最終更新日:2026年7月27日
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まず結論
エンタープライズアーキテクチャ(EA)とは、
組織全体を、業務・データ・システム・技術の視点から整理し、全体最適を目指すための設計図
です。
基本情報技術者試験では、次の4つを切り分けます。
業務・組織・業務プロセス
→ ビジネスアーキテクチャ
データの内容・構造・関係
→ データアーキテクチャ
業務を支えるシステム機能
→ アプリケーションアーキテクチャ
ハードウェア・OS・ネットワークなどの技術基盤
→ テクノロジアーキテクチャ
直感的な説明
会社全体を一つの建物にたとえてみます。
どのような仕事をするか
→ 業務の設計
どのような情報を使うか
→ データの設計
どのようなシステムで支えるか
→ アプリケーションの設計
どのような機器やネットワークで動かすか
→ 技術基盤の設計
個別のシステムだけを改善しても、会社全体として無駄や重複が残ることがあります。
例えば、部署ごとに別々の顧客管理システムを導入すると、次のような問題が起こります。
顧客情報が重複する
データ形式がそろわない
同じ機能を別々に開発する
運用方法が部署ごとに異なる
EAでは、このような問題を会社全体の視点で整理します。
つまり、
部分最適ではなく全体最適を目指す
ための考え方です。
定義・仕組み
エンタープライズアーキテクチャの目的
EAでは、業務と情報システムを統一的な視点で整理します。
主な目的は次のとおりです。
- 業務の重複や無駄を減らす
- システムの重複を減らす
- データの形式や意味を統一する
- 技術基盤を標準化する
- 経営方針とIT投資を結び付ける
- 組織変更や技術変化へ対応しやすくする
4つの体系
ビジネスアーキテクチャ
組織がどのような業務を行うかを整理します。
主な対象は次のとおりです。
- 経営方針
- 業務内容
- 組織
- 業務プロセス
- 実施主体
- 業務フロー
誰が
何を
どの順番で行うか
→ ビジネスアーキテクチャ
データアーキテクチャ
業務で扱う情報の内容・構造・関係を整理します。
主な対象は次のとおりです。
- 顧客情報
- 商品情報
- 注文情報
- データ同士の関係
- データ定義
- データの共有方法
どのような情報を扱うか
情報同士がどう関係するか
→ データアーキテクチャ
アプリケーションアーキテクチャ
業務をどのような情報システムで支えるかを整理します。
主な対象は次のとおりです。
- 販売管理システム
- 在庫管理システム
- 顧客管理システム
- システム間の連携
- 各システムの機能
業務を支えるシステムは何か
システム同士をどう連携させるか
→ アプリケーションアーキテクチャ
テクノロジアーキテクチャ
システムを構築・運用するための技術基盤を整理します。
主な対象は次のとおりです。
- ハードウェア
- OS
- ミドルウェア
- データベース製品
- ネットワーク
- クラウド基盤
システムを何で動かすか
→ テクノロジアーキテクチャ
4つの関係
4つは独立しているわけではありません。
ビジネス
↓
データ
↓
アプリケーション
↓
テクノロジ
まず業務の目的があり、その業務に必要なデータを整理します。
次に、その業務とデータを扱うシステムを設計し、最後にシステムを動かす技術基盤を決めます。
このテーマは基本情報技術者試験のシステム戦略分野に含まれます。公式の出題範囲は、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。
科目Aでどう出る?
試験では、4つの体系の定義を選ばせる問題が出ます。
選択肢を切る判断表
| 選択肢の表現 | 判断 |
|---|---|
| 業務、組織、業務プロセス、実施主体 | ビジネスアーキテクチャ |
| データ、情報、構造、関連、データ定義 | データアーキテクチャ |
| システム機能、システム構成、業務支援 | アプリケーションアーキテクチャ |
| ハードウェア、OS、ネットワーク、技術基盤 | テクノロジアーキテクチャ |
試験中は、文章全体を覚えるより、中心となる名詞を拾います。
業務
→ ビジネス
データ
→ データ
システム機能
→ アプリケーション
技術要素
→ テクノロジ
アプリケーションとテクノロジの切り分け
ここが特に混同しやすいです。
アプリケーション
→ システムが何をするか
テクノロジ
→ システムを何で動かすか
例えば、販売管理システムを考えます。
受注登録
在庫確認
請求書発行
→ アプリケーションアーキテクチャ
Webサーバ
データベース
ネットワーク
OS
クラウド
→ テクノロジアーキテクチャ
英語では、次のように考えると整理しやすいです。
What the system does
→ システムが何をするか
What the system runs on
→ システムが何の上で動くか
どんな場面で使う?
組織全体のシステム見直し
部署ごとに別々のシステムを使っている場合、機能やデータが重複している可能性があります。
EAを使って整理すると、共通化できる部分を見つけやすくなります。
システム刷新
古いシステムを新しいシステムへ置き換えるとき、個別機能だけを見ると、業務全体との関係を見失うことがあります。
EAでは、業務・データ・アプリケーション・技術基盤を分けて整理します。
IT投資の優先順位付け
経営方針と関係の弱いシステムへ投資しても、組織全体の成果につながりにくい場合があります。
EAを使うと、経営や業務の目的からシステム投資を考えられます。
標準化
複数の部署や拠点で、次のようなものを統一するときにも使います。
- データの定義
- システム連携方式
- 使用する技術
- 運用ルール
よくある誤解・混同
EAはITシステムだけを設計するもの
違います。
EAは、業務とITを一緒に整理します。
業務
データ
アプリケーション
技術基盤
を一つの流れとして扱う点が重要です。
EAは大企業だけに必要
EAは大規模組織で特に効果を発揮しますが、考え方そのものは組織規模に限定されません。
複数の業務やシステムがある組織では、全体を整理するために活用できます。
ビジネスアーキテクチャは経営戦略そのもの
完全に同じではありません。
経営戦略を実現するために、業務や組織、業務プロセスをどのように構成するかを整理するものです。
アプリケーションアーキテクチャはプログラミング技術のこと
違います。
アプリケーションアーキテクチャは、業務を支えるシステムの機能や構成を整理します。
プログラミング言語、OS、ネットワークなどの技術基盤は、テクノロジアーキテクチャです。
4つを独立して決めればよい
違います。
4つは連動しています。
業務が変わる
↓
必要なデータが変わる
↓
必要なシステム機能が変わる
↓
技術基盤も変わる
上位の目的から順に整合させることが大切です。
まとめ(試験直前用)
- EAは、組織全体を業務・データ・システム・技術の4視点で整理する考え方
- 業務・組織・業務プロセスならビジネスアーキテクチャ
- データの内容・構造・関係ならデータアーキテクチャ
- システム機能ならアプリケーション、技術基盤ならテクノロジ
- 「何をするか」と「何で動かすか」を分けて判断する