最終更新日:2026年7月17日
fe fe-technology system-architecture reliability
まず結論
フォールトトレラントシステムとは、システムの一部に故障が発生しても、システム全体として必要な機能を維持する仕組みです。
基本情報技術者試験では、次の表現が判断の合図になります。
一部が故障しても
必要な機能を維持する
→ フォールトトレラント
大切なのは、故障そのものを完全に防ぐことではありません。
故障は起こり得る
↓
予備系や別の構成要素へ切り替える
↓
サービス全体を止めない
直感的な説明
フォールトトレラントは、車のタイヤが1本損傷しても、すぐに完全停止しないような考え方です。
システムでは、同じ役割を持つ装置や経路を複数用意しておきます。
通常系が故障
↓
待機系へ切替え
↓
必要な処理を継続
例えば、サーバを2台用意している場合を考えます。
サーバA:稼働中
サーバB:待機中
サーバAが故障したときに、サーバBへ自動的に切り替われば、利用者はサービスを使い続けられます。
このように、一部の故障をシステム全体の停止へ広げないことがポイントです。
定義・仕組み
フォールトトレラントは、英語では fault tolerant と表します。
fault
→ 故障
tolerant
→ 耐えられる
つまり、故障が発生しても耐えられる設計です。
代表的な実現方法には、次のようなものがあります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| サーバの冗長化 | 同じ役割のサーバを複数用意する |
| RAID | 複数のディスクを組み合わせて故障に備える |
| 電源の二重化 | 電源装置の一方が故障しても運転を続ける |
| 通信経路の多重化 | 一方の経路が使えなくても別経路へ切り替える |
| 待機系への切替え | 稼働系の故障時に予備系を動かす |
ここで、冗長化は手段、フォールトトレラントは目的・考え方として切り分けます。
冗長化
→ 同じ役割の機器や経路を複数用意する方法
フォールトトレラント
→ 故障しても必要機能を維持する設計思想
科目Aでどう出る?
科目Aでは、フォールトトレラントの説明を、似た仕組みの中から選ぶ問題として出やすいです。
判断するときは、選択肢が何をしているかを確認します。
| 選択肢の内容 | 該当する考え方 |
|---|---|
| 一部が故障しても必要機能を維持する | フォールトトレラント |
| 機能や性能を落として運転を続ける | フェールソフト |
| 故障時に安全な状態へ移行する | フェールセーフ |
| 利用者が誤操作しにくい設計にする | フールプルーフ |
| 遠隔地に予備設備を用意する | バックアップサイト・災害対策 |
| 同じ処理を並行実行して結果を照合する | デュアルシステム |
特に、次の一文を覚えておくと切りやすいです。
一部が故障しても全体を動かすなら、フォールトトレラント。
どんな場面で使う?
フォールトトレラントは、停止すると影響が大きいシステムで使われます。
例えば、次のような場面です。
- 金融機関のオンラインシステム
- 交通や電力などの社会インフラ
- 工場の制御システム
- ECサイトやクラウドサービス
- 医療機器や監視システム
これらのシステムでは、一つの機器の故障だけで全体が停止すると、大きな損失や安全上の問題につながります。
そのため、
故障を検知する
↓
故障箇所を切り離す
↓
予備系へ切り替える
↓
必要な機能を継続する
という設計が使われます。
よくある誤解・混同
フォールトトレラントとフェールソフト
どちらも、故障後も動作を続ける考え方です。
ただし、機能の維持方法が異なります。
フォールトトレラント
→ 必要な機能を維持して継続
フェールソフト
→ 性能や機能を落として継続
例えば、一部のサーバが故障しても通常どおり処理できるなら、フォールトトレラントです。
一方、重要度の低い機能を停止し、必要最小限のサービスだけ続けるならフェールソフトです。
フォールトトレラントとフェールセーフ
この2つは、故障後の優先事項が違います。
フォールトトレラント
→ 動作継続を優先
フェールセーフ
→ 安全確保を優先
踏切や信号設備で故障が起きたとき、安全側へ移行して停止させる考え方はフェールセーフです。
フォールトトレラントとフールプルーフ
フォールトトレラント
→ 機器やシステムの故障に備える
フールプルーフ
→ 人の誤操作に備える
電子レンジの扉が開いていると動かない仕組みは、フールプルーフの例です。
バックアップサイトとの違い
遠隔地に予備設備を用意して災害時に切り替える仕組みは、ホットサイトやコールドサイトなどのバックアップサイトです。
機器の部分故障に備える
→ フォールトトレラント
地域的な災害や拠点喪失に備える
→ バックアップサイト
デュアルシステムとの違い
デュアルシステムは、複数のコンピュータで同じ処理を並行して行い、結果を照合する方式です。
デュアルシステムはフォールトトレラントを実現する具体的な方法の一つになり得ますが、両者は同じ意味ではありません。
広い考え方
→ フォールトトレラント
具体的な実現方式
→ デュアルシステム
まとめ(試験直前用)
- 一部が故障しても必要な機能を維持するのがフォールトトレラント
- 冗長化は実現手段、フォールトトレラントは設計思想
- 機能を落として継続するのはフェールソフト
- 安全な状態へ移行するのはフェールセーフ
- 人の誤操作を防ぐのはフールプルーフ
- 遠隔地の予備設備はバックアップサイト
試験直前には、次の一文で整理します。
動かし続けるならフォールトトレラント、安全に止めるならフェールセーフ。