、派遣先責任者、契約内容の周知、現場管理

判断基準:雇用主としての責任か、受入れ現場としての責任か

情報セキュリティ上の注意:業務範囲、権限、機密情報の取扱いを現場で共有する

ひっかけ対策:「派遣先で働く=全部派遣先の責任」ではない

SG試験では、派遣元・派遣先という言葉だけで選ばず、その責任が「雇用」に関するものか、「現場での指揮命令」に関するものかを見て判断しましょう。


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