最終更新日:2026年7月18日
fe fe-technology computer-system
まず結論
スラッシングとは、仮想記憶でページ交換が頻発し、本来の処理よりもページイン・ページアウトに時間を使ってしまうため、性能が大きく低下する現象です。
基本情報技術者試験では、次の組合せで判断します。
多重度を上げる
+
主記憶が不足する
+
ページフォールトが急増する
+
ページ交換ばかりになる
→ スラッシング
ページフォールトが1回発生しただけでは、スラッシングとは限りません。ページ交換が繰り返され、本来の処理が進まない状態かを確認します。
直感的な説明
机の上で複数の資料を使う場面を考えます。
机が十分に広ければ、よく使う資料を机に置いたまま作業できます。しかし、机が狭いのに多くの作業を同時に進めると、必要な資料を棚から出し、別の資料を棚へ戻す作業ばかりになります。
資料を探す
↓
机に出す
↓
別の資料を棚へ戻す
↓
すぐまた必要になる
資料の入替えが続き、肝心の作業が進まない状態がスラッシングです。
定義・仕組み
仮想記憶方式では、プログラムを一定の大きさのページに分け、必要なページだけを主記憶へ読み込みます。
- 補助記憶装置から主記憶へ読み込む:ページイン
- 主記憶から補助記憶装置へ追い出す:ページアウト
- 必要なページが主記憶にない:ページフォールト
ページフォールト自体は、仮想記憶では通常起こり得ます。問題は、短い間隔で何度も発生することです。
多重度が上がる
↓
各プログラムへ割り当てられる主記憶が減る
↓
必要なページを保持できない
↓
ページフォールトが増える
↓
ページ交換が頻発する
↓
応答時間が長くなり、スループットが低下する
局所参照性
プログラムは一般に、直前に使った命令やデータ、その周辺を繰り返し使う傾向があります。これを局所参照性といいます。
よく使うページを主記憶に残せれば、ページフォールトは減ります。反対に、それらを保持できないほど主記憶が不足すると、ページ交換が増えます。
ワーキングセット
ある時間帯に、プログラムが頻繁に使うページの集合をワーキングセットと考えます。
各プログラムのワーキングセットを主記憶に置けない状態になると、追い出したページをすぐ読み戻すようになり、スラッシングが起こりやすくなります。
ページ置換方式との関係
LRUなどのページ置換方式は、どのページを追い出すかを決めます。適切な方式はページフォールトを減らす助けになります。
ただし、主記憶そのものが極端に不足している場合は、置換方式だけで解決できないことがあります。
科目Aでどう出る?
スラッシングを示す主な表現は次のとおりです。
- 仮想記憶方式
- 多重度を上げた
- ページフォールトが急増した
- ページイン・ページアウトが多発した
- CPU利用率やスループットが低下した
- 応答時間が急激に長くなった
判断するときは、次の順番で確認します。
1. 仮想記憶の話か
2. ページ交換が多発しているか
3. その結果、性能が急低下しているか
単に「処理が遅い」「CPU使用率が高い」だけなら、スラッシングとは決められません。
どんな場面で使う?
スラッシングは、次のような場面で問題になります。
- メモリの少ないPCで多くのアプリを同時実行する
- サーバで多くのプロセスを動かす
- 仮想マシンへ十分なメモリを割り当てていない
- 多重度を上げすぎる
主な対策は次のとおりです。
- 同時実行するプログラム数を減らす
- 各プログラムへ割り当てる主記憶を増やす
- 物理メモリを増設する
- ページ置換方式やメモリ割当てを見直す
多重度を上げると、最初はCPUを有効利用でき、スループットが上がることがあります。しかし、主記憶の限界を超えるとページ交換が急増し、逆にスループットが低下します。
よくある誤解・混同
ページフォールトが発生したら、すべてスラッシング
誤りです。
ページフォールトは、必要なページが主記憶にないときに起こる通常の処理です。スラッシングは、ページフォールトとページ交換が頻発し、性能が大幅に低下する状態です。
CPU負荷が高い状態と同じ
同じではありません。
- CPU負荷が高い:計算処理を多く実行している可能性がある
- スラッシング:ページ交換の待ち時間が増え、本来の処理が進まない
メモリリークと同じ
メモリリークは、不要になったメモリが解放されず、使用量が増え続ける問題です。メモリリークが主記憶不足を招き、結果としてスラッシングにつながることはありますが、同じ現象ではありません。
オーバーレイとの違い
- スラッシング:ページ交換の頻発による性能低下
- オーバーレイ:プログラムを分割し、必要な部分だけを読み込む方式
メモリコンパクションとの違い
- スラッシング:ページ交換が多発する
- メモリコンパクション:分散した空き領域を一つにまとめる
まとめ(試験直前用)
- スラッシングは、ページ交換が頻発して性能が大きく低下する現象
- ページフォールトが1回起きただけではスラッシングではない
- 多重度を上げすぎると、各プログラムのワーキングセットを保持できなくなる
- 局所参照性を生かせず、追い出したページをすぐ読み戻す状態になる
- ページ交換の多発と急激な性能低下がそろったらスラッシング