Skip to the content.

最終更新日:2026年6月2日

まず結論

  • インシデント管理は、発生した障害やサービス低下から早く復旧するための管理活動です。
  • 問題管理は、インシデントの根本原因を分析し、再発や影響を減らすための管理活動です。

SG試験では、インシデント管理と問題管理を混同させる選択肢に注意します。
判断基準はシンプルで、今すぐ復旧する話ならインシデント管理、原因を調べて再発防止する話なら問題管理です。

どちらもITサービスマネジメントに関係しますが、目的と時間軸が違います。

直感的な説明

たとえば、社内の業務システムにログインできない障害が発生したとします。

このとき、まず必要なのは、利用者が仕事を再開できるようにすることです。
一時的に別のログイン方法を案内したり、システムを再起動したり、影響範囲を確認したりします。

これがインシデント管理です。
目的は、原因を完全に突き止めることよりも、まずサービスを回復することです。

一方で、同じ障害が何度も起きている場合は、復旧だけでは不十分です。
なぜ繰り返し発生するのか、設定ミスなのか、ソフトウェアの不具合なのか、運用手順に問題があるのかを調べます。

これが問題管理です。
目的は、根本原因を見つけて、再発を防ぐことです。

つまり、次のように考えると分かりやすいです。

  • インシデント管理:今困っている利用者を助ける
  • 問題管理:同じ困りごとが繰り返されないようにする

定義・仕組み

インシデント管理と問題管理は、ITサービスマネジメントで重要な管理活動です。

IPAの情報セキュリティマネジメント試験の出題内容では、関連分野としてサービスマネジメントが含まれています。
また、重点分野の情報セキュリティ管理では、インシデント管理などの管理策も扱われます。
情報セキュリティマネジメント試験 出題内容(IPA)

インシデント管理と問題管理の違いは、次の表で整理できます。

観点 インシデント管理 問題管理
主な目的 早く復旧する 根本原因を調べて再発を防ぐ
時間軸 発生直後・対応中 復旧後・継続的な分析
重視すること 影響を小さくする、サービスを戻す 原因を取り除く、再発を減らす
対応例 一時対応、復旧、連絡、記録 原因分析、恒久対策、既知エラー管理
判断の言葉 復旧、回復、影響低減 根本原因、再発防止、恒久対策

インシデント管理では、必ずしも最初から根本原因が分かっている必要はありません。
原因が不明でも、まずサービスを利用できる状態に戻すことが優先されます。

問題管理では、インシデントの背後にある原因を分析します。
すぐに解決できない場合でも、暫定対応や既知エラーとして管理し、再発防止や恒久対策につなげます。

インシデント・問題・既知の誤り・変更要求の違い

ITサービスマネジメントの問題では、インシデントそのものの定義を問われることがあります。

インシデントは、次のような事象を指します。

  • サービスが計画外に止まる
  • サービスの品質が低下する
  • 利用者への影響が表面化する前でも、サービスに影響する可能性がある

特に、問い合わせや苦情がまだ出ていなくても、サービスに影響し得る事象ならインシデントとして扱う点に注意します。

用語 判断ポイント
インシデント サービスの中断、品質低下、影響が表面化する前の事象
問題 一つ以上のインシデントの根本原因
既知の誤り 原因や回避策が分かって管理されている問題
変更要求 サービスや構成を変更するための提案・要求

👉 判断ポイント: サービスを戻すべき事象ならインシデント、原因そのものなら問題、変更の提案なら変更要求です。

どんな場面で使う?

インシデント管理は、サービスの中断や品質低下が発生した場面で使われます。

たとえば、次のような場面です。

  • 業務システムが使えない
  • ネットワークにつながらない
  • メールが送受信できない
  • 利用者から障害連絡が入った
  • サービス品質が急に低下した

この場合は、利用者への影響を小さくし、できるだけ早く通常状態に戻すことが大切です。

一方、問題管理は、同じようなインシデントが繰り返される場面や、重大な障害の原因を調べる場面で使われます。

たとえば、次のような場面です。

  • 同じシステム障害が何度も発生している
  • 一時対応では復旧するが、原因が分かっていない
  • 障害の根本原因を分析したい
  • 恒久対策を検討したい
  • 既知の不具合として管理したい

SG試験では、選択肢の中にある言葉から判断します。

  • 「迅速に復旧」「サービスを回復」「影響を最小化」ならインシデント管理
  • 「根本原因を分析」「再発防止」「恒久対策」なら問題管理

特に、原因分析という言葉だけでインシデント管理を選ばないように注意します。
インシデント管理でも記録や一次調査は行いますが、主目的は早期復旧です。

よくある誤解・混同

誤解1:インシデント管理は原因を完全に特定する活動である

インシデント管理の主目的は、サービスを早く復旧することです。
原因を調べることもありますが、原因の完全な特定や再発防止は問題管理の役割として扱われます。

SG試験では、選択肢に「根本原因を取り除く」とあれば、問題管理を考えます。

誤解2:問題管理は障害発生時の緊急対応である

問題管理は、障害発生時の緊急対応そのものではありません。
緊急対応はインシデント管理の役割です。

問題管理は、発生したインシデントをもとに、原因を分析し、再発や影響を減らす活動です。

誤解3:復旧したら問題管理は不要である

サービスが復旧しても、同じ障害が繰り返されるなら問題管理が必要です。
復旧だけで終わると、根本原因が残り、同じインシデントが再発する可能性があります。

SG試験では「一時対応で復旧したが、根本原因が残っている」という文脈が出たら、問題管理を考えます。

誤解4:サービスデスクとインシデント管理を同じ意味で考える

サービスデスクは、利用者からの連絡を受け付ける窓口です。
インシデント管理は、サービスの中断や品質低下から早期復旧を目指す管理活動です。

用語 主な役割
サービスデスク 連絡を受け付け、記録し、担当へつなぐ
インシデント管理 早く復旧し、影響を小さくする
問題管理 根本原因を分析し、再発を防ぐ

SG試験では、窓口なのか、復旧なのか、原因分析なのかで切り分けます。

誤解5:問題管理・変更管理・可用性管理を同じ目的で考える

問題管理は、インシデントの根本原因を調べ、恒久対策や再発防止につなげる活動です。
一方で、変更管理は変更の影響を評価し、承認して実施・レビューする活動です。可用性管理やサービス継続管理は、合意した目標の中でサービスを使える状態に保つことを重視します。

SG試験では、選択肢の言葉から次のように切り分けます。

表現 考えるプロセス
早期復旧、通常サービスへ戻す、合意した時間内に解決 インシデント管理
根本原因、恒久対策、再発防止、既知の誤り 問題管理
変更の影響評価、承認、実施、レビュー 変更管理
可用性、サービス継続、合意した稼働目標 可用性管理・サービス継続管理

迷ったときは、今起きている影響を早く戻すのか、原因をつぶして再発を防ぐのかを先に見ます。

確認問題(SG試験対策)

ある社内システムで、毎月同じ時間帯に応答遅延が発生している。利用者への一時対応は済んでいるが、原因はまだ特定できておらず、再発している。問題管理プロセスの活動として最も適切なものはどれか。

  • ア. 利用者が業務を再開できるよう、一時対応を行い通常サービスへ戻す。
  • イ. 発生記録を分析して根本原因を調べ、再発防止につながる恒久対策を検討する。
  • ウ. 合意した稼働率や継続目標を満たせるよう、サービスの可用性を確認する。
  • エ. 修正作業の影響を評価し、承認後に変更を実施する。
▶ クリックして答えと解説を見る(ここを開く)

正解:イ

解説

  • ア:インシデント管理の説明です。利用者への影響を小さくし、早く通常サービスへ戻すことが中心です。
  • イ:適切です。根本原因を調べ、恒久対策や再発防止につなげるのが問題管理です。
  • ウ:可用性管理やサービス継続に近い説明です。サービスを使える状態に保つ目標管理の観点です。
  • エ:変更管理の説明です。変更の影響評価、承認、実施、レビューがキーワードです。

判断ポイント:「根本原因」「恒久対策」「再発防止」があれば、問題管理を優先して考える。

まとめ(試験直前用)

  • インシデント管理は、サービスを早く復旧する活動
  • 問題管理は、根本原因を分析して再発を防ぐ活動
  • 「迅速な復旧」「影響の最小化」ならインシデント管理。
  • 「根本原因」「再発防止」「恒久対策」なら問題管理。
  • SG試験では、今すぐ戻すのか、原因をつぶすのかで判断する。

© 2024-2026 stemtazoo. All rights reserved.