最終更新日:2026年8月3日
fe fe-technology security cryptography authentication
まず結論
タイムスタンプとは、電子データについて次の2点を証明する仕組みです。
1. ある時点で、その電子データが存在していた
2. その時点以降、電子データが改ざんされていない
基本情報技術者試験では、次の言葉を判断基準にします。
存在証明
+
非改ざん証明
→ タイムスタンプ
タイムスタンプは、PCやサーバの時計を合わせるNTPとは目的が異なります。
電子データの存在と非改ざんを証明
→ タイムスタンプ
コンピュータの時計を同期
→ NTP
直感的な説明
紙の書類に、信頼できる第三者が日付入りの印を押す場面を考えると分かりやすいです。
その印があれば、少なくとも印を押した時点で書類が存在していたと確認できます。
電子データでは、内容そのものではなく、データから作ったハッシュ値に信頼できる時刻情報を結び付けます。
電子データ
↓ ハッシュ計算
ハッシュ値
↓ 信頼できる時刻と結び付ける
タイムスタンプ
後で電子データからもう一度ハッシュ値を計算し、タイムスタンプに記録された値と比較します。
ハッシュ値が一致
→ タイムスタンプ付与後に変更されていない
ハッシュ値が不一致
→ 電子データが変更されている
定義・仕組み
タイムスタンプサービスでは、信頼できる第三者機関である時刻認証局を利用します。
時刻認証局は、英語でTSA(Time Stamp Authority)と呼ばれます。
1. 電子データからハッシュ値を作る
利用者は、対象となる電子文書や電子データからハッシュ値を計算します。
電子データ
↓ ハッシュ関数
ハッシュ値
ハッシュ値には、次の特徴があります。
- 元のデータが少し変わるだけで値が大きく変わる
- ハッシュ値から元のデータを復元することは難しい
- 大きなデータでも固定長の値として扱える
2. TSAへハッシュ値を送る
利用者は、作成したハッシュ値をTSAへ送ります。
通常、電子データそのものを送るのではなく、ハッシュ値を送ります。
これにより、文書の内容をTSAへ渡さずに処理できます。
3. TSAが時刻情報を結び付ける
TSAは、受け取ったハッシュ値に信頼できる時刻情報を結び付けます。
さらに、TSAの電子署名などを付けてタイムスタンプを発行します。
ハッシュ値
+
信頼できる時刻情報
+
TSAの電子署名
=
タイムスタンプ
4. 後から検証する
検証時には、現在の電子データから再びハッシュ値を計算します。
その値と、タイムスタンプに記録されたハッシュ値を比較します。
一致する
→ 付与時点から変更されていない
一致しない
→ 付与後に変更されている
存在証明
タイムスタンプが付与された時点で、対象データのハッシュ値がTSAへ送られています。
このため、その時刻より前に電子データが存在していたことを証明できます。
タイムスタンプの付与時刻
→ 少なくともその時刻にはデータが存在していた
非改ざん証明
現在のハッシュ値とタイムスタンプ内のハッシュ値が一致すれば、タイムスタンプ付与後に内容が変更されていないと判断できます。
付与時点のハッシュ値
=
現在のハッシュ値
→ 非改ざん
このテーマは、基本情報技術者試験の情報セキュリティ分野と関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、タイムスタンプサービスの説明を選ぶ問題や、似た用語との違いを問う問題が出ます。
選択肢を切る判断基準
| 問題文の手掛かり | 用語 |
|---|---|
| ある日時に電子データが存在していた | タイムスタンプ |
| その日時以降、改ざんされていない | タイムスタンプ |
| 時刻認証局 | TSA |
| PCやサーバの時計を合わせる | NTP |
| 指紋、顔、静脈、虹彩 | バイオメトリクス認証 |
| 作成者や送信者を証明する | 電子署名 |
試験中は、次の順番で判断します。
1. 電子データの存在時刻を証明するか
2. 付与後の改ざんを検出するか
3. 時計の同期を目的としていないか
4. 作成者本人の証明を目的としていないか
タイムスタンプと電子署名の違い
| 技術 | 主に証明すること |
|---|---|
| タイムスタンプ | いつ存在したか、付与後に改ざんされていないか |
| 電子署名 | 誰が作成・承認したか、署名後に改ざんされていないか |
覚え方は次のとおりです。
誰が
→ 電子署名
いつ
→ タイムスタンプ
電子署名とタイムスタンプを組み合わせると、誰が、いつ、どの内容を承認したかをより強く確認できます。
タイムスタンプとNTPの違い
| 項目 | タイムスタンプ | NTP |
|---|---|---|
| 目的 | 電子データの存在と非改ざんを証明 | 時計を同期する |
| 対象 | 電子文書、電子データ | PC、サーバ、ネットワーク機器 |
| 主なキーワード | TSA、存在証明、非改ざん証明 | 時刻同期、時計を合わせる |
証明する
→ タイムスタンプ
時計を合わせる
→ NTP
タイムスタンプと時刻配信の違い
時刻配信は、信頼できる正確な時刻を提供する役割です。
TSAは、その時刻を電子データのハッシュ値と結び付けてタイムスタンプを発行します。
時刻配信
→ 正確な時刻を提供する
TSA
→ 電子データと時刻を結び付けて証明する
どんな場面で使う?
タイムスタンプは、電子データの作成時期や保存後の非改ざんを示したい場面で使われます。
例えば、次のようなデータです。
- 電子契約書
- 設計図面や仕様書
- 研究記録や実験データ
- 電子帳簿や請求書
- 知的財産に関する資料
- 監査記録やログ
機械設計の図面を例にすると、ある時点でその図面が存在していたことや、その後に内容が変更されていないことを示す用途が考えられます。
ただし、タイムスタンプだけで、図面の内容が正しいことや、作成者本人が誰であるかまで証明できるわけではありません。
よくある誤解・混同
タイムスタンプは作成者本人を証明する
タイムスタンプが主に証明するのは、存在時刻と付与後の非改ざんです。
作成者や承認者を確認する目的では、電子署名を使います。
いつ存在したか
→ タイムスタンプ
誰が作成・承認したか
→ 電子署名
タイムスタンプはデータを暗号化する
タイムスタンプの主目的は、内容を秘密にすることではありません。
第三者に読めないようにする
→ 暗号化
変更されていないことを確認する
→ ハッシュ、タイムスタンプ
NTPと同じ仕組みである
NTPはコンピュータの時計を同期する仕組みです。
電子データの存在証明や非改ざん証明は行いません。
タイムスタンプ付与前の改ざんも検出できる
タイムスタンプで確認できるのは、基本的に付与時点から検証時点までの変更です。
付与する前にデータが誤っていた場合、その内容が正しいかどうかまでは判断できません。
付与時点のデータ
→ その後の変更は検証できる
付与前から内容が誤っている
→ タイムスタンプだけでは判断できない
TSAは電子データの内容を保管する
通常、TSAへ送るのは電子データそのものではなく、データから作成したハッシュ値です。
電子データそのもの
→ 利用者が保管
ハッシュ値と時刻情報
→ タイムスタンプに利用
まとめ(試験直前用)
- タイムスタンプは、電子データの存在証明と非改ざん証明に使う
- TSAは、ハッシュ値と信頼できる時刻情報を結び付ける
- タイムスタンプ付与後のハッシュ値を比較して改ざんを検証する
- 「誰が」は電子署名、「いつ」はタイムスタンプ
- NTPはPCやサーバの時計を同期する仕組み
- タイムスタンプは暗号化や作成者本人の証明そのものではない
存在していた
+
付与後に改ざんされていない
→ タイムスタンプ