最終更新日:2026年7月31日
fe fe-technology system-architecture virtualization cloud
まず結論
ライブマイグレーションとは、稼働中の仮想サーバを、OSやアプリケーションを停止させずに別の物理サーバへ移す技術です。
FE試験では、次の表現を見つけたらライブマイグレーションを疑います。
稼働中の仮想サーバ
+
停止せず別の物理サーバへ移動
今回のような選択肢は、次のように切り分けます。
| 説明 | 用語 |
|---|---|
| 稼働したまま仮想サーバを移す | ライブマイグレーション |
| 利用頻度に応じてデータの保存先を変える | ストレージ自動階層化 |
| 共有しながら利用者ごとにデータを分離する | マルチテナント |
| 必要に応じてCPUやメモリを割り当てる | リソースオンデマンド |
直感的な説明
物理サーバを、実際に存在する1台の建物だと考えます。
その建物の中に、壁で区切った複数の部屋を作るように、1台の物理サーバの中へ複数の仮想サーバを作れます。
物理サーバA
├ 仮想サーバ1
├ 仮想サーバ2
└ 仮想サーバ3
それぞれの仮想サーバは、別々のOSやアプリケーションを動かせます。
ライブマイグレーションは、仮想サーバを利用中のまま、物理サーバAから物理サーバBへ引っ越すイメージです。
物理サーバA
└ 仮想サーバ(稼働中)
↓ 停止せず移動
物理サーバB
└ 仮想サーバ(稼働を継続)
英語では、次の意味です。
- live:稼働中のまま
- migration:移動・移行
つまり、止めずに移すことが中心です。
定義・仕組み
物理サーバと仮想サーバ
物理サーバは、CPU、メモリ、ストレージなどを備えた実際のコンピュータです。
仮想サーバは、その物理サーバ上にソフトウェアで作られた論理的なサーバ環境です。
物理サーバ
├ 仮想サーバA
│ └ OS・アプリケーション
├ 仮想サーバB
│ └ OS・アプリケーション
└ 仮想サーバC
└ OS・アプリケーション
仮想サーバは、利用者から見ると独立した1台のサーバのように動きます。
ハイパーバイザ
複数の仮想サーバを物理サーバ上で動かすために、ハイパーバイザと呼ばれる仕組みを使います。
ハイパーバイザは、物理サーバのCPUやメモリなどを、それぞれの仮想サーバへ割り当てます。
仮想サーバA ┐
仮想サーバB ├ ハイパーバイザ
仮想サーバC ┘
↓
CPU・メモリ・ストレージ
FE試験では、ハイパーバイザは「物理資源を複数の仮想マシンへ割り当てるもの」と押さえれば十分です。
ライブマイグレーションの流れ
ライブマイグレーションでは、仮想サーバの実行状態を別の物理サーバへ移します。
移動対象には、主に次のような情報があります。
- メモリ上のデータ
- CPUの実行状態
- 仮想サーバの設定
- ネットワーク接続の状態
概念的には次の流れです。
1. 移動先の物理サーバを準備する
2. 仮想サーバのメモリ内容などをコピーする
3. 差分を繰り返し同期する
4. 最後の切替えを短時間で行う
5. 移動先で処理を継続する
「停止しない」と表現されますが、実際には切替え時にごく短い停止が発生する場合があります。FE試験では、利用者から見てほぼ停止せず移動すると理解すれば十分です。
共有ストレージとの関係
従来型のライブマイグレーションでは、複数の物理サーバから同じ仮想ディスクへアクセスできる共有ストレージを使う構成があります。
物理サーバA ─┐
├ 共有ストレージ
物理サーバB ─┘
この場合、仮想サーバの実行場所だけを物理サーバAからBへ移し、仮想ディスクは同じものを利用できます。
ただし、製品や構成によってはストレージ自体も移動できます。FE試験では、まず「仮想サーバを停止せず別の物理サーバへ移す」と押さえます。
仮想サーバ運用サービスとIaaSの関係
仮想サーバ運用サービスは、IaaSとかなり近いイメージです。
IaaSは、仮想サーバ、ストレージ、ネットワークなどのIT基盤をサービスとして利用する形態です。
利用者
↓ 必要なCPU・メモリなどを指定
IaaS事業者
↓
仮想サーバを提供
ただし、用語の範囲は少し違います。
| 用語 | 何を表すか |
|---|---|
| 仮想サーバ運用 | 仮想サーバを作成・配置・移動・監視する運用の仕組み |
| IaaS | 仮想サーバなどのIT基盤をサービスとして提供する形態 |
つまり、
仮想サーバ運用技術
→ IaaSを支える技術として使われる
という関係です。
IaaSではライブマイグレーションが使われることがありますが、ライブマイグレーションは社内の仮想化基盤でも使えます。そのため、仮想サーバ運用=必ずIaaSではありません。
SaaS・PaaS・IaaSの違いは、SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いで整理しています。
科目Aでどう出る?
ライブマイグレーションを選ぶ目印
次の言葉があれば、ライブマイグレーションを疑います。
- 仮想マシン・仮想サーバ
- 稼働中のまま
- OSやアプリケーションを停止しない
- 別の物理サーバへ移す
- 保守のために退避する
4つの選択肢を切る
仮想サーバを動かす
→ ライブマイグレーション
データを適切な保存先へ動かす
→ ストレージ自動階層化
利用者ごとに分ける
→ マルチテナント
CPU・メモリなどを増減する
→ リソースオンデマンド
ストレージ自動階層化
ストレージ自動階層化は、利用頻度などに応じてデータの保存先を自動的に変更する技術です。
よく使うデータ
→ 高速なストレージ
あまり使わないデータ
→ 低速で安価なストレージ
「データ」「利用頻度」「適したストレージへ自動配置」が判断キーワードです。
マルチテナント
マルチテナントは、1つのシステムを複数の利用者で共有しながら、利用者ごとのデータや設定を分離する考え方です。
1つのサービス
├ 利用者Aのデータ
├ 利用者Bのデータ
└ 利用者Cのデータ
「複数利用者で共有」「利用者ごとに分離」が判断キーワードです。
リソースオンデマンド
リソースオンデマンドは、必要に応じてCPU、メモリ、ストレージなどを割り当て、不要になれば回収する考え方です。
必要になる
→ リソースを割り当てる
不要になる
→ 回収して別の利用者へ回す
「必要に応じて」「動的に割り当て」「不要なら回収」が判断キーワードです。
どんな場面で使う?
物理サーバを保守するとき
物理サーバの点検や部品交換を行う場合、その上で動く仮想サーバを別の物理サーバへ移します。
保守対象の物理サーバ
↓ 仮想サーバを退避
別の物理サーバ
↓
保守を実施
サービス停止時間を短くできるのが利点です。
負荷を分散するとき
1台の物理サーバへ負荷が集中した場合、仮想サーバを別の物理サーバへ移して負荷を分散します。
障害の予兆があるとき
物理サーバに異常の兆候がある場合、完全に故障する前に仮想サーバを別の物理サーバへ退避することがあります。
物理サーバを集約するとき
夜間など利用が少ない時間帯に仮想サーバを少数の物理サーバへ集め、空いた物理サーバを停止して消費電力を抑えることもあります。
よくある誤解・混同
❌ 仮想サーバは物理サーバと同じもの
仮想サーバは、物理サーバ上に作られた論理的なサーバ環境です。
物理サーバ
→ 実際の機械
仮想サーバ
→ 物理サーバ上に作る論理的なサーバ
❌ ライブマイグレーションはバックアップである
バックアップは、障害時に復旧するためのコピーを保存するものです。
ライブマイグレーションは、仮想サーバの稼働場所を変更するものです。
バックアップ
→ 復旧用コピーを保存
ライブマイグレーション
→ 稼働場所を移動
❌ ライブマイグレーションはフェイルオーバと同じ
フェイルオーバは、障害発生時に待機系へ処理を切り替える仕組みです。
ライブマイグレーションは、保守や負荷分散などのために、稼働中の仮想サーバを計画的に移す場面でも使います。
計画的に仮想サーバを移す
→ ライブマイグレーション
障害時に待機系へ切り替える
→ フェイルオーバ
❌ IaaSとライブマイグレーションは同じ
IaaSは、仮想サーバなどのIT基盤を提供するサービス形態です。
ライブマイグレーションは、仮想サーバを移動する技術です。
IaaS
→ サービスの提供形態
ライブマイグレーション
→ 仮想化基盤の運用技術
❌ 仮想サーバ運用はすべてクラウドである
仮想サーバは、社内に設置した物理サーバ上でも運用できます。
自社設備で仮想サーバを運用
→ オンプレミスの仮想化基盤
事業者から仮想サーバを借りる
→ IaaSの一例
確認問題(FE試験対策)
仮想サーバの運用サービスで使用するライブマイグレーションの説明として、最も適切なものはどれか。
- ア. 稼働中の仮想サーバを停止せず、別の物理サーバへ移す。
- イ. 利用頻度に応じて、データを適切なストレージへ自動配置する。
- ウ. 1つのシステムを複数利用者で共有し、利用者ごとにデータを分離する。
- エ. 利用者の要求に応じて、CPUやメモリなどを動的に割り当てる。
▶ クリックして答えと解説を見る(ここを開く)
正解:ア
解説
- ア:正解です。稼働中の仮想サーバを停止せず、別の物理サーバへ移すのがライブマイグレーションです。
- イ:ストレージ自動階層化の説明です。
- ウ:マルチテナントの説明です。
- エ:リソースオンデマンドの説明です。
👉 判断ポイント
止めずに仮想サーバを移す → ライブマイグレーション と考えます。
まとめ(試験直前用)
- ライブマイグレーションは、稼働中の仮想サーバを停止せず別の物理サーバへ移す技術
- 仮想サーバは、物理サーバ上に作られた論理的なサーバ環境
- ストレージ自動階層化はデータの保存先、マルチテナントは利用者の分離、リソースオンデマンドは資源の増減
- 仮想サーバ運用サービスはIaaSと近いが、仮想サーバ運用=必ずIaaSではない
- IaaSはサービス形態、ライブマイグレーションは仮想化基盤の運用技術