最終更新日:2026年9月28日
fe fe-technology computer-system
まず結論
ROM系のメモリは、「後から書き換えられるか」「何で消去するか」を見ると切り分けやすくなります。
| 種類 | 製造後の書込み・書換え | 消去方法 | FEでの合図 |
|---|---|---|---|
| マスクROM | 原則不可 | できない | 製造時に内容を固定 |
| PROM | 1回だけ書込み可能 | できない | 一度だけ書き込む |
| EPROM | 書換え可能 | 紫外線 | 紫外線で消去 |
| EEPROM | 書換え可能 | 電気 | 電気的に消去・書換え |
| フラッシュメモリ | 書換え可能 | 電気 | ブロック単位で消去、大容量、ファームウェア更新 |
基本情報技術者試験では、次の流れを思い出すと選択肢を切りやすくなります。
製造時に固定
→ マスクROM
一度だけ書き込む
→ PROM
紫外線で消去
→ EPROM
電気的に消去・書換え
→ EEPROM
電気的にまとめて消去
→ フラッシュメモリ
「出荷後にプログラムを書き換えたい」なら、フラッシュメモリが強い候補です。
直感的な説明
ROM系メモリを「書き直せるメモ帳」にたとえると分かりやすくなります。
マスクROM
→ 印刷済みの本
→ 後から内容を変えられない
PROM
→ 1回だけ書けるカード
→ 書いた後は消せない
EPROM
→ 紫外線を当てると消せるメモ帳
EEPROM
→ 電気で消して書き直せるメモ帳
フラッシュメモリ
→ 電気で、まとまった範囲を消して書き直せるメモ帳
重要なのは、「ROMだから必ず書換え不可」ではないことです。
FEでは、ROM系の中にも書換え可能なものがあると理解しておくと、EEPROMやフラッシュメモリの選択肢を切りやすくなります。
定義・仕組み
マスクROM
マスクROMは、半導体の製造工程で内容を書き込み、その内容を固定するROMです。
製造時に内容を決める
↓
製品として完成
↓
後から内容を変えない
大量生産する機器で、プログラムや固定データを変更する必要がない場合に向いています。
PROM
PROM(Programmable ROM)は、製造後に利用者側で一度だけ書き込めるROMです。
未書込み
↓
一度だけ書込み
↓
その後は消去・再書込みできない
「一度だけ書き込める」が判断の合図です。
EPROM
EPROM(Erasable Programmable ROM)は、紫外線を当てて内容を消去し、再び書き込めるROMです。
書込み
↓
紫外線で消去
↓
再書込み
科目Aでは、「紫外線」= EPROMと結び付けると判断しやすくなります。
EEPROM
EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)は、電気的に内容を消去・書換えできるROMです。
EPROMのように紫外線を使う必要がありません。
FEでは、フラッシュメモリとの違いを次のように整理すると十分です。
EEPROM
→ 電気的に消去・書換え
→ 比較的細かい単位で書換え
フラッシュメモリ
→ 電気的に消去・書換え
→ ブロックやセクタ単位でまとめて消去
実際の書込み単位や消去単位は製品によって異なりますが、試験ではこの違いが判断材料になります。
フラッシュメモリ
フラッシュメモリは、電源を切っても内容を保持する不揮発性メモリで、電気的に消去・書換えできます。
大容量化しやすく、次のような用途で使われます。
- SSD
- USBメモリ
- SDカード
- 組込み機器のプログラム保存
- マイコンのファームウェア保存
フラッシュメモリ単体の特徴やSRAM・DRAMとの違いは、フラッシュメモリとは?で整理しています。
DRAM・SRAMを含めてメモリ全体を比較したい場合は、メモリの種類を参照してください。
このテーマは、基本情報技術者試験の「コンピュータシステム」や「メモリ」に関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、ROMの種類そのものを聞く問題だけでなく、組込み機器のプログラムを出荷後に変更できるかという形でも出ます。
判断軸1:製造後に書き換える必要があるか
製造時に内容を固定
→ マスクROM
出荷後も内容を更新したい
→ EEPROM・フラッシュメモリ
マイコンのファームウェアを出荷後に更新したい場合は、フラッシュメモリが適しています。
判断軸2:何で消去するか
紫外線
→ EPROM
電気
→ EEPROM・フラッシュメモリ
「消去方法」は、EPROMとEEPROMを分ける強い手掛かりです。
判断軸3:一度だけか、何度も書き換えるか
一度だけ書込み
→ PROM
繰り返し書換え
→ EPROM・EEPROM・フラッシュメモリ
「Programmable」という名前だけでPROMを選ばず、再書込みできるかまで確認します。
判断軸4:フラッシュメモリを採用する理由
組込み機器でフラッシュメモリが使われる理由として、次の表現は重要です。
出荷後にファームウェアを更新する
↓
内容を書き換える必要がある
↓
フラッシュメモリ
一方、次の説明はフラッシュメモリを採用する直接の理由にはなりません。
- ソフトウェアのコードサイズが自動的に小さくなる
- CPUの処理性能が自動的に向上する
- マスクROMより必ず信頼性が高くなる
「書換え可能だから更新できる」という因果関係を見るのがポイントです。
どんな場面で使う?
組込み機器のファームウェア更新
マイコン内部のフラッシュメモリにプログラムを保存しておけば、製品の出荷後でもファームウェアを書き換えられる構成にできます。
出荷時のプログラム
↓
不具合修正・機能追加
↓
フラッシュメモリを書換え
↓
新しいプログラムで動作
機器を分解してROMを交換しなくても更新できるため、保守しやすくなります。
ISPとフラッシュメモリの違い
ISP(In-System Programming)は、基板に実装したままプログラムを書き込む方法です。
フラッシュメモリ
→ 書換え可能な記憶媒体
ISP
→ 基板に載せたまま書き込む方法
つまり、ISPはメモリの種類ではありません。
「出荷後に書き換えられる」という性質を実現する土台としてフラッシュメモリがあり、実際の書込み方法としてISPなどが使われる、と分けて考えます。
よくある誤解・混同
ROMはすべて書き換えられない
違います。
マスクROM
→ 書換え不可
PROM
→ 一度だけ書込み
EPROM
→ 紫外線で消去して再書込み
EEPROM
→ 電気で消去・再書込み
フラッシュメモリ
→ 電気でまとめて消去・再書込み
ROM系の中にも、後から書き換えられるものがあります。
EPROMとEEPROMは同じ
どちらも再書込みできますが、消去方法が違います。
EPROM
→ 紫外線
EEPROM
→ 電気
最初のEが同じでも、ここを混同しないようにします。
フラッシュメモリとEEPROMは完全に別物
フラッシュメモリは、電気的に消去・書換えできるという点でEEPROMと近い技術です。
FEでは、
細かい単位で書換え
→ EEPROM
ブロック単位でまとめて消去
→ フラッシュメモリ
と整理すると選択肢を切りやすくなります。
フラッシュメモリなら処理速度が上がる
フラッシュメモリを採用しただけで、CPUの演算性能が上がるわけではありません。
組込み機器の問題では、
「出荷後にプログラムを書き換えられる」
という利点を優先して考えます。
まとめ(試験直前用)
- 製造時に内容を固定 → マスクROM
- 一度だけ書込み → PROM
- 紫外線で消去 → EPROM
- 電気的に消去・書換え → EEPROM
- 電気的にブロック単位で消去・書換え → フラッシュメモリ
- 出荷後にファームウェア更新 → フラッシュメモリ
- ISPはメモリの種類ではなく、基板に実装したまま書き込む方法
固定
→ マスクROM
1回だけ
→ PROM
紫外線
→ EPROM
電気
→ EEPROM
電気 + ブロック消去 + 大容量
→ フラッシュメモリ
ROM系は「書換え可否 → 消去方法」の順で見る。