最終更新日:2026年9月8日
fe fe-technology network wireless-lan security
まず結論
無線LANのセキュリティ対策は、「何を守りたいのか」で切り分けるのがポイントです。
通信内容を守る
→ WPA2 / WPA3 などの暗号化
接続できる端末を制限する
→ MACアドレスフィルタリング
SSIDを一覧に表示されにくくする
→ SSIDステルス
同じ無線LANの利用者同士を通信させない
→ プライバシーセパレーター
基本情報技術者試験では、対策名だけでなく、その対策で本当にその効果が得られるかを問われます。
特に、
- MACアドレスフィルタリングでMACアドレス偽装を完全に防げる
- SSIDを暗号化すればSSIDを秘密にできる
- SSID名だけで正規アクセスポイントだと確認できる
といった表現は疑いましょう。
直感的な説明
公衆Wi-Fiを例に考えます。
スマホA ─┐
PC B ─┼→ アクセスポイント → インターネット
PC C ─┘
このとき、守りたい対象によって対策が変わります。
通信の中身を見られたくない
利用者 ⇄ アクセスポイント
の無線通信を暗号化します。
→ WPA2 / WPA3
許可した端末だけ接続させたい
登録したMACアドレスの端末だけを許可します。
→ MACアドレスフィルタリング
Wi-Fi名を一覧に表示されにくくしたい
アクセスポイントからSSIDを積極的に通知しないようにします。
→ SSIDステルス
同じWi-Fiにいる知らない利用者からアクセスされたくない
スマホA ↔ PC B
×
のように、同じアクセスポイント配下の端末同士の通信を遮断します。
→ プライバシーセパレーター
定義・仕組み
WPA2 / WPA3
WPA2やWPA3は、無線LAN通信の暗号化や認証に使われる仕組みです。
試験では、まず次の対応を押さえます。
無線通信の内容を守る
→ WPA2 / WPA3
SSIDを隠したり、利用者同士を分離したりする機能とは役割が違います。
MACアドレスフィルタリング
MACアドレスフィルタリングは、アクセスポイントに許可する端末のMACアドレスを登録し、それ以外の端末からの接続を制限する方法です。
登録済みMACアドレス
→ 接続を許可
未登録MACアドレス
→ 接続を拒否
ただし、MACアドレスは通信から知られる可能性があり、偽装されることもあります。
そのため、
MACアドレスフィルタリング
→ 接続端末の制限には使える
→ 強力な本人認証の代わりにはならない
と考えます。
SSIDステルス
SSIDステルスは、アクセスポイントがSSIDを通常の一覧に表示されにくくする設定です。
SSIDを暗号化する
→ ×
SSIDを表示されにくくする
→ SSIDステルス
SSIDの存在を完全に隠せるわけではありません。
プライバシーセパレーター
プライバシーセパレーターは、同じアクセスポイントに接続している無線端末同士の通信を制限する機能です。
アクセスポイントアイソレーション、AP isolationなどと呼ばれることもあります。
端末A → AP → インターネット
○
端末A ↔ 端末B
×
店舗やホテルなど、多数の利用者が同じ公衆無線LANを使う環境で有効です。
科目Aでどう出る?
判断軸1:何を守る対策か
通信内容
→ WPA2 / WPA3
接続端末
→ MACアドレスフィルタリング
SSIDの表示
→ SSIDステルス
利用者同士の通信
→ プライバシーセパレーター
この対応を先に思い出すと、選択肢をかなり減らせます。
判断軸2:「完全に防ぐ」という表現を疑う
無線LANの対策には限界があります。
例えば、MACアドレスフィルタリングは、正規端末のMACアドレスを偽装した攻撃者を必ず見分けられるわけではありません。
MACアドレスフィルタリング
→ MACアドレス偽装を完全防止
という説明は不適切です。
判断軸3:SSIDは秘密情報ではない
SSIDは無線LANを識別するための名前です。
SSIDステルスを設定しても、SSIDを完全に秘匿できるわけではありません。
また、SSID名だけでは、そのアクセスポイントが本物かどうかを保証できません。
正規AP
SSID = Company-WiFi
偽AP
SSID = Company-WiFi
のように、攻撃者が同じSSIDを設定することも可能だからです。
どんな場面で使う?
家庭・社内Wi-Fi
無線通信そのものを保護するため、WPA2やWPA3を利用します。
接続端末を限定したい場合
補助的な対策としてMACアドレスフィルタリングを使うことがあります。
ただし、これだけに頼るのではなく、適切な暗号化・認証と組み合わせることが重要です。
店舗・ホテル・公衆Wi-Fi
利用者同士が同じネットワークに接続するため、端末間通信を防ぐプライバシーセパレーターが有効です。
利用者A → インターネット
利用者B → インターネット
利用者A ↔ 利用者B
×
よくある誤解・混同
MACアドレスフィルタリングならMAC偽装も防げる?
完全には防げません。
MACアドレスフィルタリングは、登録されたMACアドレスかどうかを見て接続を許可・拒否する仕組みです。
MACアドレスそのものの真正性を保証する仕組みではありません。
SSIDを暗号化できる?
通常、SSIDそのものを暗号化して秘密にするという考え方ではありません。
SSIDを一覧に表示されにくくする設定はSSIDステルスです。
SSIDを会社のドメイン名にすれば偽APを防げる?
防げません。
SSIDは利用者が自由に設定できるため、悪意のあるアクセスポイントが同じ名前を名乗ることも可能です。
プライバシーセパレーターは通信を暗号化する?
違います。
通信内容を暗号化
→ WPA2 / WPA3
同じLAN内の端末同士を分離
→ プライバシーセパレーター
と役割を分けて覚えます。
まとめ(試験直前用)
- 通信内容を守る → WPA2 / WPA3
- 接続端末を限定する → MACアドレスフィルタリング
- SSIDを一覧に出にくくする → SSIDステルス
- 同じ無線LANの端末同士を分離する → プライバシーセパレーター
- MACアドレスフィルタリングだけでMAC偽装を完全には防げない
- SSIDは暗号化するものではなく、SSIDステルスでも完全に秘密にはできない
- SSID名だけでは正規アクセスポイントかどうかを保証できない
暗号化
→ WPA2 / WPA3
端末制限
→ MACフィルタリング
SSIDを見えにくく
→ SSIDステルス
利用者同士を分離
→ プライバシーセパレーター
「何を守りたいか」を見れば、無線LANの対策は切り分けやすい。