最終更新日:2026年9月4日
gk machine_learning probability
まず結論
ポアソン回帰(Poisson Regression)は、件数・回数のようなカウントデータについて、条件付きの平均発生回数を説明する回帰モデルです。
G検定では、まず目的変数を見ます。
- 事故件数・故障件数・来客数などの回数 → ポアソン回帰
- 0/1の結果や成功確率 → ロジスティック回帰
- 連続値 → 線形回帰などを検討
つまり、「何回起きたか」を説明したいのかが最初の判断基準です。
直感的な説明
「事故が起きるか?」ではなく、
1か月に事故が何件起きるか?
を説明したいときに使うイメージです。
ポアソン回帰の定義は「珍しい出来事専用」ではありません。
重要なのは、一定の時間・距離・面積などの観測単位で、事象が何回発生したかを扱うことです。
また、観測する長さが違えば件数も変わりやすくなります。たとえば、1,000 km走った車と10,000 km走った車の故障件数を、そのまま比べるのは公平ではありません。
このような違いを調整するのが exposure(曝露量) の考え方です。
定義・仕組み
ポアソン回帰は、一般化線形モデル(GLM)の一つです。
目的変数の条件付き分布をポアソン分布で表し、説明変数から期待される平均件数を求めます。
代表的には、平均発生回数 λ と説明変数を対数リンク(log link)で結びます。
log(平均件数) = 説明変数の線形結合
対数リンクを使うことで、予測される平均件数は負になりません。
Nelder と Wedderburn が1972年に提案した一般化線形モデルの枠組みでも、ポアソン分布はGLMで扱う代表的な分布の一つとして示されています。
exposure と offset
観測時間・人口・走行距離などがサンプルごとに異なる場合、その量を exposure として考えます。
対数リンクのポアソン回帰では、exposure の対数を offset として線形予測子へ加える方法がよく使われます。
たとえば、
- 1日あたりの問い合わせ件数
- 人口1万人あたりの事故件数
- 1万kmあたりの故障件数
のように、単なる件数ではなく発生率を比較したい場合に重要です。
平均と分散の関係
基本的なポアソン分布では、
平均と分散が等しい
という性質があります。
実際のカウントデータでは、分散が平均よりかなり大きくなる 過分散(overdispersion) が起きることがあります。
この場合は、単純なポアソン回帰が合わない可能性があり、負の二項回帰などを検討することがあります。
→ 比較は ポアソン回帰と負の二項回帰の違い で整理しています。
いつ使う?(得意・不得意)
向いている例
- 1日あたりの問い合わせ件数
- 一定距離あたりの故障件数
- 地域ごとの事故件数
- 一定時間内のイベント発生回数
向いていない例
- 合格 / 不合格のような0/1 → ロジスティック回帰
- 身長・温度・売上額のような連続値 → 別の回帰モデルを検討
- カウントデータでも過分散が強い → 負の二項回帰などを検討
「目的変数が整数だから必ずポアソン回帰」ではなく、カウントデータの性質と分散も確認することが重要です。
G検定ひっかけポイント
目的変数で切る
❌ 「0/1の成功確率を予測する」
⭕ それはロジスティック回帰を疑う
❌ 「サイコロの出目そのものを予測する」
⭕ 1〜6というカテゴリ・値であり、一定区間の発生回数とは別
⭕ 「一定期間あたりの事故件数」
→ ポアソン回帰を疑う
「稀な事象」だけ?
❌ ポアソン回帰は稀な事象にしか使えない
⭕ 本質はカウントデータの平均発生回数をモデル化すること
exposure と offset
❌ 観測時間や走行距離が違っても、件数をそのまま比較する
⭕ exposureの違いをoffsetなどで調整する
過分散
❌ カウントデータなら常にポアソン回帰でよい
⭕ 分散が平均より大きい過分散では、負の二項回帰なども検討する
まとめ(試験直前用)
- ポアソン回帰=カウントデータの平均発生回数を扱うGLM
- 目的変数は件数・回数
- 対数リンクが代表的
- 観測量が違う場合は exposure / offset を考える
- 基本的なポアソン分布は平均=分散
- 過分散なら負の二項回帰などを検討
- 0/1確率ならLogistic、件数ならPoisson
参考資料(一次情報・公式資料)
- Nelder, J. A. & Wedderburn, R. W. M. (1972), Generalized Linear Models
- scikit-learn: PoissonRegressor
- statsmodels: Generalized Linear Models