最終更新日:2026年9月20日
fe fe-technology computer-system performance
まず結論
スループットとは、コンピュータシステムが単位時間当たりに処理できる仕事の量です。
基本情報技術者試験では、次のように覚えると判断しやすくなります。
単位時間あたりの処理量
→ スループット
このページでは、スループットという性能指標そのものと、ターンアラウンドタイム・レスポンスタイムなどとの違いを中心に扱います。スプーリングによって待ち時間を減らしスループットを高める関係は、スループットとスプーリング で整理しています。
似た用語とは、次のように切り分けます。
一定時間に何件処理できる?
→ スループット
1件の処理が全部終わるまで何秒?
→ ターンアラウンドタイム
最初の応答まで何秒?
→ レスポンスタイム
データを読み書きできるまで何秒?
→ アクセスタイム
本来の処理以外に余分にかかる処理は?
→ オーバーヘッド
CPUを何秒ずつ割り当てる?
→ タイムスライス
直感的な説明
スループットは、工場の生産能力にたとえると分かりやすいです。
例えば、
1時間で100個作れる
なら、その工場のスループットは「100個/時間」と考えられます。
見える化すると、次のイメージです。
1分間
│
├─ 処理1 █
├─ 処理2 █
├─ 処理3 █
├─ 処理4 █
└─ 処理5 █
→ 5件/分
→ これがスループット
同じ「時間」が出てくる用語でも、何を数えているかが違います。
時間の中に何件入る?
→ スループット
1件が終わるまで何秒?
→ ターンアラウンドタイム
コンピュータでも同じで、
1秒間に何件処理できるか
1分間に何ジョブ処理できるか
のように、一定時間の中でどれだけ処理できるかを表します。
つまり、スループットは「時間そのもの」ではなく、処理量を見る指標です。
定義・仕組み
スループットは、システム性能を評価するときに使われる代表的な指標です。
例えば、
1秒間に500件のトランザクションを処理
できるなら、
500件/秒
がスループットの例です。
スループットに影響する要因
スループットは、システム全体の性能に影響されます。
例えば、
- CPU性能
- 主記憶の速度・容量
- ストレージ性能
- ネットワーク性能
- 入出力装置の速度
- OSやソフトウェアの処理効率
などです。
どこか一つが遅いと、システム全体の処理量も低下することがあります。
単位に注目する
スループットでは、
件/秒
件/分
ジョブ/時間
のように、時間あたりの処理量として表すことが多いです。
この点が、ターンアラウンドタイムやレスポンスタイムとの大きな違いです。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、似た性能用語から正しいものを選ぶ問題が出ます。
スループット
単位時間当たりに処理される仕事の量
→ スループット
キーワードは、
単位時間
処理量
件数
仕事量
です。
アクセスタイム
アクセス時間は、CPU・主記憶・補助記憶装置などの間で、目的のデータを読み書きできるようになるまでにかかる時間です。
特に磁気ディスクでは、シーク時間・回転待ち時間・データ転送時間などを合計して考えます。
データへアクセスするまでの時間
→ アクセスタイム
詳しくは、磁気ディスクのアクセス時間で整理しています。
オーバーヘッド
オーバーヘッドは、本来目的としている処理そのものではなく、その処理を実現するために付随して必要となる余分な処理です。
例えば、OSによる管理処理、通信制御、タスク切替えなどがオーバーヘッドになることがあります。
本来の仕事以外の付加処理
→ オーバーヘッド
ターンアラウンドタイム
ターンアラウンドタイムは、処理を要求してから、その処理がすべて完了するまでの時間です。
要求
↓
処理開始
↓
処理
↓
全結果の出力完了
この全体にかかる時間を見ます。
レスポンスタイム
レスポンスタイムは、要求してから最初の応答が返ってくるまでの時間です。
要求
↓
最初の応答
までを見ます。
タイムスライス
タイムスライスは、マルチタスク環境で、CPUを各タスクに割り当てる時間の単位です。
タスクA → 20ms
タスクB → 20ms
タスクC → 20ms
のように、一定時間ごとにCPUを切り替えます。
どんな場面で使う?
スループットは、システムがどれくらい多くの処理をこなせるか評価したい場面で使います。
例えば、
- Webサーバが1秒間に何件のリクエストを処理できるか
- データベースが1秒間に何件のトランザクションを処理できるか
- バッチ処理が1時間に何件完了できるか
- 製造システムが一定時間に何件の処理をこなせるか
などです。
ポイントは、1件の処理時間ではなく、一定時間の中でどれだけ処理できるかを見ることです。
よくある誤解・混同
スループットとレスポンスタイムは同じ?
違います。
処理量
→ スループット
最初の応答までの時間
→ レスポンスタイム
例えば、レスポンスが速くても、大量の要求を同時に処理できなければスループットは高くない場合があります。
スループットとターンアラウンドタイムは同じ?
違います。
どれだけ処理できるか
→ スループット
1件が全部終わるまで何秒か
→ ターンアラウンドタイム
タイムスライスは性能指標?
タイムスライスは、性能そのものを表す指標ではなく、CPUスケジューリングで使う時間割当単位です。
処理能力
→ スループット
CPUの持ち時間
→ タイムスライス
アクセスタイムとスループットは同じ?
違います。
1回のデータアクセスにかかる時間
→ アクセスタイム
単位時間あたりに処理できる量
→ スループット
アクセスが速くなればスループット向上につながる場合はありますが、用語そのものは別です。
オーバーヘッドとスループットは同じ?
違います。
余分にかかる処理
→ オーバーヘッド
処理できる仕事量
→ スループット
一般にオーバーヘッドが増えると、実際の仕事に使える時間が減るため、スループットが低下する要因になり得ます。
「時間」という言葉があれば時間系の指標?
必ずしもそうではありません。
スループットにも「単位時間当たり」という表現が出てきます。
しかし、見ているのは時間ではなく、その時間内の処理量です。
単位時間当たりに何件?
→ スループット
と判断します。
確認問題(基本情報技術者試験対策)
コンピュータシステムが、単位時間当たりに処理できる仕事の量を表す用語として、最も適切なものはどれか。
- ア. スループット
- イ. ターンアラウンドタイム
- ウ. タイムスライス
- エ. レスポンスタイム
▶ クリックして答えと解説を見る(ここを開く)
正解:ア
スループットは、単位時間当たりに処理できる仕事の量を表します。
- ターンアラウンドタイム:要求してから処理全体が完了するまでの時間
- タイムスライス:各タスクに割り当てるCPU時間の単位
- レスポンスタイム:要求してから最初の応答までの時間
まとめ(試験直前用)
- スループットは、単位時間当たりの処理量
- 「一定時間内に処理される仕事量」とあればスループット
- アクセスタイムは、データを読み書きできるようになるまでの時間
- オーバーヘッドは、本来の処理以外に付随してかかる余分な処理
- ターンアラウンドタイムは、処理要求から全処理完了までの時間
- レスポンスタイムは、要求から最初の応答までの時間
- タイムスライスは、CPUを各タスクに割り当てる時間単位
- 量を見るならスループット、時間を見るならターンアラウンドタイムやレスポンスタイム
- 「単位時間当たりに何件処理できるか」が出たらスループット