最終更新日:2026年8月20日
fe fe-technology basic-theory probability
まず結論
マルコフ過程とは、次の状態が現在の状態によって決まり、それより前の過去には直接依存しないと考える確率過程です。
基本情報技術者試験では、状態遷移表から数ステップ後の確率を求める問題で使われます。
まずは次の2つを押さえます。
1本の経路をたどる確率
→ 掛け算
同じ到達先に至る複数の経路
→ 足し算
覚える一文はこれです。
経路の中は掛ける。経路どうしは足す。
直感的な説明
天気が「晴れ・曇り・雨」の3状態を行き来すると考えます。
例えば、今日が雨なら、明日の天気は次のような確率で決まるとします。
雨 → 晴れ 30%
雨 → 曇り 50%
雨 → 雨 20%
このとき、2日後が晴れになる経路は1つではありません。
雨 → 晴れ → 晴れ
雨 → 曇り → 晴れ
雨 → 雨 → 晴れ
それぞれの経路の確率を掛け算で求め、最後に足し合わせます。
これが、マルコフ過程の確率計算で基本になる考え方です。
定義・仕組み
マルコフ過程では、現在の状態から次の状態へ移る確率を遷移確率といいます。
例えば、状態Aから状態Bへ移る確率が0.4なら、
A → B
確率 0.4
と考えます。
マルコフ性
重要な特徴は、次の状態を決めるときに現在の状態だけを見ることです。
過去の状態を全部さかのぼる
→ しない
現在の状態を見る
→ 次の状態の確率を決める
この性質をマルコフ性といいます。
状態遷移表
状態遷移表では、一般に
- 行:現在の状態
- 列:次の状態
として読むことが多いです。
ただし、問題ごとに表の向きは必ず確認します。
また、1つの状態から次の各状態へ進む確率の合計は、通常1になります。
0.3 + 0.5 + 0.2 = 1.0
これを使うと、表の読み間違いにも気付きやすくなります。
このテーマは、基本情報技術者試験の基礎理論や確率に関係します。公式の出題範囲やシラバスは、IPA:基本情報技術者試験から確認できます。
科目Aでどう出る?
科目Aでは、状態遷移表を使って「2回後」「3回後」の状態確率を求める問題が出ます。
1本の経路は掛ける
例えば、
A → B の確率 = 0.5
B → C の確率 = 0.4
なら、
A → B → C
という1本の経路の確率は、
0.5 × 0.4 = 0.20
です。
複数の経路は足す
2回後にCへ到達する経路が複数あるなら、それぞれを求めて足します。
A → A → C
A → B → C
A → C → C
なら、
各経路の確率を求める
↓
すべて足す
↓
2回後にCである確率
となります。
判断手順
試験では、次の順番で考えると安全です。
- 初期状態を確認する
- 何回遷移するのか確認する
- 目的の状態へ届く経路を列挙する
- 各経路内の確率を掛ける
- 複数経路の確率を足す
どんな場面で使う?
マルコフ過程は、状態が確率的に変化する現象を表すときに使われます。
例えば、次のような場面があります。
- 天気の状態変化
- 機械の正常・劣化・故障状態
- 顧客の行動状態
- 在庫や需要の状態変化
- 通信やシステムの状態遷移
FE試験では、実務分野の細かい応用よりも、遷移確率表を正しく読んで計算できることが重要です。
よくある誤解・混同
❌ 2日後の確率だから、確率を全部足す
誤りです。
同じ1本の経路の中では、順番に起こる事象なので掛け算します。
A → B → C
→ 掛け算
複数の別経路をまとめるときに足し算します。
A → B → C
A → D → C
→ それぞれ求めて足す
❌ 過去の状態をすべて使って次を決める
マルコフ過程では、基本的に次の状態は現在の状態に依存すると考えます。
❌ 行と列は必ず決まっている
問題によって表の見せ方が異なることがあります。
見出しを確認して、現在の状態から次の状態へ読めているかを確かめます。
❌ 目的の状態へ行く経路を1本だけ選ぶ
複数の経路があるなら、すべて考える必要があります。
特に「2回後にAである確率」のような問題では、途中状態ごとに経路を分けると漏れにくくなります。
まとめ(試験直前用)
- マルコフ過程は、次の状態が現在の状態に依存する確率過程
- 状態から状態へ移る確率を遷移確率という
- 状態遷移表は、行と列の意味を最初に確認する
- 1本の経路は掛け算
- 同じ到達先への複数経路は足し算
- 数ステップ後の確率は、到達経路を列挙すると解きやすい
- 各行の遷移確率の合計が1になるかも確認する
マルコフ過程は「現在を見る」。計算は「経路内で掛ける、経路どうしで足す」。