最終更新日:2026年6月25日
fe fe-technology security
まず結論
脅威とセキュリティ対策の対応では、何を防ぎたいのか を見て、適切な対策を選ぶことが大切です。
基本情報技術者試験では、対策名を暗記するより、次のように切り分けると判断しやすいです。
| 脅威 | 合いやすい対策 |
|---|---|
| 誤操作による削除・上書き | バックアップ |
| ディスク故障 | RAID、ディスクアレイ |
| 地震・火災 | 遠隔地バックアップ、別拠点での冗長化 |
| 盗聴・不正閲覧 | 暗号化 |
| メッセージの改ざん | ディジタル署名、ハッシュ、MAC |
| なりすまし | 認証、ディジタル証明書、多要素認証 |
| 不正侵入 | ファイアウォール、IDS、IPS |
| Webアプリケーションへの攻撃 | WAF |
試験では、脅威と対策の目的が合っているか を見ると、選択肢を切りやすくなります。
直感的な説明
脅威と対策の対応は、病気に合った薬を選ぶ イメージです。
頭痛に胃薬を飲んでも、目的が合っていません。
同じように、セキュリティ対策も、脅威に合っていないと意味が薄くなります。
例えば、ディスク故障にはRAIDが役立ちます。
しかし、利用者が誤ってファイルを削除した場合、RAIDだけでは元に戻せません。
誤操作によるデータ消失には、バックアップが必要です。
また、通信中のデータを盗み見られる脅威には、暗号化が合います。
一方で、メッセージが途中で書き換えられていないかを確認したい場合は、ディジタル署名やハッシュが関係します。
つまり、対策を選ぶときは、どの脅威に効く対策なのか をセットで考えます。
定義・仕組み
情報セキュリティでは、脅威に対して適切な対策を組み合わせて、情報資産を守ります。
FE試験では、細かい製品名よりも、対策の目的を理解することが大切です。
| 対策 | 主な目的 |
|---|---|
| バックアップ | データ消失・誤削除・破損から復旧する |
| RAID・ディスクアレイ | ディスク故障への耐性を高める |
| 遠隔地バックアップ | 災害時にもデータを失いにくくする |
| 暗号化 | 盗聴や不正閲覧から内容を守る |
| ディジタル署名 | 改ざん検知と送信者の確認を行う |
| ハッシュ | データが変わっていないかを確認する |
| ファイアウォール | 通信を制御して不正アクセスを防ぐ |
| IDS | 不審な通信や侵入を検知する |
| IPS | 不審な通信や侵入を検知して遮断する |
| WAF | Webアプリケーションへの攻撃を防ぐ |
ポイントは、同じ「守る」でも、守る対象が違うことです。
- 壊れたときに戻すなら、バックアップ
- 故障しても止まりにくくするなら、冗長化
- 内容を見られないようにするなら、暗号化
- 内容が変わっていないことを確認するなら、ハッシュやディジタル署名
- 通信の出入りを制御するなら、ファイアウォール
- 攻撃を検知・遮断するなら、IDSやIPS
このテーマは、基本情報技術者試験の「情報セキュリティ」と関係する内容です。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験 から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、脅威と対策の組合せが正しいかを問う問題が出やすいです。
判断するときは、対策の名前ではなく、対策の効き方 を見ます。
| 問われる脅威 | 選びたい対策 | 切り分け |
|---|---|---|
| 誤操作によるデータ削除 | バックアップ | RAIDでは誤削除を戻せない |
| ディスク故障 | RAID、ディスクアレイ | ディスク障害への耐性を高める |
| 地震・火災 | 遠隔地バックアップ | 同じ場所・同じ機器内の二重化では弱い |
| 伝送中の盗聴 | 暗号化 | CRCは誤り検出であり、盗聴対策ではない |
| 伝送中の改ざん | ディジタル署名、MAC | 正当性や改ざん有無を確認する |
| 不正侵入 | ファイアウォール、IDS、IPS | 通信制御・検知・遮断が目的 |
| Webアプリ攻撃 | WAF | SQLインジェクションやXSS対策 |
例えば、次のような組合せは自然です。
メッセージの改ざん
→ 公開鍵暗号方式を応用したディジタル署名
ディジタル署名では、発信元が正当か、途中で改ざんされていないかを確認できます。
一方で、次のような組合せは不適切です。
伝送中のデータへの不正アクセス
→ HDLC手順のCRC
CRCは誤り検出方式です。
通信中にビット列が壊れていないかを確認するものであり、不正アクセスや盗聴への対策ではありません。
科目Aでは、改ざんなら署名、盗聴なら暗号化、誤削除ならバックアップ、故障ならRAID と考えると選択肢を切りやすいです。
科目Bでどう使う?
科目Bでは、脅威と対策の対応を、業務やシステム運用の文脈で読むことがあります。
例えば、次のような状況を考えます。
利用者が誤って重要ファイルを削除した。
この場合に必要なのは、削除されたデータを復旧する手段です。
そのため、バックアップが合います。
一方で、次のような状況なら対策が変わります。
ディスク装置の故障によってシステムが停止することを避けたい。
この場合は、RAIDやディスクアレイによる冗長化が合います。
科目Bで読むときは、次の順で整理すると分かりやすいです。
- 何が起きているかを見る
- 守りたいものが、機密性・完全性・可用性のどれに近いかを見る
- 対策が「防止」「検知」「復旧」のどれなのかを見る
- 脅威と対策の目的が合っているかを見る
特に、次の3つは区別して読むとミスが減ります。
| 観点 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 防止 | 起きにくくする | 暗号化、アクセス制御、ファイアウォール |
| 検知 | 起きたことに気づく | IDS、ログ監視、ハッシュ |
| 復旧 | 起きたあと戻す | バックアップ、リストア |
同じセキュリティ対策でも、役割が違います。
問題文が「防ぎたい」のか、「気づきたい」のか、「戻したい」のかを読むことが重要です。
SG試験との違い
このテーマは、情報セキュリティマネジメント試験でもよく出ます。
FEとSGでは、問われ方が少し違います。
| 試験 | 見られやすいポイント |
|---|---|
| FE | 技術名と機能の対応を切る |
| SG | 業務上のリスクに対して、妥当な管理策を選ぶ |
| 共通 | 脅威と対策の目的が合っているかを見る |
FEでは、CRC、ディジタル署名、RAID、暗号化などの技術名が選択肢に出やすいです。
SGでは、誤操作、災害、委託先、情報漏えい、インシデント対応など、業務場面の中で対策を選ぶことが多くなります。
ただし、基本は同じです。
何が問題で、何を守るための対策か を見ることが大切です。
よくある誤解・混同
脅威とセキュリティ対策では、次の混同がよく起こります。
| 混同 | 正しい切り分け |
|---|---|
| RAIDがあれば誤削除も戻せる | RAIDは故障対策。誤削除にはバックアップ |
| 同じPC内にコピーすれば災害対策になる | 災害対策には別媒体・別拠点が必要 |
| CRCで不正アクセスを防げる | CRCは誤り検出。不正アクセス対策ではない |
| 暗号化で改ざんも完全に防げる | 暗号化は主に秘匿。改ざん確認には署名やMAC |
| ディジタル署名は内容を秘密にする | 署名は正当性・改ざん確認。秘匿は暗号化 |
| IDSが攻撃を止める | IDSは検知が中心。遮断はIPS |
| WAFはすべての通信を守る | WAFは主にWebアプリケーションを守る |
特に、暗号化とディジタル署名 は混同しやすいです。
- 暗号化:内容を読めないようにする
- ディジタル署名:送信者の正当性と改ざんの有無を確認する
また、RAIDとバックアップ も混同しやすいです。
- RAID:ディスク故障に備える
- バックアップ:削除・破損・ランサムウェア被害などから復旧する
試験では、対策名が有名かどうかではなく、脅威に合っているかを見ます。
さらに注意したいひっかけ
脅威とセキュリティ対策では、次のようなひっかけにも注意します。
| ひっかけ表現 | なぜ注意する? |
|---|---|
| 誤操作による論理的破壊にディスクアレイ | ディスクアレイは主に物理故障対策 |
| 地震・火災に同じコンピュータ内の二重化 | 同じ場所・同じ機器が壊れると意味が薄い |
| 不正アクセス対策にCRC | CRCは誤り検出であり認証やアクセス制御ではない |
| 改ざん対策に暗号化だけ | 改ざん確認には署名・ハッシュ・MACが重要 |
| 盗聴対策にディジタル署名だけ | 盗聴対策には暗号化が必要 |
| Webアプリ攻撃に通常のファイアウォールだけ | Webアプリ層の攻撃にはWAFが出やすい |
| 検知と遮断を同じものとして扱う | IDSは検知、IPSは遮断まで行う |
FE試験では、選択肢にそれらしい技術名が出てきても、すぐに選ばないようにします。
まず、問題文の脅威を確認します。
次に、その対策が何を目的としているかを確認します。
最後に、脅威と対策の目的が一致しているかを見ます。
この順で読むと、ひっかけ選択肢を切りやすくなります。
まとめ(試験直前用)
- 脅威と対策は、目的が合っているかで判断する
- 誤操作・削除にはバックアップ
- ディスク故障にはRAIDやディスクアレイ
- 地震・火災には遠隔地バックアップや別拠点での冗長化
- 盗聴には暗号化
- 改ざんにはディジタル署名、ハッシュ、MAC
- CRCは誤り検出であり、不正アクセス対策ではない
- FEもSGも、何を守りたいのかを先に読む