最終更新日:2026年8月12日
fe fe-strategy system-strategy enterprise-architecture
まず結論
業務モデルの4種類は、「現行か新しい業務か」 と 「論理か物理か」 の2軸で切り分けます。
現行の業務
├─ 具体的な仕組みまで含む → 現物理モデル
└─ 物理的な仕組みを除く → 現論理モデル
新しい業務
├─ 要件を反映した論理像 → 新論理モデル
└─ 実現方法まで具体化 → 新物理モデル
基本情報技術者試験では、まず次の2点を確認すると判断しやすくなります。
1. 現在の業務を表しているか、新しい業務を表しているか
2. 「何をするか」を表しているか、「どう実現するか」まで表しているか
直感的な説明
会社の業務を、新しいシステムに置き換える場面を考えます。
最初に、今の業務が実際にどのように動いているかをそのまま表します。
人が帳票を受け取る
↓
担当者が内容を確認する
↓
既存システムへ入力する
このように、現在の具体的な仕組みまで含めて表すのが 現物理モデル です。
次に、「紙で受け取る」「どの端末へ入力する」といった具体的な方法をいったん外し、業務として何をしているのかだけを整理します。
申請を受け付ける
↓
内容を確認する
↓
情報を登録する
これが 現論理モデル です。
その上で、新システムに必要な要件を反映して、新しい業務の形を考えます。
申請を受け付ける
↓
自動チェックする
↓
承認する
これが 新論理モデル です。
最後に、その新しい業務をどのシステムやデータで実現するかまで具体化します。
Web申請
↓
申請データクラス
↓
承認システム
これが 新物理モデル です。
つまり、
論理は「何をするか」、物理は「どう実現するか」
と考えると整理しやすくなります。
定義・仕組み
業務モデルを段階的に整理すると、次の流れになります。
現物理モデル
↓
現論理モデル
↓
新論理モデル
↓
新物理モデル
現物理モデル
現物理モデルは、現在の業務を、実際の組織・帳票・システム・データなどの具体的な仕組みを含めて表したモデルです。
例えば、次のようなものが対象になります。
- 現在使っている帳票
- 現在の情報システム
- 現在の担当部署
- 現在のデータ項目
- 実際の業務の流れ
現在
+
具体的な仕組み
→ 現物理モデル
現論理モデル
現論理モデルは、現物理モデルから具体的な実現手段を取り除き、現在の業務が本質的に何をしているのかを整理したモデルです。
例えば、
紙の申請書を受け取る
↓
申請を受け付ける
のように、媒体やシステムではなく、業務の目的や機能に注目します。
現在
+
何をしているか
→ 現論理モデル
新論理モデル
新論理モデルは、現論理モデルを基に、新しいシステムに求められる要件を反映した業務の論理的な姿です。
ここでは、まだ特定のシステム製品や具体的な実装方法には踏み込みません。
例えば、
- 新しい業務機能
- 新しい業務プロセス
- 組織の機能
- 必要となる情報
などを整理します。
新しい業務
+
何をするか
→ 新論理モデル
新物理モデル
新物理モデルは、新論理モデルに具体的な実現方法を加え、新しい業務をどの仕組みで実現するかまで表したモデルです。
例えば、次のようなものを対応付けます。
- ビジネスプロセスとデータクラス
- 業務と情報システム
- 処理とデータ
- 新しい業務と具体的なシステム構成
新しい業務
+
どう実現するか
→ 新物理モデル
この考え方は、組織全体を業務・データ・システム・技術の視点で整理する エンタープライズアーキテクチャとは?4つの体系と見分け方 とも関係します。
公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験 から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、4つのモデルの説明を選択肢として並べ、どの段階に該当するかを問う形で出題されます。
試験中は、モデル名を丸暗記するより、2段階で判断すると切り分けやすくなります。
1. 「現」か「新」かを見る
既存、現在、現行
→ 現
新しい、将来、要件を反映
→ 新
2. 「論理」か「物理」かを見る
業務機能、業務目的、何をするか
→ 論理
帳票、システム、データ、具体的な対応関係
→ 物理
4つをまとめると、次のようになります。
| モデル | 判断のポイント |
|---|---|
| 現物理モデル | 現在の具体的な業務・帳票・システム |
| 現論理モデル | 現在の業務から物理的な仕組みを除く |
| 新論理モデル | 新しい業務要件や機能を論理的に表す |
| 新物理モデル | 新しい業務を具体的なシステム・データで実現する |
「ビジネスプロセス」と「データクラス」が出たら
ビジネスプロセスとデータクラスを関連付ける説明では、新しい業務を、具体的なデータとの対応まで落とし込んでいる点に注目します。
新しい業務プロセス
+
データクラスとの具体的な対応
→ 新物理モデル
「データ」という言葉だけで判断するのではなく、新しい業務をどう実現するかまで具体化しているかを見るのがポイントです。
どんな場面で使う?
この4つのモデルは、現在の業務をそのまま新システムへ移すのではなく、業務の本質を整理してから、新しい業務とシステムを設計するときに使います。
例えば、紙の申請業務をWeb化する場合を考えます。
現在の紙・担当者・帳票を整理
→ 現物理モデル
紙という手段を除き、申請業務の本質を整理
→ 現論理モデル
Web化後に必要な受付・確認・承認機能を設計
→ 新論理モデル
画面・データ・システムとの対応を具体化
→ 新物理モデル
このように段階を分けることで、単に現在の仕組みをそのまま電子化するのではなく、業務そのものを見直しやすくなります。
よくある誤解・混同
「論理」と「物理」は、データベースの論理設計・物理設計と同じ意味だけではない
ここでの論理・物理は、業務モデルの抽象度を表します。
論理
→ 何をするか
物理
→ どの仕組みで実現するか
データが出てきたら必ず物理モデルとは限らない
データの存在だけでは判断できません。
重要なのは、具体的なシステムや業務との対応まで決めているかです。
必要な情報を整理
→ 論理モデルの可能性
業務と具体的なデータを対応付ける
→ 物理モデルを疑う
「新」は、新しいシステム製品を意味するわけではない
「新」は、新しく設計する業務やシステムの姿を意味します。
製品名や技術が新しいかどうかではありません。
現論理モデルと新論理モデルを混同する
どちらも「何をするか」を表すので混同しやすいですが、基準は時間軸です。
現在の業務の本質
→ 現論理モデル
新しい要件を反映した業務
→ 新論理モデル
新論理モデルと新物理モデルを混同する
最も迷いやすい組み合わせです。
新しい業務として何が必要か
→ 新論理モデル
それをどのシステム・データで実現するか
→ 新物理モデル
試験では、具体的な対応付けまで進んでいるかを見ると切り分けやすくなります。
まとめ(試験直前用)
- 4つの業務モデルは「現か新か」「論理か物理か」の2軸で考える
- 現物理は、現在の具体的な業務・帳票・システム
- 現論理は、現在の業務から具体的な手段を取り除いた本質
- 新論理は、新しい要件を反映した「何をするか」
- 新物理は、新しい業務を「どう実現するか」まで具体化したもの
- 迷ったら 論理=何をするか、物理=どう実現するか で切る
- ビジネスプロセスとデータクラスの具体的な対応付けは、新物理モデルを考える