最終更新日:2026年9月20日
fe fe-technology security ic-card tamper-resistance
まず結論
耐タンパ性(tamper resistance)とは、機器やICチップを物理的に解析・改ざんしようとしても、内部の秘密情報を簡単に取り出したり変更したりできないようにする性質です。
基本情報技術者試験では、次の判断が重要です。
```text 分解 プローブの取付け 内部配線の解析 秘密情報の読出し 改ざん ↓ これらに耐える → 耐タンパ性 ```
今回のように、不正なプローブを検出すると内部情報を消去する仕組みは、耐タンパ性を高める対策です。
直感的な説明
ICカードの中に、暗号鍵などの重要な秘密情報が入っているとします。
普通のセキュリティ対策では、
```text 正しい利用者か? → 認証
使ってよい権限があるか? → アクセス制御 ```
を確認します。
しかし、攻撃者がカードそのものを分解して、
```text ICチップを開く ↓ 内部配線へプローブを当てる ↓ 秘密情報を直接読み出す ```
といった攻撃を行う可能性もあります。
耐タンパ性は、このような物理的な攻撃から内部情報を守る考え方です。
定義・仕組み
tamper は、「不正にいじる」「改ざんする」といった意味です。
耐タンパ性では、単にアクセスを禁止するだけでなく、物理的に解析・改造しようとする行為そのものへ対抗することがポイントです。
代表的な対策には、次のようなものがあります。
- ケースやチップの開封を検出する
- 不正なプローブの接触を検知する
- 内部配線を解析しにくくする
- 重要情報を暗号化して保持する
- 攻撃を検知したら秘密情報を消去する
- 異常な電圧・クロック・温度などを検知する
試験では、細かな回路方式を覚えるより、
物理的に触られても、秘密情報を簡単に抜かせない
と理解するのが重要です。
「検知して消去」はなぜ有効?
例えば、ICチップ内部へ信号読取り用のプローブが取り付けられたことを検知したとします。
そのとき、
```text 不正な接触を検知 ↓ 秘密鍵などの重要情報を消去 ↓ 解析しても秘密情報を取得しにくい ```
という動作をすれば、攻撃者が内部情報を読み取ることを難しくできます。
これは耐タンパ性の典型的な考え方です。
FEとSGでの切り口の違い
SGには、すでにICカード認証とは?接触型・非接触型の違いがあります。
SG側では、
- ICカードを「持っているもの」として使う認証
- 接触型・非接触型
- カードの発行・紛失・返却・無効化
- 退職者カードの権限管理
- 運用上のリスク
など、ICカード認証を安全に運用する視点を中心にしています。
このFE記事では、それとは切り分けて、
どの選択肢が「耐タンパ性を高める対策」なのか
を見抜くことを目的にします。
```text SG → ICカードをどう安全に運用するか
FE → 物理解析・改ざん対策かどうかを見抜く ```
科目Aでどう出る?
科目Aでは、「耐タンパ性を高めるものはどれか」という形で、目的の異なる対策が並ぶことがあります。
4つの方向に切り分ける
```text 使いやすくする → 利便性
故障しても使えるようにする → 可用性・信頼性
利用できる人を制限する → アクセス制御
物理解析・改ざんから内部情報を守る → 耐タンパ性 ```
この分類を先に行うと、選択肢をかなり減らせます。
選択肢を切る判断表
| 問題文の内容 | 主な目的 |
|---|---|
| 非接触でカードを使えるようにする | 利便性 |
| 予備カードを用意する | 可用性・信頼性 |
| 不正なプローブを検知して秘密情報を消去する | 耐タンパ性 |
| 退職者のカードを無効化する | アクセス制御・運用管理 |
特に注意したいのは、
セキュリティ対策なら全部「耐タンパ性」ではない
という点です。
退職者のカードを無効化するのも重要なセキュリティ対策ですが、ICチップそのものの物理解析耐性を高めているわけではありません。
どんな場面で使う?
耐タンパ性は、内部に重要な秘密情報を持つ機器で特に重要です。
例えば、
- ICカード
- セキュリティチップ
- 暗号モジュール
- ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)
- 認証用トークン
などです。
これらの機器では、内部に秘密鍵などを保持することがあります。
そのため、
```text 盗まれた ↓ 中を開けられた ↓ 秘密鍵を読み出された ```
という攻撃を防ぐ必要があります。
よくある誤解・混同
非接触型ICカードは耐タンパ性が高い?
非接触で使えることと、耐タンパ性は別です。
```text 接触せず使える → 利便性
内部情報を物理解析から守る → 耐タンパ性 ```
予備カードを用意すれば耐タンパ性が高くなる?
違います。
予備カードは、故障したときでも業務を続けやすくする対策です。
```text 故障しても使い続ける → 可用性・信頼性
壊して解析されても秘密を守る → 耐タンパ性 ```
退職者のカードを無効化するのは耐タンパ性?
違います。
これはアクセス権の管理です。
```text 退職者カードを無効化 → アクセス制御・運用管理
ICチップを分解しても秘密を抜けない → 耐タンパ性 ```
改ざん検知と耐タンパ性は同じ?
完全には同じではありません。
データの改ざん検知では、ハッシュやMAC、デジタル署名などを使って、データが変更されたかを確認します。
耐タンパ性では、機器そのものに対する物理的な解析・改造への耐性を考えます。
```text データが書き換えられた? → 改ざん検知
機器を開けて秘密を抜こうとしている? → 耐タンパ性 ```
1次情報・公式資料
耐タンパ性の考え方は、暗号モジュールのセキュリティ要件を定めるNISTのFIPS 140-3でも確認できます。
- NIST:FIPS 140-3 Security Requirements for Cryptographic Modules
- NIST:Cryptographic Module Validation Program
FIPS 140-3では、暗号モジュールの物理セキュリティについて、レベルに応じてtamper-evidence や tamper-responseなどの要求が設けられています。
FEでは規格の詳細を覚える必要はありません。
```text 物理的な侵入を検知する 内部情報を保護する 必要なら秘密情報を消去する → 耐タンパ性 ```
という考え方を押さえれば十分です。
まとめ(試験直前用)
- 耐タンパ性は、物理的な解析・改ざんから内部情報を守る性質
- プローブ・分解・開封・内部配線解析などがキーワード
- 攻撃を検知して秘密情報を消去する仕組みは耐タンパ性を高める
- 非接触化は利便性であり、耐タンパ性とは別
- 予備カードは可用性・信頼性の対策
- 退職者カードの無効化はアクセス制御・運用管理
- 「セキュリティ対策」だからといって全部が耐タンパ性ではない
```text 使いやすくする → 利便性
止まりにくくする → 可用性
使える人を制限 → アクセス制御
壊して解析されても守る → 耐タンパ性 ```