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最終更新日:2026年10月1日

まず結論

労働者派遣では、雇用主である派遣元と、現場で指揮命令する派遣先が責任を分担します。

特に、36協定の締結・届出は派遣元、日々の労働時間・休憩・休日の管理は派遣先と切り分けます。「残業に関することは全部同じ会社の責任」と考えないのがポイントです。

このページは、派遣における具体的な責任分担を扱います。契約形態の比較は、派遣・出向・請負の違いで確認できます。

直感的な説明

派遣会社A社に雇用された人が、受入企業B社でシステム運用を担当する場面を考えます。

立場 この例での役割
派遣元A社 雇用契約を結び、給与を支払う会社
派遣先B社 日々の仕事を指示し、実際に働く職場を管理する会社
派遣労働者 A社に雇用され、B社の指示を受けて働く人

B社が法定時間外の残業を指示する場合も、必要な36協定はA社側で締結・届出します。B社はその協定と派遣契約の範囲を確認し、実際の勤務を管理します。

「残業のための枠組みを整える会社」と「現場で残業を指示する会社」が分かれるとイメージすると整理しやすくなります。

定義・仕組み

主な責任の対応表

見るポイントは、雇用主の手続・支払なのか、現場での指示・管理なのかです。

内容 主に担う側 判断の手掛かり
雇用契約・労働条件の明示 派遣元 労働者を雇っている
賃金・割増賃金の支払 派遣元 雇用主として支払う
36協定の締結・届出 派遣元 法定時間外・休日労働の枠組みを整える
年次有給休暇の付与 派遣元 雇用主として休暇を与える
業務指示・業務の遂行状況の管理 派遣先 実際の仕事を指揮命令する
現場の労働時間・休憩・法定休日の管理 派遣先 実際の働かせ方を管理する
日々の業務に必要な就業環境の整備 派遣先 受入れ先の職場を整える

これは基本的な分担です。派遣先は実際の勤務時間を派遣元へ伝え、派遣元も賃金計算などのために把握する必要があります。担当が分かれることと、相手側が関与しなくてよいことは別です。

安全衛生の責任も、事項によって派遣元・派遣先に分かれます。「職場環境が派遣先だから、安全衛生はすべて派遣先」と広げて覚えないようにします。

責任区分と両者の連携は、厚生労働省:派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保についてで確認できます。

36協定は、会社同士の派遣契約とは別

36協定(サブロク協定)は、法定時間外労働・法定休日労働を行わせるための労使協定です。派遣では、派遣元の事業場で労働者側と締結し、労働基準監督署長に届け出ます。

派遣元と派遣先の会社同士が結ぶ「労働者派遣契約」とは異なります。

確認すること 判断
派遣契約に残業できる旨が書かれている それだけで36協定の締結・届出に代わるわけではない
派遣先自身の社員について36協定がある それだけで派遣労働者の残業を認める根拠にはならない
派遣元の36協定が締結・届出されている 派遣先も協定・契約・法令の範囲を守る必要がある

締結・届出と派遣先の働かせ方の関係は、厚生労働省:派遣相談事例「36協定締結は派遣元だが…」でも説明されています。

科目Aでどう出る?

責任の主体を問われたら、「派遣元」「派遣先」の語だけで選ばず、何をする責任かを確認します。

  1. 締結・届出・支払・有給休暇の付与かを確認する。
  2. 日々の業務指示・現場の時間管理・休憩の確保かを確認する。
  3. 残業なら、手続と実際の働かせ方を分ける。

例えば、「派遣先での時間外労働に関する法令上の届出」とあっても、届出を行う主体は派遣元です。「派遣先での」は働く場所を示す言葉で、届出する会社を示しているわけではありません。

一方、派遣先で休憩を実際に取らせる管理や、指示した業務の進み具合を確認する管理は、現場で指揮命令する派遣先と判断します。

どんな場面で使う?

システム運用の担当者に、障害対応のため残業を依頼する場面では、次のように役割を分けます。

段階 担当と確認内容
残業を指示する前 派遣元が必要な36協定を締結・届出し、派遣先が協定・契約の範囲を確認する
実際の勤務 派遣先が業務を指示し、勤務時間や休憩を管理する
勤務後 派遣先が実際の勤務時間を派遣元へ伝え、派遣元が割増賃金を計算・支払する

派遣元の手続が済んでいても、派遣先が無制限に残業を命じてよいわけではありません。両者がそれぞれの役割を果たして初めて、適切な勤務管理につながります。

よくある誤解・混同

雇用主が派遣元なので、現場の管理もすべて派遣元

日々の指揮命令や、現場の労働時間・休憩・休日の管理は派遣先が担います。

ただし、派遣元にも勤務時間を把握し、派遣先と連携する役割があります。「すべて」「一切関与しない」といった極端な表現に注意します。

休日の管理も、有給休暇の付与も同じ担当

法定休日と年次有給休暇は別です。

用語 意味 派遣での基本的な分担
法定休日 法律上、確保しなければならない休日 派遣先が現場の働かせ方を管理する
年次有給休暇 法定の要件を満たす労働者に与えられる有給の休暇 派遣元が付与し、申請を受ける

年次有給休暇の取得時は、派遣元と派遣先で業務量などを調整します。派遣先の都合だけで取得を妨げてよいわけではありません。

付与と申請先は、東京労働局:派遣社員として働いている方への質問集(Q5)、取得時の調整は、厚生労働省:派遣労働者と在籍出向者の年次有給休暇で確認できます。

36協定は派遣元と派遣先が結ぶ

36協定は労使協定です。派遣元と派遣先が結ぶ会社同士の派遣契約と混同しないようにします。

また、派遣元が36協定を届け出ても、派遣先がその限度や法令を守る責任は残ります。

まとめ(試験直前用)

  • 派遣元:雇用、36協定の締結・届出、賃金・割増賃金の支払。
  • 派遣先:業務指示、現場の労働時間・休憩・法定休日の管理。
  • 残業:手続は派遣元、現場の指示・管理は派遣先。
  • 年次有給休暇:派遣元が付与し、派遣先と取得時の調整を行う。
  • 「どこで働くか」だけでなく、何をする責任かで判断する。

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