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最終更新日:2026年9月2日

まず結論

正規分布表を使う問題では、値そのものではなく「平均から標準偏差何個分だけ離れているか」へ変換してから表を読むのが基本です。

試験では、次の5ステップで処理すると迷いにくくなります。

1. 基準となる値と平均の差を出す
2. 標準偏差で割る
3. z値を求める
4. 左側・右側のどちらの確率か確認する
5. 正規分布表から割合を読む

標準化の式は次のとおりです。

[ z = \frac{x-\mu}{\sigma} ]

  • x:調べたい値
  • μ:平均
  • σ:標準偏差

つまり、z値は「平均から標準偏差何個分だけ離れているか」を表す値です。

直感的な説明

たとえば、平均が 70、標準偏差が 5 の正規分布を考えます。

60 は平均より 10 小さいので、

平均との差
70 - 60 = 10

標準偏差
5

10 ÷ 5 = 2

となります。

つまり 60 は、平均から標準偏差2個分だけ左側にある値です。

正規分布では、平均から同じだけ離れた位置は左右対称です。

平均より2σ小さい位置
←──── 平均 ────→
                平均より2σ大きい位置

そのため、左端と右端の面積は同じになります。

z = -2 の左側
=
z = +2 の右側

この左右対称を使うと、表に正の値しか載っていない場合でも読み取れます。

定義・仕組み

正規分布とは

正規分布は、平均を中心とした左右対称の釣鐘型の分布です。

平均 μ
→ 山の中心

標準偏差 σ が小さい
→ 細く高い山

標準偏差 σ が大きい
→ 横に広い山

平均と標準偏差については、標準偏差とは?平行移動と倍率変換を切り分けるでも整理しています。

標準化とは

平均や標準偏差が異なる正規分布を、そのまま一つの表で扱うことはできません。

そこで、値を次の式で変換します。

[ z = \frac{x-\mu}{\sigma} ]

この変換が標準化です。

標準化すると、元の単位に関係なく、値を「平均から標準偏差何個分か」で表せます。

z = 0
→ 平均と同じ位置

z = 1
→ 平均より1σ上

z = -1
→ 平均より1σ下

z = 2
→ 平均より2σ上

標準正規分布とは

標準化した正規分布を標準正規分布と呼びます。

標準正規分布は、

平均 0
標準偏差 1

にそろえた正規分布です。

正規分布表は、この標準正規分布の面積、つまり確率を調べるために使います。

正規分布表は「何の面積か」を確認する

正規分布表には、資料によって掲載している面積の範囲が異なる場合があります。

たとえば、

  • z より右側の確率
  • z より左側の確率
  • 平均 0 から z までの確率

などです。

したがって、数字だけを暗記せず、問題に付いている図の塗りつぶし部分を先に確認することが重要です。

科目Aでどう出る?

FE科目Aでは、平均・標準偏差と正規分布表を組み合わせて、ある範囲に入るデータの割合を求める問題として出題されます。

基本の解き方

例として、製品の測定値が次の正規分布に従うとします。

平均      70
標準偏差   5

60 未満の割合を求める場合、まず標準化します。

[ z = \frac{60-70}{5} = -2 ]

ここで重要なのは、

z = -2
→ 平均より2σ左

と意味を読み取ることです。

正規分布は左右対称なので、表が z = +2 の右端確率を示しているなら、その値をそのまま使えます。

試験中の5ステップ

① 平均との差を求める
      ↓
② 標準偏差で割る
      ↓
③ z値を求める
      ↓
④ 求める場所が左端・右端・中央のどこか確認
      ↓
⑤ 表の対応する確率を読む

選択肢を切る判断基準

問題文・計算結果 判断
x = μ z = 0、平均の位置
x = μ + σ z = 1
x = μ - σ z = -1
平均から2σ離れている 端の確率はかなり小さい
負のz値が出た 平均より左側
正のz値が出た 平均より右側
表の図と求める範囲が違う そのまま数値を使わない

また、正規分布ではおおよその感覚として、

平均±1σ以内
→ 約68%

平均±2σ以内
→ 約95%

平均±3σ以内
→ 約99.7%

が含まれます。

したがって、平均から 以上離れた「端」の確率について、大きな割合の選択肢が出ていれば疑うことができます。

どんな場面で使う?

正規分布は、製造品質、測定値、試験点数など、平均付近に多く集まり、平均から離れるほど少なくなるデータを扱うときに使われます。

たとえば製造工程では、

製品重量の平均
標準偏差
規格下限・規格上限

が分かれば、正規分布を仮定して規格外となる割合を見積もることができます。

ただし、実際のデータが必ず正規分布になるわけではありません。問題文で「正規分布に従う」と示されている場合に、その前提を使います。

よくある誤解・混同

誤解1:平均との差だけを表で探す

正規分布表で使うのは、単なる平均との差ではありません。

平均との差
↓
標準偏差で割る
↓
z値

まで変換してから表を読みます。

誤解2:z値が負なら確率も負になる

確率が負になることはありません。

z値の符号は、平均のどちら側にあるかを表します。

z < 0
→ 平均より左

z > 0
→ 平均より右

誤解3:z = 2なら確率は2%

z値そのものは確率ではありません。

z = 2 は、平均から標準偏差2個分だけ離れた位置という意味です。

確率は正規分布表から読みます。

誤解4:表の数値はいつでもそのまま使える

正規分布表が示す面積の定義を確認する必要があります。

右端の確率なのか
左端の確率なのか
平均からzまでなのか

問題に付属する図と表題を確認してから使います。

誤解5:負のz値を見たら計算をやり直す

負のz値は正常です。

平均より小さい値なら負になります。正規分布の左右対称性を使って、正の値の表から確率を求められる場合があります。

まとめ(試験直前用)

正規分布表の問題では、次の順番を思い出します。

値 − 平均
────────
 標準偏差

↓

z値

↓

表から確率

判断基準は次の3点です。

  1. 平均との差を標準偏差で割ってz値にする
  2. z値の符号で平均の左側・右側を判断する
  3. 正規分布表がどの面積を示しているか確認する

特に、

z値
≠ 確率

z値
= 平均から標準偏差何個分か

を混同しないことが重要です。

参考資料

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