最終更新日:2026年8月28日
fe fe-strategy law security
まず結論
コンピュータに関する違法行為は、「何をしたか」で関係する法律を切り分けます。
FE試験では、次の対応をまず押さえると選択肢を切りやすくなります。
マルウェアを不正目的で作る・提供する
→ 刑法
他人のID・パスワードなどで不正ログインする
→ 不正アクセス禁止法
営業秘密を不正に取得・利用する
→ 不正競争防止法
インターネット上の権利侵害情報への対応
→ 情報流通プラットフォーム対処法
特に、「コンピュータ犯罪だから不正アクセス禁止法」ではありません。
問題文の動詞を見て、どの行為が中心なのかを判断します。
直感的な説明
法律を「犯罪の名前」で覚えようとすると混乱しやすいです。
そこで、行為ごとに整理します。
作る
→ マルウェア
→ 刑法
侵入する
→ 不正ログイン
→ 不正アクセス禁止法
盗む・使う
→ 営業秘密
→ 不正競争防止法
投稿による権利侵害へ対応する
→ 情報流通プラットフォーム対処法
つまり、
法律名より先に「何をしたか」を読む
のがポイントです。
定義・仕組み
刑法:不正指令電磁的記録に関する罪
コンピュータウイルスなど、利用者の意図に反する動作をさせる不正なプログラムを、正当な理由なく作成・提供する行為などは、刑法の「不正指令電磁的記録に関する罪」に関係します。
FE試験では、次のような表現が出たら刑法を疑います。
- マルウェアを作成した
- コンピュータウイルスを提供した
- 他人のコンピュータで実行されるようにした
- 不正なプログラムを実行目的で取得・保管した
一次情報は、e-Gov法令検索の刑法 第十九章の二「不正指令電磁的記録に関する罪」で確認できます。
条文では、第168条の2で、正当な理由がないのに人の電子計算機で実行させる目的で不正な指令を与える電磁的記録などを作成・提供する行為が規定されています。
不正アクセス禁止法
不正アクセス禁止法は、アクセス制御されたコンピュータに対して、他人の識別符号などを使って不正にアクセスする行為を禁止する法律です。
FE試験では、次のような表現が判断の合図です。
他人のID・パスワードを使う
アクセス制御を突破する
不正ログインする
→ 不正アクセス禁止法
一次情報は、e-Gov法令検索の不正アクセス行為の禁止等に関する法律で確認できます。
不正競争防止法
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するための法律です。
FE試験では、とくに営業秘密が重要です。
顧客情報
製造ノウハウ
設計情報
営業上の秘密情報
などを不正に取得・利用・開示する行為が問題になるときは、不正競争防止法を考えます。
一次情報は、e-Gov法令検索の不正競争防止法で確認できます。
情報流通プラットフォーム対処法
情報流通プラットフォーム対処法は、インターネット上の権利侵害情報への対応や、発信者情報の開示、大規模プラットフォーム事業者の対応などを定める法律です。
旧称は「プロバイダ責任制限法」で、2025年4月1日から現在の名称で施行されています。
FE試験では、次のような文脈で他の法律と切り分けます。
SNS・掲示板・Web上の投稿
権利侵害情報
発信者情報の開示
プラットフォーム事業者の対応
→ 情報流通プラットフォーム対処法
一次情報は、e-Gov法令検索の特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律で確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、違法行為の説明から適切な法律名を選ぶ問題として出題されます。
まず、問題文の中心となる動詞を拾います。
| 問題文の中心 | 考える法律 |
|---|---|
| マルウェアを作る・提供する | 刑法 |
| 他人の認証情報で不正ログインする | 不正アクセス禁止法 |
| 営業秘密を不正取得・利用する | 不正競争防止法 |
| Web上の権利侵害情報や発信者情報を扱う | 情報流通プラットフォーム対処法 |
試験中の判断手順
1. 何をしたかを見る
2. 対象が何かを見る
3. 法律名を当てる
例えば、
コンピュータウイルスを作成
↓
行為は「不正なプログラムを作る」
↓
刑法
です。
一方、
他人のIDとパスワードでログイン
↓
行為は「不正アクセス」
↓
不正アクセス禁止法
となります。
どんな場面で使う?
この知識は、企業の情報セキュリティやコンプライアンスを考える場面で役立ちます。
例えば、次のような場面です。
- 不審なプログラムを社内で扱う
- 他人のアカウント情報を使ってシステムへアクセスする
- 退職者が顧客情報や設計情報を持ち出す
- SNS上で権利侵害情報が投稿され、削除や発信者情報開示が問題になる
法律の名称だけでなく、どの行為を防ぐ法律なのかまで理解すると、実務上の判断にもつながります。
マルウェアの作成・提供・取得保管まで、より深く整理したい場合は、SG記事の不正指令電磁的記録に関する罪とは?で、行為ごとの違いを確認できます。
FEでは「どの法律か」を切り分け、SGではその法律を情報セキュリティ管理の文脈まで広げて理解すると、知識がつながりやすくなります。
よくある誤解・混同
コンピュータ犯罪はすべて不正アクセス禁止法
誤りです。
不正アクセス禁止法の中心は、アクセス制御を突破して不正に利用する行為です。
不正ログイン
→ 不正アクセス禁止法
マルウェア作成
→ 刑法
と切り分けます。
マルウェアを持っているだけで必ず違法
言い切りすぎです。
刑法では、正当な理由の有無や、実行の用に供する目的などが重要です。
セキュリティ調査や教育、マルウェア解析などの正当な目的まで、単純に同じ扱いにはできません。
不正競争防止法はコンピュータ犯罪の法律
不正競争防止法は、コンピュータ犯罪だけを扱う法律ではありません。
FE試験では、営業秘密の不正取得・利用・開示と結び付けて考えると判断しやすくなります。
情報流通プラットフォーム対処法は不正アクセスを取り締まる法律
違います。
情報流通プラットフォーム対処法は、SNSや掲示板などで流通する権利侵害情報への対応や発信者情報開示などに関係します。
不正ログインを取り締まる法律ではありません。
古い問題では「プロバイダ責任制限法」と書かれている
現在の法律名は情報流通プラットフォーム対処法ですが、古い問題や教材では「プロバイダ責任制限法」と書かれていることがあります。
旧名称
プロバイダ責任制限法
現在
情報流通プラットフォーム対処法
名称変更に引っ張られず、インターネット上の権利侵害情報への対応という役割を押さえます。
まとめ(試験直前用)
- マルウェアの不正な作成・提供 → 刑法
- 他人の認証情報などを使った不正アクセス → 不正アクセス禁止法
- 営業秘密の不正取得・利用・開示 → 不正競争防止法
- Web上の権利侵害情報や発信者情報開示 → 情報流通プラットフォーム対処法
- 法律名を先に覚えるより、「何をしたか」で切り分ける
- コンピュータ犯罪だからといって、すべて不正アクセス禁止法ではない
試験では、次の一文を思い出してください。
作るなら刑法、侵入なら不正アクセス、営業秘密なら不正競争。