最終更新日:2026年6月29日
fe fe-strategy system_planning requirements_definition
要件定義プロセスとは?要求の識別・評価・合意の切り分け
システム開発では、いきなり設計やプログラム作成に入るのではなく、まず「何を実現したいのか」を整理します。
このときに重要になるのが、要件定義プロセスです。
基本情報技術者試験では、要件定義そのものの説明だけでなく、
- 利害関係者の識別
- 要件の識別
- 要件の評価
- 要件の合意
のように、活動内容を切り分ける問題が出ることがあります。
この記事では、特に迷いやすい 「要件の識別」「要件の評価」「要件の合意」 の違いを整理します。
まず結論
要件の識別とは、利害関係者から要求を引き出し、制約条件や運用シナリオなどを明らかにする活動です。
試験では、次のように切り分けると判断しやすくなります。
| 活動 | 判断キーワード |
|---|---|
| 利害関係者の識別 | 誰が関係するか、誰が参画するか |
| 要件の識別 | 要件を引き出す、漏れなく集める、制約条件、運用シナリオ |
| 要件の評価 | 矛盾、曖昧さ、一貫性、実現可能性 |
| 要件の合意 | 説明する、合意を得る、承認する |
たとえば、
利害関係者から要件を漏れなく引き出し、制約条件や運用シナリオなどを明らかにする
とあれば、要件の識別です。
直感的な説明
要件定義プロセスは、ざっくり言うと 「何を作るかを、関係者と一緒に決める作業」 です。
その中でも、要件の識別は 材料集め に近いです。
たとえば、社内システムを作る場合、利用部門に話を聞いて、
- どんな業務で使うのか
- どんな入力が必要か
- どんな帳票を出したいか
- いつまでに処理したいか
- 使ってはいけない条件はあるか
などを引き出します。
この段階では、まだ「それで本当に作れるか」「矛盾がないか」を細かく確認する前です。
英語で考えると、少しイメージしやすいです。
identify requirements = 要件を見つけ出す・洗い出す
つまり、要件の識別は、要件を探して集める段階です。
定義・仕組み
要件定義プロセスでは、システム化する範囲や機能について、関係者の要求を整理し、合意できる状態にしていきます。
流れとしては、次のように考えると分かりやすいです。
利害関係者の識別
↓
要件の識別
↓
要件の評価
↓
要件の合意・承認
それぞれの役割は次のとおりです。
利害関係者の識別
まず、システム開発に関係する人や組織を明らかにします。
たとえば、
- 利用部門
- 管理部門
- システム部門
- 外部委託先
- 承認者
などです。
問題文に 「どの工程でどの関係者が参画するか」 とあれば、利害関係者の識別と考えます。
要件の識別
次に、利害関係者から要求を引き出します。
ここでは、
- 業務上必要な機能
- 制約条件
- 運用シナリオ
- 利用者の期待
- システム化する範囲
などを明らかにします。
問題文に 「要件を漏れなく引き出す」「制約条件を明らかにする」「運用シナリオを明らかにする」 とあれば、要件の識別です。
要件の評価
集めた要件を確認し、問題がないかを評価します。
たとえば、
- 要件同士が矛盾していないか
- 曖昧な表現がないか
- 実現不可能な内容がないか
- 一貫性があるか
を確認します。
問題文に 「矛盾」「曖昧」「一貫性」「実現可能性」 が出てきたら、要件の評価を疑います。
要件の合意
最後に、整理・評価した要件について、関係者と合意します。
ここでは、要件の内容や問題点を説明し、関係者から承認を得ます。
問題文に 「説明する」「合意を得る」「承認する」 とあれば、要件の合意です。
どんな場面で使う?
要件定義プロセスは、新しいシステムを作るときだけでなく、既存システムを改修するときにも使われます。
たとえば、次のような場面です。
- 業務システムを新しく導入する
- 既存システムに機能を追加する
- 手作業の業務をシステム化する
- 外部委託先に開発を依頼する
- 利用部門とシステム部門で認識を合わせる
FE試験では、細かい開発技法そのものよりも、どの工程で、何をするのか が問われることがあります。
特に、要件定義は「作る側だけの作業」ではありません。
利用部門、管理部門、承認者など、複数の関係者と確認しながら進める点が重要です。
よくある誤解・混同
誤解1:要件の識別と要件の評価を混同する
要件の識別は、要件を 引き出す 活動です。
要件の評価は、引き出した要件に 問題がないか確認する 活動です。
| 見分け方 | 活動 |
|---|---|
| 要件を集める、引き出す | 要件の識別 |
| 矛盾や曖昧さを確認する | 要件の評価 |
「漏れなく引き出す」は、評価ではなく識別です。
誤解2:要件の評価と要件の合意を混同する
要件の評価は、要件の内容をチェックする活動です。
要件の合意は、評価した結果を関係者に説明し、承認を得る活動です。
| 見分け方 | 活動 |
|---|---|
| 実現可能か、矛盾がないかを確認する | 要件の評価 |
| 関係者に説明し、合意を得る | 要件の合意 |
「合意を得る」と書かれていれば、そのまま要件の合意と判断してよいです。
誤解3:要件の識別と利害関係者の識別を混同する
どちらにも「識別」という言葉が出てくるので、ここはひっかけになりやすいです。
| 見分け方 | 活動 |
|---|---|
| 誰が関係するかを明らかにする | 利害関係者の識別 |
| 何が必要かを明らかにする | 要件の識別 |
つまり、
- 人を見つける → 利害関係者の識別
- 必要なことを見つける → 要件の識別
と考えると整理しやすいです。
まとめ(試験直前用)
要件定義プロセスの問題では、細かい用語を丸暗記するよりも、問題文の動詞に注目すると切り分けやすくなります。
- 誰が関係するか → 利害関係者の識別
- 要件を引き出す・漏れなく集める → 要件の識別
- 矛盾・曖昧さ・実現可能性を確認する → 要件の評価
- 説明して合意・承認を得る → 要件の合意
FE試験の選択肢では、
利害関係者から要件を漏れなく引き出し、制約条件や運用シナリオなどを明らかにする
とあるため、正解は 要件の識別 です。
要件定義の活動を見分けるときは、
人を決める → 利害関係者の識別
要件を集める → 要件の識別
要件をチェックする → 要件の評価
要件を承認する → 要件の合意
この順番で思い出すと、選択肢を切りやすくなります。
参考
- IPA「試験要綱・シラバスなど」
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/