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最終更新日:2026年7月16日

まず結論

バックアップでは、作成時間・復旧時間・保存先・データの整合性を分けて考えることが大切です。

基本情報技術者試験では、次のように判断します。

観点 判断
復旧を簡単にしたい フルバックアップが有利
毎回のバックアップ量を減らしたい 差分・増分が有利
バックアップ中の更新を避けたい 業務処理と時間をずらす
媒体障害にも備えたい 別媒体・別装置・別拠点へ保存
ランダムアクセスしたい 磁気テープは不向き

特に、差分バックアップは復旧時間を最短にするための方式ではない点に注意します。

直感的な説明

ノートを毎日保存する場面を考えます。

フルバックアップ

毎回、ノート全体をコピーします。

月曜日:全ページをコピー
火曜日:全ページをコピー
水曜日:全ページをコピー

作成には時間がかかりますが、復旧するときは最新のコピーだけを使えばよいので簡単です。

差分バックアップ

最初のフルバックアップ以降に変更された部分を、毎回まとめて保存します。

月曜日:フル
火曜日:月曜以降の変更
水曜日:月曜以降の変更

復旧には、フルバックアップと最新の差分バックアップを使います。

増分バックアップ

前回のバックアップ以降に変更された部分だけを保存します。

月曜日:フル
火曜日:月曜以降の変更
水曜日:火曜以降の変更

毎回の保存量は少なくできますが、復旧には複数のバックアップが必要です。

定義・仕組み

3方式の違い

方式 保存する内容 バックアップ時間 復旧時に必要なもの
フル 対象データのすべて 長い 最新のフル
差分 最後のフル以降の変更 中程度 フル+最新差分
増分 前回バックアップ以降の変更 短い フル+すべての増分

一般に、次の関係になります。

バックアップ作成の速さ
増分 > 差分 > フル

復旧の簡単さ
フル > 差分 > 増分

差分と増分の違い

混同しやすいポイントです。

差分
→ 最後のフルバックアップからの変更

増分
→ 前回バックアップからの変更

例えば、月曜日にフルバックアップを取り、火曜日と水曜日に変更があった場合を考えます。

差分バックアップ 増分バックアップ
火曜日 月曜以降の変更 月曜以降の変更
水曜日 月曜以降の変更をすべて 火曜以降の変更だけ

バックアップ中の整合性

バックアップ中に業務データが更新されると、取得時点がずれることがあります。

売上データを保存
↓
途中で在庫データだけ更新
↓
売上と在庫の時点が合わない

このような不整合を避けるには、次のような方法があります。

  • 業務処理とバックアップ処理の時間をずらす
  • 更新を一時停止して取得する
  • スナップショットを利用する
  • DBMSのバックアップ機能を利用する

保存先も重要

元データとバックアップを同じ記憶媒体に置くと、その媒体が故障したときに両方を失います。

同じディスクに保存
→ ディスク故障で元データもバックアップも失う

そのため、別媒体・別装置・別拠点などへ分けて保存します。

実務では、次の考え方がよく使われます。

3つのコピーを持つ
2種類以上の媒体を使う
1つは別の場所に置く

これは「3-2-1ルール」と呼ばれる考え方です。

磁気テープの特徴

磁気テープは、大容量データを低コストで長期保存する用途に向いています。

ただし、目的の位置へすぐ移動するランダムアクセスには向きません。

長期保管・大容量
→ 磁気テープが有利

高速なランダムアクセス
→ HDD・SSDが有利

このテーマは、基本情報技術者試験の「コンピュータシステム」「システム構成」「運用管理」と関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。

科目Aでどう出る?

科目Aでは、バックアップ方式の特徴と運用上の注意点を組み合わせて問われます。

判断手順

1. 何を短くしたいのか確認する
2. 作成時間か復旧時間かを分ける
3. 保存先が同じ媒体になっていないか確認する
4. バックアップ中の更新による不整合を確認する
5. 媒体のアクセス方式を確認する

よく出る組合せ

問題文の表現 判断
復旧を最も簡単にする フルバックアップ
毎回の保存量を最小にする 増分バックアップ
フル以降の変更をまとめる 差分バックアップ
バックアップ中の更新を避ける 業務処理と時間をずらす
ランダムアクセスを行う 磁気テープは不適切
同じ装置内へ保存する 装置故障への備えにならない

どんな場面で使う?

バックアップは、次のような障害や事故からデータを復旧するために使います。

  • ストレージ故障
  • 誤操作による削除
  • アプリケーション障害
  • ランサムウェアなどによる破壊
  • 災害や停電
  • データベースの論理障害

例えば、製造設備の点検履歴を保存する場合、日々の更新量が少なければ増分バックアップで保存時間を抑え、定期的にフルバックアップを取る運用が考えられます。

ただし、バックアップが存在するだけでは十分ではありません。

バックアップを取得する
+
復旧できるか確認する

定期的な復旧テストも重要です。

よくある誤解・混同

誤解1:差分バックアップは復旧が最も速い

差分バックアップは、フルバックアップより作成量を減らせます。

しかし、復旧にはフルバックアップと最新差分の両方が必要です。

復旧を最も単純にしやすいのは、最新のフルバックアップです。

誤解2:差分と増分は同じ

違いは、どこを基準に変更分を取るかです。

差分
→ 最後のフルから

増分
→ 前回のバックアップから

誤解3:バックアップ処理が成功すれば整合性も保証される

ファイルを保存できても、バックアップ中に更新が入れば、データ同士の時点がずれることがあります。

そのため、業務処理との重なりや、DBMSの整合性確保を考える必要があります。

誤解4:同じディスク内にコピーすれば十分

同じディスクが故障すると、元データとコピーを同時に失います。

別の媒体や装置へ保存して初めて、媒体故障への備えになります。

誤解5:磁気テープはランダムアクセスに向く

磁気テープは順番に読み書きするシーケンシャルアクセスが基本です。

長期保管には向きますが、ランダムアクセスには向きません。

誤解6:バックアップがあれば必ず復旧できる

バックアップファイルが壊れていたり、復旧手順が確認されていなかったりすると、必要なときに復旧できないことがあります。

定期的に復旧テストを行うことが重要です。

確認問題(基本情報技術者試験対策)

フルバックアップを日曜日に行い、月曜日から水曜日までは増分バックアップを行った。水曜日終了時点の状態へ復旧するために必要なバックアップとして、最も適切なものはどれか。

  • ア. 水曜日の増分バックアップだけ
  • イ. 日曜日のフルバックアップと水曜日の増分バックアップ
  • ウ. 日曜日のフルバックアップと、月曜日から水曜日までのすべての増分バックアップ
  • エ. 月曜日から水曜日までの増分バックアップだけ
▶ クリックして答えと解説を見る(ここを開く)

正解:ウ

増分バックアップは、前回のバックアップ以降に変更されたデータだけを保存します。

そのため、水曜日終了時点まで復旧するには、日曜日のフルバックアップを戻した後、月曜日、火曜日、水曜日の増分バックアップを順番に適用します。

まとめ(試験直前用)

  • フルは作成に時間がかかるが、復旧は簡単
  • 差分は最後のフル以降の変更を保存する
  • 増分は前回バックアップ以降の変更を保存する
  • バックアップ中の更新は、データ不整合の原因になる
  • 元データと同じ媒体への保存は、媒体故障への備えにならない
  • 磁気テープは長期保管向けで、ランダムアクセスには不向き
  • バックアップは取得だけでなく、復旧テストまで行う

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