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電子計算機損壊等業務妨害
まず結論
電子計算機損壊等業務妨害とは、業務に使われているコンピュータや業務用データを壊したり、不正な指令や虚偽の情報を与えたりして、コンピュータを正常に動かなくさせ、業務を妨害する行為です。
SG試験では、細かい条文暗記よりも、次のように判断できれば十分です。
Webサイトを改ざんした、業務システムに不正な指令を与えた、業務用データを壊して仕事を止めた
→ 電子計算機損壊等業務妨害
ポイントは、単なる不正アクセスではなく、コンピュータやデータに不正な影響を与えて、業務を妨害していることです。
直感的な説明
電子計算機損壊等業務妨害は、ざっくりいうと、
会社や組織のコンピュータをおかしくして、仕事を止める行為
です。
たとえば、会社のWebサイトを勝手に改ざんした場合を考えます。
Webサイトは企業の広報、販売、問い合わせ対応などに使われる業務用のシステムです。そこに不正にアクセスし、表示内容を書き換えると、企業は通常どおりWebサイトを運用できなくなります。
このように、コンピュータやデータに手を加えて、業務に支障を出す場合に問題となるのが電子計算機損壊等業務妨害です。
定義・仕組み
電子計算機損壊等業務妨害は、刑法234条の2に定められている犯罪です。
条文上は、主に次のような行為が対象になります。
| 行為 | 例 |
|---|---|
| 業務用コンピュータを損壊する | サーバや端末を破壊する |
| 業務用の電磁的記録を損壊する | 業務データや設定ファイルを削除・破壊する |
| 虚偽の情報を与える | 誤ったデータを入力してシステムを誤動作させる |
| 不正な指令を与える | マルウェアや不正なコマンドで異常動作させる |
| その他の方法で正常動作を妨げる | システムを使用目的どおり動かなくする |
刑法234条の2では、これらの方法によって、コンピュータに使用目的に沿うべき動作をさせない、または使用目的に反する動作をさせることで、人の業務を妨害した場合が対象になります。
罰則は、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。また、未遂も処罰対象です。
公式条文を確認したい場合は、e-Gov法令検索の刑法234条の2を参照すると確認できます。
- 参考:e-Gov法令検索「刑法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
どんな場面で使う?
SG試験では、次のような選択肢で登場しやすいです。
Webサイトを改ざんした場合
企業が運営するWebサイトに不正にアクセスし、ページを書き換えた場合です。
この場合、Webサイトという業務用の電子計算機・電磁的記録に不正な変更を加え、業務を妨害しているため、電子計算機損壊等業務妨害に該当します。
業務システムに不正な指令を与えた場合
業務用サーバに不正なコマンドを実行させたり、マルウェアを動作させたりして、システムを正常に使えなくした場合です。
この場合も、コンピュータに使用目的に反する動作をさせているため、電子計算機損壊等業務妨害が問題になります。
業務用データを壊した場合
会社の業務データ、顧客データ、販売データ、設定ファイルなどを削除・破壊し、業務ができない状態にした場合です。
単に情報を見ただけではなく、データを壊して業務を妨害した点が重要です。
よくある誤解・混同
不正アクセス禁止法との違い
不正アクセス禁止法は、ID・パスワードなどのアクセス制御を突破して、不正にログインする行為が中心です。
一方、電子計算機損壊等業務妨害は、ログインしたかどうかよりも、コンピュータやデータを壊したり、誤動作させたりして、業務を妨害したかがポイントです。
| 観点 | 不正アクセス禁止法 | 電子計算機損壊等業務妨害 |
|---|---|---|
| 中心 | 不正にアクセスすること | コンピュータを正常に動かなくすること |
| 例 | 他人のID・パスワードでログイン | Webサイトを改ざんする、業務データを壊す |
| 判断の軸 | アクセス制御を突破したか | 業務妨害が発生したか |
電子計算機使用詐欺との違い
電子計算機使用詐欺は、コンピュータに虚偽の情報を与えるなどして、財産上の不法な利益を得る行為です。
たとえば、他人のキャッシュカードでATMを操作し、自分の口座に振り込むようなケースは、電子計算機使用詐欺が問題になります。
一方、電子計算機損壊等業務妨害は、財産上の利益を得ることよりも、業務を妨害することが中心です。
| 観点 | 電子計算機損壊等業務妨害 | 電子計算機使用詐欺 |
|---|---|---|
| 中心 | 業務の妨害 | 財産上の利益を得ること |
| 例 | Webサイト改ざん、業務データ破壊 | ATMやオンライン取引を不正操作して利益を得る |
| キーワード | 業務妨害、正常動作しない | 詐欺、財産上の利益 |
著作権法との違い
他人のWebサイトを無断で複製し、同じようなサイトを公開した場合は、著作権法上の著作権侵害が問題になります。
この場合は、コンピュータを壊したり誤動作させたりしているわけではなく、著作物を無断で利用していることが中心です。
不正競争防止法との違い
他社の商標やブランドに酷似したドメイン名を使い、不正に利益を得た場合は、不正競争防止法の不正競争行為が問題になります。
この場合も、業務用コンピュータを壊しているわけではなく、他社表示へのただ乗りや混同を利用して利益を得ることが中心です。
試験での判断ポイント
SG試験では、次のように切り分けると判断しやすいです。
| 問題文のキーワード | 判断 |
|---|---|
| Webページを改ざんした | 電子計算機損壊等業務妨害 |
| 業務用データを削除・破壊した | 電子計算機損壊等業務妨害 |
| 不正な指令でシステムを誤動作させた | 電子計算機損壊等業務妨害 |
| 他人のIDでログインした | 不正アクセス禁止法 |
| 他人のキャッシュカードでATMを操作し利益を得た | 電子計算機使用詐欺 |
| 他人のWebサイトを無断コピーした | 著作権侵害 |
| 他社商標に似たドメインで利益を得た | 不正競争防止法 |
迷ったときは、次の順番で考えるとよいです。
- コンピュータやデータに不正な影響を与えたか
- 正常な動作を妨げたか、異常な動作をさせたか
- その結果、業務が妨害されたか
この3つがそろえば、電子計算機損壊等業務妨害を疑います。
まとめ(試験直前用)
電子計算機損壊等業務妨害は、業務に使うコンピュータやデータを壊す・誤動作させる・正常に動かなくすることで、業務を妨害する犯罪です。
試験では、次の判断基準を覚えておくと安心です。
- Webページの改ざん → 電子計算機損壊等業務妨害
- 業務用データの破壊 → 電子計算機損壊等業務妨害
- 不正な指令でシステムを誤動作 → 電子計算機損壊等業務妨害
- 不正ログインだけ → 不正アクセス禁止法
- 不正操作で利益を得る → 電子計算機使用詐欺
- 無断コピー → 著作権侵害
- 酷似ドメインで利益 → 不正競争防止法
つまり、キーワードは、
コンピュータを正常に動かなくして、業務を妨害したか
です。
ここを押さえておくと、情報セキュリティ関連の法律問題でかなり判断しやすくなります。